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本棚の裏には秘密の酒場がありました ~Cocktail Bar ANCHOR~
「街の中にひっそりとたたずむお店」
「静かで落ちついた雰囲気の店内」
「知る人ぞ知る名店」
派手派手しさはないけれど、そこにいるだけでちょっと日常から解放してくれそうな秘密基地のようなお店を、よく「隠れ家的なお店」と言ったりします。
もちろんもののたとえですが、では実際に、入口が巧妙に隠された本物の隠れ家的なお店が日本にあることはご存知でしょうか?
![](https://assets.st-note.com/img/1693102093884-k2nC99rxuT.jpg?width=1200)
◆Cocktail Bar ANCHOR
先日、四国に旅行に出かけた際に、せっかくならと四国に住む友人と久しぶりに会って飲むことにしました。
選んだお店は「Cocktail Bar ANCHOR(カクテルバー アンカー)」さん。愛媛県今治市にあるこちらのバーを知ったきっかけは、YouTubeでした。
お店のマスターは、元漁師のバーテンダーという異色の経歴を持つイエツネさん。
YouTubeチャンネル「プロのお酒塾 マスターイエツネ」も開設されており、食材に関する豊富な豆知識と軽妙な語り口が特徴。
カクテルの作り方や、小売店で買えるお酒の飲み比べ企画などの動画を配信するチャンネルの登録者数は10万人を超えるほどです。
私も動画を観てお店のことを知ったうちの一人で、愛媛に立ち寄った際はぜひお店に行ってみたいと思っていました。
そしてついに念願が叶ったこの日。
今治駅で待ち合わせた友人とともに、漁港の傍にある「ANCHOR」に向かいました。
が、目的地にやってきた私は、早々に首を傾げることに。
「あそこに見えてるの、どうみても古民家では……?」
※写真を撮り忘れたため、グーグルマップから引用・貼り付け
目の前の建物とメモした住所を何度も見比べます。
「やっぱりここだよな」「うーん、ここだね」と友人とささやき合いつつ建物に沿って細道に入ると、
![](https://assets.st-note.com/img/1693112475023-GsAcGI2WFD.jpg?width=1200)
「ANCHOR」の看板と、YouTubeで見覚えのある玄関がありました!
古民家を改装したとは聞いていたのですが、まさかここまでガッチガチの民家だったとは。「バー」という言葉の先入観は恐ろしいものです……。
安心して入口らしきドアを開けた私。
そして、一息ついた息をハッと飲みました。
入口がない
![](https://assets.st-note.com/img/1693102093884-k2nC99rxuT.jpg?width=1200)
玄関扉を開けた先には本棚。
それ以外にドアらしいドアは見当たりません。
おそるおそる中へと足を踏み入れると、
ギイイイ……
と本棚が中から開き、
「いらっしゃいませ」
中からマスターのイエツネさんが現れました!
実はこの本棚がお店の入口。
かつてアメリカで禁酒法が施行されていた時代の潜り酒場をイメージされたのだそう。
動画でこの入口のことは知っていたつもりでしたが、いざ目の当たりにすると本当にただ本棚があるだけでたじろぎました。
日本の街並みに溶け込む古民家の外観をしたバーに、玄関にはとても入口には思えない本棚……
巧妙に隠された、合法の潜り酒場。
この時点で面白すぎます。
もちろん潜りの酒場らしく、入店の際の合言葉も忘れません。
「あ、予約してた○○です」
「はいどうぞー」
通じました。
では中に入っていきましょう!
◆元漁師が営むカクテルバー
![](https://assets.st-note.com/img/1693104584292-JHia1s3VCj.jpg?width=1200)
開店一番に入ったこともあって、まだ客は私たちだけ。
各テーブルに置かれたキャンドルの火が、暗めの室内を幻想的に彩ります。
予約していたのはテーブル席。お店の壁にはカクテルにまつわる写真がずらりと並んでいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1693104883107-fvYL0SRAJ4.jpg?width=1200)
おつまみなどの注文を終え、まずは友人とビールで乾杯します。
メニューにフィッシュ&チップスやチーズなどの品が並ぶ中、ひと際目についたのが愛媛県名物の「真鯛」の刺身。
![](https://assets.st-note.com/img/1693112656079-wteMnVIG0x.jpg?width=1200)
漁港をかまえる今治市の、元漁師のマスターが営む店らしいこちらの一品。
鯛の身があっま甘で、何もつけなくてもいいくらい!
