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大学教員・研究者になるには

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卒業研究・修論研究を経て研究者になろうと考えている方々向けの記事を集めていきます。大学教員・企業研究者など。
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記事一覧

研究者を目指している方のために(1)

はじめに  学会シーズン終盤になりましたね。学会発表を行った方は、研究論文を執筆するべきか考えているのではないでしょうか。本日は、研究者の立場から研究者について私見を述べていきます。 研究者になるための準備  研究者になるためには、どの様な準備が必要になるのでしょうか?例えば、自動車の運転ができる様になるために教習所に通い、試験を受けて、運転免許証を取得します。同様に研究者になるために、練習、試験、修了といった過程が必要になります。研究者になるための練習・試験・修了と

大学教員になりたい人へ Vol.2 ー日本学術振興会特別研究員に採用されると有利になる?ー

今回は大学教員になりたい人への第2弾になります。第1弾についてはこちらから確認してください。 さて、今回は大学教員になりたい人は日本学術振興会特別研究員になることを目指すべきかどうかという話です。ご存じの方には日本学術振興会特別研究員という長い名称よりも学振という略称の方が馴染みが深いと思います。 よく院生に聞かれるのは「学振になった方が就職に有利なのでしょうか?」という問いです。過去に私も学振だったことがあるので色々と聞かれることも多いのでしょう。今回はこの問いに対する私

大学教員になりたい人へ Vol.1

みなさん、こんにちは。小辻寿規です。 大学で授業を担当するようになって約10年が経過しました。気づけば若手教員とはいえないような年齢になってきました。 この間、後輩や色々な場所で知り合った方から大学教員になりたいのですがどうすれば良いのか?とよく聞かれます。 正直言って個人的には関西弁でいう「知らんがな」の領域です。それぞれ分野も違うし「こうすればなれますよ。」なんて言ってもなれないこともある。責任なんて私は持てません。 とはいえ、どうしたらなれるのかという話はあまり有名なも

私が大学教員になった理由

2020年。40歳の私は、産業技術総合研究所の主任研究員だった。40歳は人生の岐路である。その頃の私は、暗い闇の中をさまよっていた。いわゆる、ミッドライフ・クライシスである。 私はこれまで研究者として、早稲田大学・ポスドク、東京大学・ポスドク、産業技術総合研究所・研究員→主任研究員と、数々の研究室を渡り歩いてきた。しかし、40歳の私は、漠然と物足りないものを感じていた。 プレイヤーとして活躍することを目標としていた自分であったが、2016年に自分の考えを大きく覆す学生に出

【経験談】 大学教員になるためのロードマップ

大学教員と聞いても,どうやればなれるのかと思う人が多いと思います.そこで,大学教員である私が実体験を交えつつ,どうすれば大学教員になれるのか,どうすれば大学教員になれる確率を上げることができるのか,を個人的な視点からご紹介したいと思います. 自分の専門分野が情報科学なので,情報科学分野での話になります. 博士の学位(Ph. D)が必要大前提として,博士の学位が必要となります(必要でないケースも稀にありますが,ほぼ必須だと考えた方が良いです).そのため大学には,学士(4年)

大学教員公募戦士タイプ診断

こんにちは。 僕も含め、多くの方が大学教員関係の就職情報を発信しておりますが、 ・理系文系 ・目標とする大学 ・本人のキャリア などによって就職での戦い方が違ってくるため、どの情報を参考にしたらいいか迷う人も多いと思います。 そこで今回は、僕の分野である「数物系科学(主に数学系、情報系、物理系)」における大学教員公募戦士たちのタイプとその戦い方を独断と偏見で分類してみようと思います。 天才&努力タイプ

大学教員公募へのチャレンジの記録⑤

あけましておめでとうございます。 前回の記事から半年近く経ってしまいました。 大学内定後に、現職の仕事や退職にかかるいざこざ、 退職に向けた準備や赴任前の諸々の準備、 非常勤講師の仕事などなどに日々忙殺されていました。 前回の記事は以下から 公募戦線に残っている大学;  ④ジャンル一致のC大学(助教)  ⑤ジャンル一致のD大学(助教・助手)  ⑥ジャンル一致のE大学(助教) それでは時系列で、まずは⑤D大学の面接から。 締切は8月でしたが、7月下旬に面接を実施。

