大澤裕一

千葉県市川市出身/つくし幼稚園→平田小→市川中・高→東大(理1・理学部数学科)・東大大…

大澤裕一

千葉県市川市出身/つくし幼稚園→平田小→市川中・高→東大(理1・理学部数学科)・東大大学院(数理)→SEG・エデュカ/「大学への数学」ほかに連載/数学の魅力・学びの楽しさを伝える/数検1級・統計検定1級合格/趣味はマラソン/19,21東京完走ほか/いつか市川に戻りたい/

記事一覧

数検1級を受験しました。(2回目)

このnoteでは、私が受験した数検1級(2024/04/14(日))について、受験勉強、試験の出来、合否発表などを冗長に記述します。数検1級に興味のある方、受験予定の方で、時間の…

大澤裕一
7日前
3

「二項分布の補累積分布関数」とF分布の関係

2024/04/14(日)実施の数学検定1級の2次試験で、「二項分布の補累積分布関数($${P(X \geqq k)}$$)の値をF分布を利用して考える」と言う話題が出題されました(原題は仮説…

大澤裕一
8日前
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ケンブリッヂの入試 口頭試問問題サンプルの1問

数学セミナー 2017年4月号「試験のゆめ・数理のうつつ」(時枝 正 先生)の第1回「ケンブリッヂの入試」より抜粋しました。理系の大学受験生の皆さんは、ぜひ考えてみてく…

大澤裕一
1か月前
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2024名大理系前期大問4(2)を一発で解く

数理統計学における、比較的有名な事実(二項分布とベータ分布の関係)に関する証明問題です。ぜひ考えてみてください。解答は、この下の原題の画像の下に載せます。 普通…

大澤裕一
1か月前
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期待値の問題(2024共通テスト)

上記は、2024年の大学入学共通テストの数学2・数学B本試験の第3問(統計的な推測)の中で扱われていた問題の表現を変更したものです。ただし、この問題そのものが直接問わ…

大澤裕一
2か月前
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ウォリス積分をベータ関数とガンマ関数を利用して求める。

ウォリス積分    $${\displaystyle I_n=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin ^n x~dx~\Big(= \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos ^n \theta~d\theta \Big)~(n=0,1,2,\cdots)}$$ …

大澤裕一
3か月前
4

統計検定1級を受験しました。(2回目)

このnoteでは、私が受験した統計検定1級(2023/11/19(日))について、受験勉強、試験の出来、合否発表などを冗長に記述します。統計検定1級に興味のある方、受験予定の方で…

大澤裕一
5か月前
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数理統計学のゼミ(第2弾)を行います(2024/01/12-2024/05/24)【2024/04/26で終了】

「むぐむぐ勉強会」(むぐれしあさん(@Mgreshia4)が主催されるDiscordサーバー上でのオンライン勉強会)にて数理統計学のゼミ(第2弾)を行います。概要は次の通りです。…

大澤裕一
5か月前
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exp(x)/x^α→∞(x→∞) のとても簡潔な証明

基本極限である$${\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{e^x}{x^\alpha}=\infty}$$($${\alpha}$$は正の定数)の証明については、様々な方法が知られています。今回は…

大澤裕一
5か月前
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「極小値の個数が1個」とは!?

数II微分(多項式関数の微分)が既習の方向けの問題です。考えてみてください!少しイジワルな問題ですが…。以下のtwitterの投稿の下に略解を載せます。 [略解] あり得る…

大澤裕一
6か月前
3

「難しい」定積分の問題

原題は東工大の編入試験あるいは院試の問題のようです(原題には$${|a| \neq 1}$$という仮定はありませんでした)。ツワモノはぜひ考えてみてください。高校数学の範囲で解…

大澤裕一
7か月前
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tan(89.99…9°)の値

大学生のときの基礎実験の時間中、実験をさぼって電卓で遊んでいたら、以下の事実を発見しました(「実験、さぼるなよ!」というツッコミが来そうです。すみません…)。 …

大澤裕一
8か月前
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スコア関数を用いた期待値の計算

幾何分布の期待値を「スコア関数(logP(X=x)をパラメータで微分したもの)の期待値=0」を利用して求めました。無限和を計算することなく、簡単に求まります。 他の指数型…

大澤裕一
9か月前
4

a,bが互いに素⇒a+b,abが互いに素 の証明

   「互いに素な整数$${a,b}$$に対し、$${a+b,ab}$$も互いに素」 の一風変わった証明を紹介します。これについては、素数の性質(整数$${a,b}$$と素数$${p}$$に対し、$$…

