谷 英典

大学教員(薬学部・生物系)。研究・学習法の記事がメインです。⇒個人HP:https:/…

谷 英典

大学教員(薬学部・生物系)。研究・学習法の記事がメインです。⇒個人HP:https://www.hidenoritani.com/ ⇒Youtube:https://www.youtube.com/@hideytype

最近の記事

私のサバイバル英語勉強法

英語学習って、面倒で辛いものと感じてしまいますよね。例えば、英会話の教材を何冊も読んでみたり、単語帳を完璧に覚えようとしたり、文法書を読み込んだり・・・。でも、そんな風に真面目に勉強することが向かない性格の私は、もっと楽しく、気楽に英語を身につける方法を選びました。 それは、「好きなミュージシャンのインタビュー英語」を繰り返し聞くことでした。 好きなミュージシャンのインタビューなら、彼らがどのような思いで音楽を作っているのか、どんな風にレコーディングしているのか、自然と理

    • 映像記憶能力を持つことの光と影

      はじめに この記事は、決して自慢するためのものではありません。むしろ、映像記憶(写真記憶とも呼ばれます)という特異な能力を持つ私の学生時代と、その能力がもたらした葛藤について、正直に綴りたいと思います。 映像記憶による学習 幼少のときから、私は映像記憶能力を持っていました。自分が興味を持ちさえすれば、教科書や資料を一度読むだけで、まるで写真のように記憶することができたのです。そのため、暗記という行為が必要ありませんでした。 周りの友人が必死に暗記に苦しんでいる姿を見て

      • 私の失敗談 - 失敗から学ぶ・・・しかなかった

        第1章:高校受験でまさかのインフルエンザ 時は中学3年の冬、私は地元の公立高校を目指して受験勉強に励んでいました。滑り止めの私立高校は無事合格、いよいよ本番というタイミングで…なんとインフルエンザにかかってしまうという大失態。 しかも、私立3校の受験日程と丸かぶりというタイミングの悪さ。保健室受験も考えましたが、吐き気は止まらず、家から出るのもやっとの状態。結局、私立3校すべての受験を断念せざるを得ませんでした。 周囲の心配をよそに、何とか第1志望の公立高校に合格。合格

        • 大学院時代の金銭面での苦労

          私には4つ年上の兄がいる。兄は地元の公立高校から国立大学に進学し、大学院・修士課程まで進んで、きちんと企業に就職した。 このように親思いの兄は、高校・大学とすべて国公立に行き、すべて自宅から通学することで、学費面で多大な親孝行をした。 一方、弟の私は「医学部に行きたい」と言い出したり、「博士になって研究者になりたい」と言ったりする、わがままで困った子どもだった。両親も相当、困りはてていたに違いない。 そのため私が、私立の早稲田大学に進学するときに母親に言われたこと。それ

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          Youtube - インタビュー翻訳【英語→日本語】

          自身の英語の勉強のために、ミュージシャンのインタビュー翻訳(英語→日本語)をYoutubeで発信しています。 具体的には、私の好みのミュージシャンのインタビュー動画(Youtube)から、英語の文字起こしを行い、それを日本語に翻訳・整理し、コンピュータ音声(VOICEVOX)で喋らせています。 *Youtubeの字幕設定をONにすると、快適にご覧頂けます もし、翻訳して欲しい動画がありましたら、ご遠慮なく本記事のコメント欄や、Youtube動画のコメント欄にお書き頂ける

          Youtube - インタビュー翻訳【英語→日本語】

          スルースキルを身につけよう:嫌な人間は相手にしない

          職場やプライベートなどのいろいろな場面で、嫌がらせ・誹謗中傷に出くわすことがあります。また、自分を軽く扱ってくる人もいますよね。これらは誰にとっても不快なもので、精神的に大きな負担となるものです。しかし、適切な対策を取ることで、その影響を最小限に抑えることができます。 1. 心構えまず、以下の点について理解しておきましょう。 誹謗中傷は相手の問題であり、あなたの価値とは関係ない 誹謗中傷をする人は、自分自身の劣等感やコンプレックスを隠すために、他人を攻撃することで優位に

          スルースキルを身につけよう:嫌な人間は相手にしない

          大学教員(理系)を目指すあなたに

          本記事では、「大学教員(理系)」について取り上げる。内容は、私の実体験や知人の体験話をもとに作成しているため、理系、特に生命科学系の話に偏っていることをご了承頂きたい。 私の経歴を紹介しておくと、博士課程を修了後、ポスドク(国内)を3年間、研究所・主任研究員(国内)を11年間経た後、現在の大学教員(准教授)のポストについている。専門は、分子生物学・生物情報学である。 【1】研究室の選択 研究室選びから話を始める。読者の方には「今更変えられない」という方が多数かと思われる

          大学教員(理系)を目指すあなたに

          耳は最大の武器である

          本や論文を読んでいると、紙にしろ、電子書籍にしろ、どうしても目が疲れてきたり、眠くなってしまったりするケースが多いと思います。 私の場合、大学の研究室では「目」で、本や論文を読んでいますが、休日になると、身体が疲れ切ってしまっていて、正直、本を読む気になれません。体力が落ちてしまっていることも十分にあります。そこで、活用しているのが「耳で聞くこと」です。 もともとラジオを聞くのが好きな私ですが、耳で聞くのはとても楽です。ベッドに横になって、目を閉じて、耳をすましていれば良

