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分かりやすい説明のための27の工夫

分かりやすく説明したいのに、結局どうしたら分かりやすくなるのか分からない…という悩みは尽きません。分かりやすくする唯一絶対の万能な方法はありませんが、なるべく多くの工夫の手段を知っておくことはとても役立ちます

この記事では、文章執筆、プレゼン、日常会話など様々な説明の場面で重宝する27の工夫を、①相手に寄り添う、②手がかりを増やす、③記憶に刷り込む、④邪魔を無くす、⑤捉えやすくする、⑥時間を意識する、⑦視点を切り替える、⑧関係を紹介する、⑨注意を引く、の9種類に分類して紹介します。9種類×3手段で、合計27の工夫です。

ポイントを一枚にまとめた絵はこちら。

説明を分かりやすくする9×3の工夫

①相手に寄り添う

まずは相手に寄り添おう

説明は相手がいないと成り立たないものなので、相手に寄り添うことは絶対に大切です。上手く寄り添うには相手のことを知る必要があるため簡単ではありませんが、成功すれば非常に効果的です。寄り添った説明をするための具体的な手段A、B、Cを順に確認していきましょう。

①-A 相手の言葉を使う

説明相手にとって馴染みがある言葉を使いましょう。それだけで説明のハードルはかなり下がります。「そちらで言うところの〇〇です」など。

①-B 分かることから伝える

相手が知っていること、簡単に分かることから伝えてみましょう。安心感を与えることができれば、理解する努力を続けてくれる可能性が高まります。「これはご存じですよね」「ここまでは分かりますよね」など。

①-C 相手に響く価値を示す

説明を聞くとどんな良いことがあるのかを伝えてみましょう。得になることには関心を向けてもらえます。「〇〇でお困りだと思いますが、これはその解消に役立ちます」など。

②手がかりを増やす

手がかりはできるだけ増やそう

分かるための手がかりを増やすこともわかりやすさを高めるうえで有効です。少しの手がかりで大きく理解を進めてもらえる可能性があるため、いろいろなところに用意しておくのが良いでしょう。

②-A 副詞・形容詞にこだわる

動詞や名詞で説明されるものの様子を分かりやすくするものが副詞や形容詞です。より明瞭に、また具体的な様子が伝わるように副詞や形容詞を厳選して添えましょう。「この反応は凄くゆっくり進む、化学的に興味深い現象です」など。

②-B 噛み砕いた表現を添える

ざっくりとしたおおまかな表現は、それだけでは詳しい情報を伝えられないものの、精確な表現に添えることで分かりやすくする助けになります。伝えたい部分がよく分かるようにうまく噛み砕いて添えてみましょう。「これは専門用語では〇〇処理と呼ばれます。ざっくり言えば、酸の力で余分なものを溶かしてしまおう、というものです」など。

②-C 全体の中での意味を示す

今説明したことが、それまで話したことと、これから話すことに対してどのような意味を持つのかを説明しましょう。説明の内容が難しくても、それが何のために説明されたのかが分かれば、ある程度の満足感を与えられます。「ちょっとややこしいのですが、ここの部分が先ほどの説明の根拠になっています」など。

③記憶に刷り込む

大切なことは覚えてもらおう

分かってもらえたことも、いずれ忘れられてしまいます。すぐに忘れられると困る場合は、相手の記憶に残してもらう工夫を施しておきましょう。

③-A 五感に訴える

視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感をくすぐる表現を採用してみましょう。感覚を呼び覚ます体験は記憶に残りやすいものです。擬音語・擬態語のような語感の良い言葉を採用したり、具体的な感覚体験エピソードを挙げるのが効果的です。「さらっとした心地よい触りごごちです」「焦げついたにおいを嗅いだときのように…」など。

③-B 繰り返し伝える

何度伝えてもよいくらい大切なことは、何度も伝えましょう。時間はその分必要になりますが、それほど大切なことなんだなと感じてもらえます。「先ほどもお伝えしたように」「繰り返しになりますが」など。

③-C 覚えやすい語句を用意する

言葉には、覚えにくいものと覚えやすいものとがあります。大切な内容には、意味内容をうまく捉えた、独特ながらも耳馴染みのある、より短い名前をつけてあげましょう。「この効果は大切なので、これ以降、『馬の耳に念仏効果』と呼ぶことにします」など。

