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【エッセイ】森の思想 湿地の哲学 小川の叙情』


私の住んでいる町の西には 小さな谷がある この公園の開発に関わった 故吉田光男先生の考えを確認し 思いを探しに 人のいない時間に歩くのが いつのまにか私の習慣になった 公園は森を守り 湿地を残し 小川を復活させて 少しずつ大きくなっている まるでそのように自己組織化しているように その中心に 詩の言葉がある

春風の花を散らすと見る夢は醒めても胸の騒ぐなりけり

つまり この谷は春風に散る山桜に向かってある それは毎年繰り返す 森の思想 湿地の哲学 小川の叙情はそれを守るためにあるのかもしれない 人はイメージと共に生き イメージになって イメージに溶けていく 谷に迷いこみ 森を歩き 風の声 小川の囁き 虫と鳥のポリフォニーや湿地の泣き声に 耳を澄ませよう 

初夏の新鮮さとは異なる成熟の香が初秋の谷にはある


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