大澤裕一
10か月前
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大澤の「朝日新聞 明日へのLesson」の寄稿について

大澤がこれまで「朝日新聞 明日へのLesson」に寄稿したものについて列挙します(新しいものから順に載せています)。宜しければ、ぜひお読みください。(有料記事ば…

大澤裕一
1年前
3

大澤の「大学への数学(東京出版)」の寄稿について

大澤がこれまで「大学への数学(東京出版)」に寄稿したもの(ツイッターへの投稿)を列挙します(新しいものから順に載せています)。宜しければ、ぜひお読みください。な…

大澤裕一
1年前
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数検1級を受験しました。(2回目)

数検1級を受験しました。(2回目)

このnoteでは、私が受験した数検1級(2024/04/14(日))について、受験勉強、試験の出来、合否発表などを冗長に記述します。数検1級に興味のある方、受験予定の方で、時間のある方はぜひお読みください。

数検1級の概要は次の通りです。

1.2024年4月の試験まで

2022年7月に数検1級を初めて受験しました。このときの詳細については、以下をお読みください。

前回の受験のときは、対策の

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「二項分布の補累積分布関数」とF分布の関係

「二項分布の補累積分布関数」とF分布の関係

2024/04/14(日)実施の数学検定1級の2次試験で、「二項分布の補累積分布関数($${P(X \geqq k)}$$)の値をF分布を利用して考える」と言う話題が出題されました(原題は仮説検定の問題)。これについては、「そもそもそんな話、知らない」と言う方も多いかと思います。そこで、今回は、このことをできるだけ分かりやすく解説したいと思います。実際の試験問題を掲載することは禁じられているので、

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ケンブリッヂの入試 口頭試問問題サンプルの1問

ケンブリッヂの入試 口頭試問問題サンプルの1問

数学セミナー 2017年4月号「試験のゆめ・数理のうつつ」(時枝 正 先生)の第1回「ケンブリッヂの入試」より抜粋しました。理系の大学受験生の皆さんは、ぜひ考えてみてください。
(定積分の数値評価に関する問題は、大学入試でもしばしば出題されます)
解答は以下のツイートの下にあります。

実は、はじめは以下のツイートのような解答を用意したのですが、数学するひよこさん(@mathmathpiyopi1

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2024名大理系前期大問4(2)を一発で解く

2024名大理系前期大問4(2)を一発で解く

数理統計学における、比較的有名な事実(二項分布とベータ分布の関係)に関する証明問題です。ぜひ考えてみてください。解答は、この下の原題の画像の下に載せます。

普通の証明は、
「右辺の定積分を部分積分の反復で計算し、$${f(k)}$$に一致することを示す」
だと思います(あるいは、この方法と実質的に同等だが、部分積分+数学的帰納法で示す)。

さて、この等式を「一発」で示すこともできます。一様分布

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期待値の問題(2024共通テスト)

期待値の問題(2024共通テスト)

上記は、2024年の大学入学共通テストの数学2・数学B本試験の第3問(統計的な推測)の中で扱われていた問題の表現を変更したものです。ただし、この問題そのものが直接問われたわけではありません(詳細は問題文をご確認ください)。面白い問題だと思うので、ぜひ取り組んでみてください。特に、2022年度から施行された学習指導要領(期待値の必修度合いが前課程よりも高まった)で高校数学を学ぶ高校生には、ぜひ考えて

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ウォリス積分をベータ関数とガンマ関数を利用して求める。

ウォリス積分をベータ関数とガンマ関数を利用して求める。

ウォリス積分
   $${\displaystyle I_n=\int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \sin ^n x~dx~\Big(= \int_{0}^{\frac{\pi}{2}} \cos ^n \theta~d\theta \Big)~(n=0,1,2,\cdots)}$$
の一般項は普通、$${I_n}$$の漸化式を立式して再帰的に計算して求めますね。ここでは、$${I_

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統計検定1級を受験しました。(2回目)

統計検定1級を受験しました。(2回目)

このnoteでは、私が受験した統計検定1級(2023/11/19(日))について、受験勉強、試験の出来、合否発表などを冗長に記述します。統計検定1級に興味のある方、受験予定の方で、時間のある方はぜひお読みください。

統計検定1級の概要は次の通りです。

1.2023年11月の試験まで

2022年11月に統計検定1級を初めて受験しました。このときの詳細については、以下をお読みください。

202

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数理統計学のゼミ(第2弾)を行います(2024/01/12-2024/05/24)【2024/04/26で終了】