④邪魔を無くす

邪魔が減ればそれだけ大切なものが目立ちます

分かりやすくする手段は、なにも説明を付け足すことばかりではありません。分かりにくくする要因を取り除く工夫を徹底しましょう。

④-A 情報を削ぎ落とす

説明の量は、増えれば増えるだけ分かりにくくなります。説明に優先順位をつけて、優先度の低いものは思い切って説明から省いてみましょう。「細かいことは色々とあるのですが、ここでは最も大切なこれだけをご説明します」など。

④-B 文法を単純にする

同じ説明内容でも、文法が単純であればその分だけ分かりやすくなります。否定の言葉を重ねる二重否定の文(「〇〇でないとは限らない」など)を単純な肯定の文(「〇〇なこともある」など)に置き換えたり、主語と述語のペアが2組以上含まれる複文は、切り分けて短文にすることを検討してみましょう。

④-C 勘違いのもとを減らす

分かりやすい説明であっても、どこか勘違いさせてしまっていると、あとあと混乱させて分からなくしてしまいます。何か別のものと勘違いされる恐れがある場合には、そちらではないことを説明に付け加えるか、あるいは勘違いされにくい説明に差し替えましょう。「これは、言うなればハロウィンのようなものです。ただし、ここで言うハロウィンは、仮装を楽しむ現代の風習ではなく、悪魔を祓いつつ先祖の霊を迎える古代ケルトの祝祭を指します」など。

⑤捉えやすくする

捉えやすければ分かりやすい

意味は分かるけどなんだか捉えにくい…という説明になってしまわないように、内容を捉えやすくする工夫を施しましょう。捉えやすくすると、難解な説明内容の分かりやすさも高められます。

⑤-A 構造で関係を伝える

何かの関係で繋がる複数の内容のそれぞれを細かく説明するときは、先にそれらの関係を伝えておきましょう。関係を伝えるときは、全体の構造を表す説明にすると関係性を頭に思い浮かべてもらいやすくなります。「〇〇と△△と□□の3つは、三つ巴の関係にあります」「〇〇は、△△と□□の両方が揃ったときに成り立つものです」など。

⑤-B 分類して種別を伝える

多くのことを説明するとき、ただ羅列するだけでは覚えにくく、またそれらの違いも分かりにくくなります。そんなときは、なるべく少ない数のグループにまとめ、その種別を伝えるのがよいでしょう。「〇〇と△△と□□と××があります。〇〇と△△は、比較的安価なものの信頼性に欠け、一方の□□と××は高価な分信頼でき、さらに故障時のメーカー保証も付きます」など。

⑤-C 軸に乗せて位置を伝える

複数のものを並べ伝える場合、それらに共通する性質の評価軸を見定めて、その軸の上で順序良く並ぶように説明してみましょう。ばらばらの順での説明より、随分全体を捉えやすくなります。「××と〇〇と△△があります。使いやすさで言えば、一番良いのが〇〇で、次が△△、最後が××です」など。

⑥時間を意識する

時間を上手く使えると分かりやすくなる

説明は時間を要する行為ですから、時間の使い方もまた、分かりやすさを左右します。時の流れを意識して上手く使えるようになりましょう。

⑥-A 話を短くする

時間が経てば経つほど、相手の集中力は下がっていきます。なるべく高い集中力を保ってくれている間に説明を終えられるのが理想的です。頑張って説明しようとするほど、往々にして話は長引いてしまうものですから、相手の集中力を削がないようなるべく早く説明を終える意識をもっておきましょう。「1分だけください」など。

⑥-B 理解・咀嚼の間をとる

早く説明を終えたいからといって、休む間もなく早口で説明を続けるのは、体力的にも負担が大きいだけでなく、相手にとっても理解の負担が大きいものになります。説明されたことを理解するためにあえて説明をしない時間を設けることも、分かりやすさを高めるためには必要です。ややこしいことや、大切なことを伝えた直後に少し間を置いてみましょう。完全な間をとることが難しければ、軽く聞き流せるくらい簡単で、さほど重要でない言葉で繋ぐのも良いでしょう。

