上京した人が感じること ~ 「東京」 くるり
東京の街に出て来ることになる背景のこと
東京への一極集中。
これは、戦後からすでに始まっていたようです。昭和30年代、戦後復興のために東京に人が集められました。それが集団就職。地方の農村部の次男三男などが、こぞって東京へ集まってきました。
こういった集団就職や結果としての高度成長期、その先の好景気といった波があり、昭和後期に一極集中は、ピークを迎えました(流入人口の観点です)。
もしかすると東京在住者を区分けすると、地方出身者の割合の方が多くなっているのかもしれません。
東京に来た地方出身者
地方出身者が上京するタイミングは、大学入学、次いで就職ですね。
各地域には独特の文化、風習があります。そのため、幼児期を過ごした場所の影響はかなり大きいですね。それは、言葉、方言、言い回しなどにも顕著です。皆さん、この違いに基づいたエピソードをお持ちなのではないでしょうか?
東京に出るタイミング、進学や就職で、初めて一人暮らしをする方々がほとんどですよね。ある程度の友人ができるまでは、都会には自分ひとり。あとは、地元に多数の友人・家族がいつという構図がどうしても出来上がってしまう。
どうしても、都会で独りぼっちの自分と向き合う時間が長くなります。結果として、内省的になりますね、多くの場合。ちょっと昔のことを思い出してみるという風に。
東京、関東と都市部の違い
1,四季
東京に比べて地方の方が、相対的に四季がはっきりしていますね。特に、北海道、東北、北陸出身者にとっては、冬に雪が降るか降らないかは大きな違い。また夏がどのくらい暑いかということもあります。気温の差だけではなくて、そういった、四季の移ろいは、どこに住んでいても敏感でありたいと思うのが心情。特に地方出身者にとっては。
2,時間の流れ方
地方に比べて、東京の方が、相対的に時間の流れがはっきりしている場合が多いですね。時間の進み方、早さ。電車は時間通り、街を歩く人の速度も比較すると都市部の方が早い気がします。
そういう場所で、いくばくかの友人ができ、そういう場所での生活が定着して来ると、、。徐々に、その都会の雰囲気が生活の中心になって、地元への連絡も滞って来て、、大切に思っていた人への連絡も、「ついでにちょっと、、」と脇に追いやられてくる。
そして、この曲。
くるりの「東京」
この曲の主体は、作者自身。
東京にでて来て、しばらくたって、気がついてみたら、自然と遠距離の恋愛(片想いかな。。)は、終わりを告げていて。「まぁいいか」なんて呟いてみたりしても、それは本音を隠しているだけで。でも、そういうときに本音を隠して強がるのも若者の特権。本当は、たくさん思い出したいのに「ちょっと」と、、うそぶいて。それで、なんとか都会の生活を続けていこうとする。
地方から東京にでて来た方々が必ず感じるであろう情景を表したこの曲は、都会に飲み込まれて、静かに何かが変わっていく様子を素朴に描いているがゆえに、最大公約数的に多くの地方出身者の心を掴んだのだと思います。
聞いていると遥か昔の上京物語を思い出します。。
東京にでて来てミュージシャンになった地方出身者
この、くるりというグループを知ったのも、フジファブリック同様、わりと最近のことで。当時の取引先の元京都の大学生から教えてもらいました。
プロのミュージシャンになる為にも、東京にでてくる必要があって。これは80年代は必須だったんだと思います。
今は有名になった音楽家も、若者の頃があって。かつ、彼らが、若者のときに書いたこの曲は、彼らの当時の状況も、僕たちとさほど変わらないことを明らかにしていて。そういう連帯感が伝わってきます。このあたりが彼らの、人気の一つなのだろうなと思う今日であります。