数理統計学のゼミ(第2弾)を行います(2024/01/12-2024/05/24)【2024/04/26で終了】

「むぐむぐ勉強会」(むぐれしあさん(@Mgreshia4)が主催されるDiscordサーバー上でのオンライン勉強会)にて数理統計学のゼミ(第2弾)を行います。概要は次の通りです。

(1) 教科書:
「データ解析のための数理統計入門」(久保川達也、共立出版) 

※参考書として以下を挙げておきます。なお、2023/03/03-2023/11/17にこちらの書籍の第2~9章(+α)をゼミで扱いました

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exp(x)/x^α→∞(x→∞) のとても簡潔な証明

exp(x)/x^α→∞(x→∞) のとても簡潔な証明

基本極限である$${\displaystyle \lim_{x \to \infty} \frac{e^x}{x^\alpha}=\infty}$$($${\alpha}$$は正の定数)の証明については、様々な方法が知られています。今回は、とても簡潔な方法を紹介します。私が知る方法の中で最も簡単な方法です。「増加で下に凸な関数は$${x \to \infty}$$で正の無限大に発散する」(直観的に

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「極小値の個数が1個」とは!?

「極小値の個数が1個」とは!?

数II微分(多項式関数の微分)が既習の方向けの問題です。考えてみてください!少しイジワルな問題ですが…。以下のtwitterの投稿の下に略解を載せます。

[略解]
あり得る場合は、以下のいずれか。
 (ア) $${f(x)}$$の極小値を与える$${x}$$が$${1}$$つ($${a=0,1}$$)
 (イ) $${f(x)}$$の極小値を与える$${x}$$が$${2}$$つで、これらが同じ

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「難しい」定積分の問題

「難しい」定積分の問題

原題は東工大の編入試験あるいは院試の問題のようです(原題には$${|a| \neq 1}$$という仮定はありませんでした)。ツワモノはぜひ考えてみてください。高校数学の範囲で解けます。略解は次の通りです。

区分求積法と複素数(1の累乗根)を利用するところが面白いですね。
■$${|a|=1}$$のときは、この積分は広義積分になります。この場合を除外するために、仮定に$${|a| \neq 1}$

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tan(89.99…9°)の値

tan(89.99…9°)の値

大学生のときの基礎実験の時間中、実験をさぼって電卓で遊んでいたら、以下の事実を発見しました(「実験、さぼるなよ!」というツッコミが来そうです。すみません…)。

何と、$${89.99\cdots9^{\circ}}$$の末尾に$${9}$$を1つ追加すると、$${\tan}$$の値が約10倍になるのです!しかも、はじめの$${\tan 89^{\circ}}$$の値は$${\displaysty

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スコア関数を用いた期待値の計算

スコア関数を用いた期待値の計算

幾何分布の期待値を「スコア関数(logP(X=x)をパラメータで微分したもの)の期待値=0」を利用して求めました。無限和を計算することなく、簡単に求まります。

他の指数型分布族(二項分布、ポアソン分布、正規分布、ガンマ分布など)でも同様の計算ができます。ぜひやってみてください!

参考までに、コメントを下さった黒木玄先生(@genkuroki)の引用ツイートも掲載します。

a,bが互いに素⇒a+b,abが互いに素 の証明

a,bが互いに素⇒a+b,abが互いに素 の証明

   「互いに素な整数$${a,b}$$に対し、$${a+b,ab}$$も互いに素」
の一風変わった証明を紹介します。これについては、素数の性質(整数$${a,b}$$と素数$${p}$$に対し、$${ab}$$が$${p}$$で割り切れるならば、$${a,b}$$の少なくとも一方は$${p}$$の倍数)を用いる方法が有名ですが、今回はこの性質を用いません。

整数論における基本定理「整数$${A

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大澤の「朝日新聞 明日へのLesson」の寄稿について

大澤の「朝日新聞 明日へのLesson」の寄稿について

大澤がこれまで「朝日新聞 明日へのLesson」に寄稿したものについて列挙します(新しいものから順に載せています)。宜しければ、ぜひお読みください。(有料記事ばかりですが…)

大澤の「大学への数学(東京出版)」の寄稿について

大澤の「大学への数学(東京出版)」の寄稿について

大澤がこれまで「大学への数学(東京出版)」に寄稿したもの(ツイッターへの投稿)を列挙します(新しいものから順に載せています)。宜しければ、ぜひお読みください。なお、2024年度も6,8,10,12,2月号に連載を担当します。

2021年10月号では、「区分求積の和と定積分の誤差」に関して書きました(「大学への数学」の執筆デビュー)。近年の大学入試において、この話題がよく出題されています。後半では

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