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海底から見つかるものたち

会長には3人の息子がいて、私を雇ってくれてるのは長男さんと次男さん。
そして、実はいちばん下に三男さんがいる。

三男さんは普段は釣り船の船頭をしてて、いまの時期は1ヶ月くらい、なまこの底びき漁をしてる。

私が普段働いている小友地区の内湾側では、1月はなまこの開口月間なのです。
毎日決められた時間、決められた区域で船から網を下ろして、海底をずるずるとひきずりながらなまこを獲る。

今日なまこ獲りをしていたら、網にお金がひっかかったそうです。
震災の津波で流れた感じの、ジッパーに入った真っ黒なお金たち。

お昼に「網に金がひっかかってよー」って言いながら来て、会長がすぐに警察と市役所に電話。
市役所の人たちもびっくりだったよう。

写真には撮らなかったけど、お金って海底に沈んで汚れても、きちんと原型とどめてるんだね。
泥でお札は真っ黒だったけど、野口英世の顔とかちゃんと見えたよ。

いつだかも、なまこの開口のときに、ほかの漁師さんが人の骨を網にひっかけて、津波で身元不明だった人をひとり見つけてた。

海底には、震災で流れたものや見つかっていない方々がまだまだいっぱいいる。
真っ黒なお札を見ながらそういうことをあらためて思い出しました。

あと2ヶ月すると、震災の月。
またなにかのカケラが見つかることを祈るばかり。


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