⑥-C 気になるタイミングで伝える

同じ内容でも、伝えるタイミングによって伝わりやすさはかなり変わります。最も効果的なタイミングは、それを知りたくて気にしているときです。そうは言っても相手がいつそれを気にするかは分かりようもありませんから、伝えたい内容を伝える直前に、伝えたい内容が気になるような話を出しておく、ということが大切になります。「では、いったいどうすればこれが可能になるのでしょうか。今回、私たちはこうすることによって〜」など。

⑦視点を切り替える

見方を変えると分かりやすくなる

異なる見方で説明をすることで、物事の範疇はよりくっきり見えるようになります。複数の視点での説明を心がけておきましょう。

⑦-A 抽象化する

何かの説明をしたときには、少し抽象度を高めた説明を添えてみましょう。抽象的な説明を聞くことで、相手は他の具体例を思い浮かべたり、他のものと結びつけて理解を深めてくれる可能性があります。「この製品の表面が汚れた場合には、新しいフェルト布で軽く拭うようにしてください。清潔で柔らかいもので傷をつけないように拭くということです」など。

⑦-B 具体例を挙げる

抽象化とは反対に、何かの説明をしたときには少し具体化した説明も添えてみましょう。具体的な説明を聞くことで、相手は頭の中に映像を思い浮かべたり、行動を起こしてみようと思い立ったりして理解を深めてくれる可能性があります。「この装置は、水中でも動作します。たとえば、お風呂の中でも、海の中でも壊さずに使えます」など。

⑦-C 反対の表現を添える

反対の意味になることを挙げて、「それではない」という説明をすることでも分かりやすくすることができます。「この機能は、右上のボタンを押すことで実行できます。左下のボタンを押しても実行できません」など。

⑧関係を紹介する

関係づけると分かりやすくなる

それが何であるかは、それ単体ではうまく伝えられないことがあります。そんなときは、何かと関連づけることで、それが何ものかを分かりやすくしましょう。

⑧-A 身近な題材に例える

馴染みのあるものに例えることで、その性質や使い勝手、長所や短所などの価値が分かりやすくなります。「この動物は、毎日暖かいお湯につけてあげると病気になりにくいです。お風呂に入れてあげるというわけです」など。

⑧-B 似たものとの違いを示す

似たものを挙げて、それとの違いを説明することでもより詳しく理解してもらえるようになります。「このスポーツは野球に似ていますが、野球よりも大きなボールを使うところが違います」など。

⑧-C 既知情報との関係を伝える

すでに説明して理解してもらえたことがあるのなら、それとの関係を伝えることで分かりやすくすることができます。「この機械は複雑で一言では説明しきれないのですが、その中心的な動作原理は、さきほど説明した〇〇の仕組みを応用したものです」など。

⑨注意を引く

注意を引いて頭を使ってもらおう

淡々と説明を続けるだけだと、相手も頭を使わずにただ淡々と聞き流すだけになってしまう恐れがあります。ずっと頭を使ってもらうと疲れさせてしまうので、とくに大切なことを伝えるときに頭をしっかり使ってもらえるようにピンポイントで注意を引きましょう

⑨-A 展開を予想させる

話がどう進んでいくかをつい予想してしまうような説明をしておきましょう。そうすると、予想通りだったかどうか、予想とはどう違ったかを考えながら聞いてもらえるようになります。「この計画は最終的に上手くいきました。困難だと思われたこの計画がなぜ上手くいったのか、これからお話しします」など。

⑨-B 話の切り替わりを伝える

相手にとって、話が切り替わるタイミングは理解度を高めるうえで大切な機会です。切り替わりの間は、それまでの説明を整理して重要なポイントを確認するのに使える時間なのです。したがって、この切り替わりのタイミングに気付くためのヒントを伝えることでも分かりやすさを高めることができます。「ここまでが、今回採用した方法の説明でした」など。

⑨-C 何を説明するか予告する

予告なしに突然伝えられる話は、衝撃を与えることもありますが、うまく聞き取ってもらえないというリスクも孕みます。聞き漏らされたくない場合は、これから何を説明するかを予め伝えて、相手に聞く準備を整えてもらったうえで伝えるのが良いでしょう。「これから、皆さんの進路の決定においてとっても大切な話をします」など。

まとめ

この記事では、説明を分かりやすくするための27の方法を紹介しました。他にもたくさんあるはずですが、ここで挙げた方法をうまく使えこなせるだけでも随分分かりやすい説明ができるようになるはずです。是非お試しください。

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