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「トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』から描写の基礎を学ぶ
①トーマス・ブッデンブロークは、メング通りを下手へ歩き続け、フェンフハウゼンまでおりた。上手をまわってブライテ通りを通るのは、知り合いの何人もに会い、帽子をいつも脱いでいなくてはならないので、それを避けたのであった。濃い灰色の暖かそうな襟付外套の大きいポケットに両手を突っ込み、こちこちに凍りついて、水晶のようにきらめいている雪の上を、きゅっきゅっと踏みながら、考えこみがちな顔をして歩いていた。誰も
もっとみる🦅トルーマン・カポーティ「無頭の鷹」〜思わず真似したくなるその華麗な風景描写
「その日は明け方から空は暗く、今にも雨が降り出しそうだった。暑い雲が空を覆い、夕方五時の太陽を遮っていた」
「沈んでいこうとしている月は、夕暮れに昇ったばかりの月のようだ。湿った一ドル銀貨のように見える。暗闇を失っていく空は、灰色に洗われている。日の出とともに吹く風が、天国の樹の葉を揺さぶる。白んでくる光の中で、庭はその形を、物はその位置をはっきりとさせていく。あちこちの屋根からは、鳩の低い朝の
小説の書き方にもルールがある。
「圧倒的なエピソード描写力を会得したい」
今年に入って、トルストイの「戦争と平和」を読んだことを皮切りに、ヘッセやゲーテやトーマス・マン、あるいはカポーティを再読したりして、やはり、小説の質というものは、エピソード描写力に尽きると思った。
なので、俺もしばらくは圧倒的なエピソード描写力を身につけるという強い意志を持って創作に臨んでいこうと思う。
正直、noteもそうだけれど、ネットで挙