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脂肪肝・肝線維症の進行を告げる長鎖ノンコーディングRNAの発見

「発表のポイント」

・脂肪肝および肝線維症において、発現量が急激に変化する新規の長鎖ノンコーディングRNA(注1)を特定
・Kcnq1ot1とRmstという2つの長鎖ノンコーディングRNAが、脂肪肝と肝線維症の両方で有意に減少していることを発見
・長鎖ノンコーディングRNAが肝疾患進行のバイオマーカー(注2)の開発に繋がる可能性を示唆

「発表概要」

横浜薬科大学 薬学部 谷 英典 准教授、名古屋大学 医学部 消化器内科 本多 隆 講師、横山晋也 病院助教、武藤 久哲 研究員らの研究グループは、マウスの肝疾患モデルを用いて、脂肪肝および肝線維症に関連する新たなバイオマーカーである長鎖ノンコーディングRNAを発見しました。この成果は、深刻化する肝疾患の診断や治療法開発に新たな道を開くものです。

「発表内容」

近年、肥満や生活習慣病の増加に伴い、脂肪肝や肝線維症が世界的な健康問題となっています。本研究では、これらの疾患に関わる新しいRNAの働きを明らかにしました。研究グループは、マウスにおいてKcnq1ot1とRmstと呼ばれる2つの長鎖ノンコーディングRNA(タンパク質を作らない遺伝子)に着目し、これらのRNAが、脂肪肝や肝線維症で著しく減少することを明らかにしました。この発見は、肝疾患の進行を早期に発見するための新しいバイオマーカーの開発につながる可能性があります。現在、肝疾患の診断は主に血液検査や画像診断に頼っていますが、これらの方法では初期段階での検出が困難です。Kcnq1ot1とRmstの発現レベルを測定することで、より早期かつ正確な診断が可能となります。これにより、治療の開始時期を早め、病気の進行を抑制できることが予想されます。さらに、これらの長鎖ノンコーディングRNAの機能をさらに詳しく調べることで、全く新しいアプローチの治療法開発や創薬につながる可能性があります。例えば、これらのRNAの発現を調節する医薬品の開発や、遺伝子治療(注3)の新たな標的として利用することが考えられます。

「発表雑誌」

雑誌名:「International Journal of Molecular Science」(オンライン版掲載日:2024年8月16日)

論文タイトル:Identification of two long noncoding RNAs, Kcnq1ot1 and Rmst, as biomarkers in chronic liver diseases in mice

著者:Shinya Yokoyama#, Hisanori Muto#, Takashi Honda, Yoichi Kurokawa, Hirotaka Ogawa, Riku Nakajima, Hiroki Kawashima, Hidenori Tani*

DOI番号:https://doi.org/10.3390/ijms25168927

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Graphical Abstract

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