(2)査読論文が複数必要で、査読付ではない論文もそれ以上に必要な理由。

なぜ、査読付きの論文が重視されるのかと言いますと、そういった論文を書いたという事実は、研究能力があることの客観的な証明になるからです。 査読論文というのは、レフリー制度の整った学会誌に掲載された論文のことを指します。査読(掲載に値するかどうかの審査のことです)プロセスを経て掲載に至るというのは、なかなか難しいことです。 査読を経て掲載されるためには、論理構成がしっかりしていて、自分の「主張」が根拠に基づいて記述されていることが必要です。 「根拠に基づく」というのは「先に同じ

大学教員公募と大学教員に思う事①

このnoteでは公募を勝ち抜いた今現在とここに至るまでに大学教員という存在について考えたことを書き記すつもりである。 早速本題に入ろう。 現在私は大学教員として中部地方の国立大学に勤めている。 年齢等は伏せるが、他者と比較的して早い時期に安定的な職(テニュア)を得られたと思う。じゃあだからと言って私がその分野で非常に優秀な人材であったかというとそうではない。 論文数も人並、発表数も人並、学歴も人並、はっきり言って何か突出して良かったわけではない(かといって何かが悪かっ

コロナ禍での博士課程と研究者への道

僕は 2016年4月(当時31歳)に当時勤めていた会社を退職して、東京大学の数理科学研究科の修士課程に進学しました。その6年後の 2022年3月に 数理科学の博士号 を取得しました。 2022年4月から理化学研究所の基礎科学特別研究員として 数学の研究者 をやっています。 この記事では、コロナ禍と共にあった博士課程の後半2年間と、その後の駆け出しの研究者としての日々を振り返ります。 大学院への進学を考えている社会人 や 先々のキャリアについて考えている学生 にとって参考

大学教員になれない人々

こんにちは。 これまで「大学教員になるには」というコンセプトで公募を勝ち抜く戦略を記事にしてきました。 その中でダメな事例も紹介してきましたが、今回改めて「大学教員になれない人々」の特徴をまとめてみようと思います。 大学教員になれない人々1:論文数が少なすぎる

大学教員公募の振り返り①

需要はないかもですが、私も以前諸先輩方が書かれた文章を参考にさせていただいていたので、誰かの参考になれば・・・と忘れないうちに書いておこうと思います。 私は教員ではないお仕事からの転職でした。 博士の学位を取って、実際に公募を出し始めたのが、転職活動1年目の10月頃・・・その当時、大学公募戦線は、夏がピークで10月も過ぎたあたりからは募集がフェードアウトしていくことすら知らなかった・・・ 1年目は2件出してみました。1件目は書類選考で落ちました。 しかし、ここで業績の書き方と

【大学教員公募】若手のチャンス時期

9月に入り、学生は夏休み真っ盛り、教員は研究・雑務真っ盛り、そして公募戦士は大方中休みの時期です。公募戦線の前半戦がほぼ終了したといってよいでしょう。 多くの若手研究者が一次選考のお祈りレターorメールをもらい、沈んでいることと思います。以前の記事でも書いたことがありますが、前半戦のほとんどが計画人事であり、経験豊富で(割と若めな)現職の教員がポストを奪っていきます。このため、若手や常勤経験のない公募戦士の多くが前半戦で散っていくのです。私が自分の公募戦線を振り返り、誰が着任

テニュア獲得への道

嬉しい報告です。2022年12月1日より、テニュア審査を経て副教授(日本で言うと准教授)に昇進しました。 今日は中国のテニュア審査についてお話したいと思います。 私は現在中国雲南省の云南大学西南天文研究所(SWIFAR)に勤めており、何故、中国に渡ったのかはこちらの記事にまとめましたので、興味のある方はご一読ください。 アカデミックキャリアについて 私はまず、SWIFARにテニュアトラックとして採用されました。「テニュアトラックとは何か?」と思う方も多いかもしれないの