          耳は最大の武器である

          AI時代を生き抜く研究者になるために

          「AI時代」について考える前に、学生時代の成績と研究能力の関係について考えてみよう。個人的な経験則ではあるが、私が見てきた限り、テストの成績と研究能力は必ずしも一致していない。偏差値の高い大学に入学し、成績が優秀であるに越したことはないのだが、それがそのまま優れた研究能力に直結するかというと、そうでもない。 ① 研究能力はある種の才能であり、センスである 科学における研究とは、未知の現象を解明したり、新しい手法を発明することである。つまり、試験のように必ずしも答えがあるも

          AI時代を生き抜く研究者になるために

          私がたどり着いた勉強法

          私は、大学・薬学部で准教授をしています。6年制の薬学部では、最終的に「薬剤師国家試験」を突破することが、なにより重要なことになります。これを突破できないと、薬剤師にはなれません。 また、他の学部においても、「国家試験」の突破を目標にしている場合は同様かと思いますし、社会人の方でも、資格取得のための「国家試験」の突破を目指している場合も同様です。 そこで本記事では、私がこれまでたくさんの本を読み漁り、自分や知人の体験談を聞いて、最終的にたどり着いた勉強法をご紹介したいと思い

          私がたどり着いた勉強法

          大学教員2年目:学生に知識を伝える喜び

          4月になり、私の大学教員生活も2年目を迎えた。 私は、学生に自分の知識を伝えることが何よりも楽しいと感じている。周囲からは、研究所の研究員として長くキャリアを持つ私が、なぜ教育に情熱を注ぐのかと不思議がられることも多い。確かに、私が得意とするのは研究であり、教育は二の次だと考えている人も少なくないだろう。しかし、私は学生と接し、知識を共有し、学生たちの成長を促すことに大きな喜びを感じている。 研究所で長年研究に没頭してきた私にとって、学生との交流は新鮮な刺激を与えてくれる

          大学教員2年目:学生に知識を伝える喜び

          実力と人気、そして見えない努力

          とあるアスリートの赤裸々なnote記事を読んで、深く考えさせられた。 どの業界も同じなのかもしれないが、競技の世界は特に厳しいように感じる。選手として注目を集め、成功するためには、主に2つの道があるだろう。 ① 実力で結果を残し、注目を集める(実力先行型) ② 魅力的なキャラクターで、自然と注目を集める(人気先行型) 一方、私はというと、学生時代から分子生物学の研究者を目指していた。研究者として注目を集め、成功するためには、主に2つの道があるだろう。 ① 質の高い研究

          実力と人気、そして見えない努力

          勉強は筋肉トレーニングと同じ

          学生のみなさん、勉強は辛いですか? 毎日机に向かうのは確かに大変ですよね。でも、諦めるのはまだ早いです。なぜなら、「脳は筋肉と同じ」だからです。 筋肉は鍛えれば鍛えるほど強くなります。そして、脳も同じです。勉強をすればするほど、脳は活性化し、賢くなります。 「勉強は嫌い」という人もいるかもしれません。しかし、それは単に「脳の筋トレ」を習慣にしていないだけです。 筋トレを始めたばかりの人は、すぐに疲れてしまうものです。しかし、毎日続けることで、徐々に体力はついてきます。

          勉強は筋肉トレーニングと同じ

          ChatPDF:英語論文(PDF)の内容をすぐに把握することが可能なツール

          はじめに 最近、AIを使った魅力的なツールがたくさん発表されています。その中でも、本noteでは、無料利用(注意:1日にPDFファイル2個まで)が可能で、面倒な登録の必要のない、PDF文書と対話する革新的なAIツール「ChatPDF」を紹介します。 ChatPDFは、自然言語処理技術を活用することで、従来の検索機能では実現できなかった高度な情報検索や文書理解を可能にしています。忙しい日本人研究者にとって、大変有用なツールとなることでしょう。 ChatPDFの概要 Ch

          ChatPDF:英語論文(PDF)の内容をすぐに把握することが可能なツール

          薬剤師の未来像:日本の現状と海外動向を踏まえた考察

          【要約】 本noteでは、日本の薬剤師の将来像について、現状と海外動向を踏まえて考察する。高齢化社会の進展や医療制度改革、AI技術の発展など、薬剤師を取り巻く環境は大きく変化している。こうした変化に対応するため、薬剤師は専門知識・スキルの高度化に加え、多職種連携やICT活用*など、新たな役割を担っていく必要がある。 *ICT活用:インターネットやパソコン・スマートフォンなどの情報伝達技術を使ってコミュニケーションできる技術を活用すること 【1. はじめに】 薬剤師は、

          薬剤師の未来像:日本の現状と海外動向を踏まえた考察

          北京大学 - 初めての海外出張

          時は戻って、2003年の春。私は早稲田大学理工学部の修士1年(23歳)だった。産業技術総合研究所で学生研修員をしていた時代の話である。 私は、学部4年の時の研究で、リアルタイムPCRの専門家のような気分になっていた。 研究所の金川さんから、突然、子機の電話を手渡された。 金川さん「谷君、電話だよ。鎌形さんから」 この電話相手の鎌形さんは、合同で勉強会を開き、仲良くして頂いている別グループの先生である。いったい何の用だろう。 鎌形さん「おう、谷君。谷君ってリアルタイム

          北京大学 - 初めての海外出張