![](https://assets.st-note.com/img/1693105682885-9JDuCmo4qN.jpg?width=1200)
さて、ビールも料理も堪能したところで、いよいよカクテルを注文します。
メニューを見ると、地元今治産のみかんを使ったジントニックや地酒のカクテルなど、種類が豊富で迷うところ……
ちなみにこの日再会した友人は、旧来からの付き合いというわけでなく、実は数ヶ月に北海道でSLに乗車した際に、席が隣同士だったことから知り合った仲。(↓の記事で「Aさん」として紹介しています)
四国在住とのことだったので、「また四国に来た際は会いましょうね」と言って別れましたが、まさかこんなにもすぐに再会が叶うとは。
一期一会で終わらない旅の出会いというのも良いものです。
なんて感慨に浸っている間に、友人は「どら1・ネグローニ」という名前も見ためもすげぇインパクトなカクテルを頼んでました。
![](https://assets.st-note.com/img/1693112757446-kK0MCHiUGW.jpg?width=1200)
あきらかに食中に飲むもんじゃない代物を頼む豪胆さ。
さすが、北海道の大地を共に駆けただけのことはある。
「夏らしくスイカのカクテルで」と安直な選択をした私を許してほしい。
このカクテルもおいしかったし。
![](https://assets.st-note.com/img/1693112897036-iEImPrKOOc.jpg?width=1200)
裏に見えるのは私たちに特に人気だった「バッファローチキン」
時間が経つにつれ来店客が増え、店内は賑やかに。
それでもお店の雰囲気やテーブルが程よい距離で配置されていたこともあってか、終始落ち着いた空気が保たれていました。
そろそろシメの時間になってきたので、最後に頼んだがこちら。
![](https://assets.st-note.com/img/1693107670557-j06nuKbTdv.jpg?width=1200)
はい、「真鯛と穴子のアラ出汁塩ラーメン」です。
スープを一口すすると、あっさりすぎず濃すぎない絶妙な加減の味わい。
その奥に確かに感じる鯛の風味が喉を吹きぬけ、「バーらしいメニュー」という固定観念すら吹きとばしてくれそうです。
実際、仕込みの紹介動画でマスターが鯛のアラを焼かれていた時に「もうバーの仕込みじゃねぇ」とツッコまれていたのが面白かったです。
でもプロのラーメン屋に匹敵するほどの味わいだったのは確か。
このお店に来て唯一の後悔は、おいしい料理とお酒でお腹いっぱいになったとはいえ、最後までスープを飲み干せなかったことです。
退店する際、自ら見送りに立たれていたマスターにお詫びの気持ちもこめてしっかりお礼を言いました。
![](https://assets.st-note.com/img/1693105807941-5iQG5vIq0W.jpg?width=1200)
マスターの解説によると、今年の春に改装されたばかりの「Cocktail Bar ANCHOR」のテーマは「歴史」。
カクテル、今治、そしてマスター自身の三つの歴史をクロスオーバーさせているのがコンセプトで、入口の禁酒法時代の潜り酒場をイメージした本棚もその一つ。
他にもその三つの歴史の要素がお店のあちこちに隠れていますが、でもやっぱり一番の隠れ家はカクテルと料理の中。
今治産の食材を使ったカクテル。
真鯛料理。
そしてラーメン。
磨かれたセンスと技術の末に生み出されたおいしい品々は、物言わず「ANCHOR」が歩んできた独自の歴史を伝え続ける語り手たちでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1693109141503-gdY76W2dFR.jpg?width=1200)
愛媛今治市の漁港に佇む「Cocktail Bar ANCHOR」
知る人ぞ知る本棚の裏の隠れ家で、今日もおいしい歴史が語り継がれています。
▼お店のホームページ
▼YouTubeチャンネル「プロのお酒塾 マスターイエツネ」
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ここまで読んでいただきありがとうございました。
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