石原尚(大阪大学教員)

大阪大学(工学研究科)の教員です。研究・執筆・発表技術を解説した著書『卒論・修論研究の…

石原尚(大阪大学教員)

大阪大学(工学研究科)の教員です。研究・執筆・発表技術を解説した著書『卒論・修論研究の攻略本』おかげさまで4刷となりました。Twitterもフォローいただけると嬉しいです。

マガジン

  • 卒論・修論研究の攻略

    卒論・修論研究に挑もうとする学生さんにおすすめの記事をまとめていきます。諸先輩方がどう挑み、いかに悩み、どうやって乗り越え、何を学んだのかを知ることで、経験値を積んだような状態で有利に研究に挑めるようになれるはずです。随時更新。

  • 大学教員・研究者になるには

    卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。

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研究・執筆・発表の基礎をしっかり学ぶ【石原尚のnote記事一覧】

大学・大学院で学んでおきたい研究・執筆・発表の方法を「基礎からしっかり」学んでいただくための解説記事の一覧です。ご卒業後の学び直しに。在学中の自学自習に。大学研究室での教育の教材に。中学・高校での探求学習の参考に。ご自由にお使いください。すべて無料で最後までお読みいただけます。 記事を気に入っていただけましたら、より網羅的かつ体系的に研究・執筆・発表の実践的な技術と学び方を解説している拙著『卒論・修論研究の攻略本』も是非ご覧ください。卒業研究や修士研究を楽して早く終わらせる

    • アカデミックスキルのゆるふわ図解

      いらすとやさんに全力のおんぶにだっこで作成した、アカデミックスキルのゆるふわ図解の一覧です。文章・論文の書き方、発表の仕方、議論の仕方、テーマの決め方などもりだくさん。大学教員である著者のTwitterで先行公開したものをこちらにまとめています。 非商用の教育目的であれば、連絡不要で自由にお使いいただけます。むしろ、教育目的で作ったものですので、是非活用いただきたいです。すでに中高の授業で使用していただいていたり、図書室に貼りだしてもらっていたりしているようで、ありがたい限

      • 分かりやすい説明のための27の工夫

        分かりやすく説明したいのに、結局どうしたら分かりやすくなるのか分からない…という悩みは尽きません。分かりやすくする唯一絶対の万能な方法はありませんが、なるべく多くの工夫の手段を知っておくことはとても役立ちます。 この記事では、文章執筆、プレゼン、日常会話など様々な説明の場面で重宝する27の工夫を、①相手に寄り添う、②手がかりを増やす、③記憶に刷り込む、④邪魔を無くす、⑤捉えやすくする、⑥時間を意識する、⑦視点を切り替える、⑧関係を紹介する、⑨注意を引く、の9種類に分類して紹

        • 発表スライドを『作る前から』使える3段階のチェックリスト

          発表をスライド形式で行う場合、話の論理展開をスライド構成に反映させる努力が欠かせませんが、闇雲に挑むと大変です。この記事では、 スライド作成ツールを立ち上げる前 個別スライドを作るとき スライド枚数が出揃ってきた後 の3つの段階でのチェックに使える項目を紹介します。 ※この記事は著者のブログ「駆け出し研究者の研究技術入門」のリライト版です。 スライドを立ち上げる前「発表資料を作ろう!」と決めたときにまずやるべきことは、Powerpointなどのスライド作成ツールを開

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        • 卒論・修論研究の攻略
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        記事

          論文とは何か?

          はじめにこの文章は、拙著『卒論・修論研究の攻略本(森北出版)』の初稿には書いていたものの、テンポ重視で割愛することにしたものです。たたき台として書いた初稿ですので推敲等不十分ですが、そのまま掲載しています。 割愛した『論文とは何か?』のセクション論文は「挑戦を後世に引き継ぐために紡ぐ物語」である 卒業研究・修士研究の締めくくりは、論文の執筆です。いくらよい研究を進めたとしても、論文を執筆して受理されなければ卒業・修了はできませんから、誰しもが論文を書くことになるでしょう。

          [見本付き]実践的な論文の書き方 -設計からしっかり3工程で-

          論文を書き上げるのは大変な作業です。大切なことは、細かく書き始める前に「構造の設計」と「骨格の組み立て」を済ませておくことです。この記事では、論文の骨格である【アウトライン】を設計して組み上げて、ある程度の文量のある論文を作り上げるまでの工程について解説します。 ※この記事は著者のブログ「駆け出し研究者のための研究技術入門」の過去記事のリライト版です 論文を書く3段階の工程論文を実際に書いていく手順は、建築物を建てていく手順をイメージするとよく理解できます。建物が組み上げら

          [見本付き]実践的な論文の書き方 -設計からしっかり3工程で-

          研究室妖怪図鑑No.4~6

          研究室には代々語り継がれてきた教訓があります。起きないように注意すべきことや体験すると喜ばしいことを前もって伝えておくことで、より良い研究室生活を過ごせるようにするためです。 そして、教訓というものはしばしば、何かを引き起こす【妖怪】の存在を仮定して、「こういう妖怪がいるんだよ。だから気を付けるんだよ。」という印象に残りやすい形で伝え残されてきました。そこで、研究室には妖怪が棲んでいるという想定で教訓を捉え直すと伝わりやすいのではないかと考え、【いらすとやさん】というありが

          研究室妖怪図鑑No.4~6

          論文執筆の『建築基準法』 -守るべき3つの基本ルール-

          建築物に対して『認可されるためにはこの形式で建てなさい』という建築基準法があるように、論文にも『受理されるためにはこの形式で書きなさい』という基本ルールがあります。この基準を守らなければ、提出先に認可されませんし、好まれず、また信頼して読んでもらえないおそれがあります。この記事では、論文を書くうえで知っておくべき3つの基本ルールを、建築のルールになぞらえて紹介します。 3つのルールこの記事で紹介するルールは「①外観基準」「②構成基準」「③構造基準」です。下の図をみてください

