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論文執筆の『建築基準法』 -守るべき3つの基本ルール-

建築物に対して『認可されるためにはこの形式で建てなさい』という建築基準法があるように、論文にも『受理されるためにはこの形式で書きなさい』という基本ルールがあります。この基準を守らなければ、提出先に認可されませんし、好まれず、また信頼して読んでもらえないおそれがあります。この記事では、論文を書くうえで知っておくべき3つの基本ルールを、建築のルールになぞらえて紹介します。

3つのルール

この記事で紹介するルールは「①外観基準」「②構成基準」「③構造基準」です。下の図をみてください。論文原稿という敷地をいくつかの区画にわけ、そこに建物を建てるように文章を区分けして配置していきます。これらの基準は、「敷地内の好きな位置に、好きな建物を好きな構造で建てていいわけじゃないんですよ」ということを意味しています。

論文の書き方の基本ルール

それぞれがどのようなルールなのか、一つずつ確認していきましょう。

①外観基準

一つ目の外観基準とは、「外観の在り方を定めたルール」であり、論文の内容とは無関係に守らなければいけない書類の見え方を定めるものです。論文投稿規定(論文フォーマット)あるいは原稿規定(原稿フォーマット)とも呼ばれます。例えば、余白は〇〇mm以上で、文字サイズは〇〇ptにして、フォントは〇〇ゴシックにしなさい、といったものです。

都市によって建物の外観基準が違うように、論文の外観基準も提出先の学会や論文誌、あるいは大学や専攻によっても違います。ですので、どこに論文を出すかが決まったら、まずは「投稿規定」「投稿フォーマット」「論文フォーマット」がどのように設定されているかを調べましょう。上記のような文言で規定がつらつらと書かれているだけの場合もあれば、フォーマットを守って作成されたサンプル論文ファイルや論文テンプレートが提供されている場合もあります。是非活用しましょう。

②構成基準

二つ目の構成基準とは、「構成の区分を定めたルール」であり、敷地(原稿)をどんな建物や部屋(意味内容)で分割するかを定めるものです。論文では、序論・本論・結論の3分割か、IMRADと呼ばれる緒言(Introduction)・手法(Method)・結果(Result)・議論(and Discussion)の4分割が良く見られます。

分野によっても異なりますが、大切なことは、原稿の中で果たす役割が異なる内容は明確に場所を分けて書きましょう、ということです。リビングや浴室、あるいはトイレやキッキンの設備がばらばらに混ざった配置になっていたら機能的ではありませんよね。トイレに置くべきものはトイレの区画に、キッチンに置くべきものはキッチンの区画にまとめて置くような設計にしないと住んでいて困惑します。

論文の提出先によっては、この他にも,「英語の概要(Abstract)を設けること」「結論(Conclusion)の節を議論の節とは独立に設けること」「謝辞の節を設ける場合には,結論の節の直後に置くこと」などの附則が定められている場合もあります。論文提出先が決まったら、これらの附則もしっかり確認しておきましょう。

③構造基準

三つ目の構造基準とは、「各部の構造の組み方を定めたルール」であり、緒言や手法などの各節の中において、どのように段落を分け、そして各段落のどこにどのような文をどのような形式で置くか、を定めるものです。

論文では、パラグラフライティングの構造化ルールに則って文を置いていくことがほぼ必須です。そうしないと、論理構造が不明瞭かつ不安定で、「いまにも崩れそうで信用できないな」という印象を与えてしまうからです。

パラグラフライティングの構造化ルールや組み方についてはこちらの記事が参考になるはずです。

まとめ

この記事では、論文のルールを建築物のルールになぞらえて解説しました。ルールを守ることは面倒に感じるかもしれませんが、守り方に慣れてくると、むしろ良い縛りとなって書くのを手助けしてくれます。是非ルールを守って文章を書く練習を重ねてみてください。

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