          論文執筆の『建築基準法』 -守るべき3つの基本ルール-

          石原尚の活動紹介

          機械工学の研究者としてアンドロイドロボットの高機能化に必要な研究を進めつつ、大学教員としてじっくりと考え、調べ、試し、確かめてきた研究・執筆・発表のコツを、図解や例えを交えながら日々発信しています。 仕事の紹介今の仕事 講師(常勤・専任)2020年4月 – 現在 大阪大学 大学院工学研究科 機械工学専攻 知能機械学部門 動的システム制御学領域(大須賀公一教授研究室)「アンドロイドロボットの高機能化研究」 教員(兼任)2019年4月 – 現在 大阪大学 先導的学際融合研究

          サッカーで理解するラボ内研究発表会での学び方

          細かい内容について少人数(もしくは1on1)で議論する研究相談会とは別に、研究室メンバー全員の前で学生さんが進捗状況を発表する研究発表会を定期的に実施している研究室も少なくないだろうと思います。この記事では、研究室内での研究発表会を【サッカーの練習試合】だと捉えることで、この発表会がどのような機会であり、またどのような学びが得られるのかをすっきりと理解できることを説明したいと思います。 ※著者はサッカーは素人ですので細かい点の語弊はご容赦ください… 研究発表会の形式著者が見

          サッカーで理解するラボ内研究発表会での学び方

          研究室妖怪図鑑No.1~3

          研究室には代々語り継がれてきた教訓があります。起きないように注意すべきことや体験すると喜ばしいことを前もって伝えておくことで、より良い研究室生活を過ごせるようにするためです。 そして、教訓というものはしばしば、何かを引き起こす【妖怪】の存在を仮定して、「こういう妖怪がいるんだよ。だから気を付けるんだよ。」という印象に残りやすい形で伝え残されてきました。そこで、研究室には妖怪が棲んでいるという想定で教訓を捉え直すと伝わりやすいのではないかと考え、【いらすとやさん】というありが

          研究室妖怪図鑑No.1~3

          研究発表の話の組み立て方 -5つの戦略目標の段階的達成を目指そう-

          研究発表の話をどう組み立てるかは、なかなか悩ましいものですね。研究背景、目的、手法、結果、考察、という順で話を構成することはなんとなく知っていても、ちぐはぐな話になってしまうことはよくあります。 研究発表を成功させるためには、単に構成順を知っているだけでは不十分です。発表で達成すべき【戦略目標】を明確に意識して、それらの目標を段階的に達成するように話を組み立てることが大切なのです。 そこでこの記事では、基本となる5つの戦略目標を紹介し、それらの段階的達成を目指して話を構成

          研究発表の話の組み立て方 -5つの戦略目標の段階的達成を目指そう-

          論文タイトルの決め方 -5ステップで決める方法の実例付き解説-

          タイトルは、論文中で最も短いながらも最も重要な文言です。論文の内容を把握していない他の研究者達にとって、まずは40字程度の論文タイトルこそがその論文の全てであり、読むべきか否かを最初に判断する材料だからです。 タイトルを決めるのは、中々悩ましいパズルのような工程です。限られた文字数に収まるように、書籍や映画の題名のように目を惹きつつも、内容を正確に反映する言葉をうまく選んで組み合わせないといけないからです。 ここでは、卒論・修論・博論だけでなく、学会誌論文も含めた論文タイ

          論文タイトルの決め方 -5ステップで決める方法の実例付き解説-

          論文イントロの書き方 -封じるべき「そもそも論」6選-

          論文のイントロダクション(序論・緒言・はじめに)を書くのはなかなかやっかいです。研究の科学的プロセスの中で実証していない「そもそも論」の論理を説得力をもって単純かつ明快に述べなければならないからです。この記事では、イントロの役割についておさらいした上で、イントロを書く上で記載すべき6つのポイントと、それを指針としてイントロを書く方法を紹介します。 ※この記事は、著者のブログ「駆け出し研究者のための研究技術入門」の記事のリライト版です。 イントロの役割は先手を打って「そもそ

          論文イントロの書き方 -封じるべき「そもそも論」6選-

          研究発表は【道案内ゲーム】- 聞き手を迷子にさせないための9ルール -

          発表とは、迷いやすい暗い森で大勢を道案内する難しいゲームに挑むようなものです。成功すれば、あなたが森の奥で見つけた発見や知識が確かにそこにあることを皆に示すことができ、称賛される可能性がありますが、失敗すれば、途中で帰られたり、怒らせたり、失望させることになります。成功するためには、迷子にならないようについてきてもらうための「道案内のルール」を守ることが必要です。この記事では、発表についてきてもらうためのシンプルながら強力な9つのルールを、道案内のたとえで解説します。 ※この

          研究発表は【道案内ゲーム】- 聞き手を迷子にさせないための9ルール -

          論文アブストラクトの書き方 -4つのステップを実例付きで-

          多くの人に論文を読んでもらおうとするとき、タイトルの次に重要な部分がアブストラクト(Abstract/概要)です。大抵の読者は、その論文が自分に関係しそうかのあたりをつけるためにまずタイトルを読み、その次に『さらに時間と労力をかけて実際に読みこんでいく価値があるか否か』を判断するためにアブストラクトを読むからです。この記事では、そんな大切なアブストラクトの書き方を、例を挙げて解説します。 アブストラクトを書く手順の概要この記事で紹介する手順は以下の4ステップです。 この記

          論文アブストラクトの書き方 -4つのステップを実例付きで-