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からたち野道(THE BOOM)
幸福の終わりは、時としてとても甘美に、綺麗なかたちをしてやってくる。
私は、ずっと祈り続けている空に山になくしたものたちに。
でもずっと届かない、足りない。
戻らない時間に対してあがき続けている。
じたばたと。
あの日、濁流が飲み込んで失われた3つの命。幸せな家族の風景。
父も母も兄も。あっという間に存在が消されしまう。
私は突然一人になった。10歳の時だった。
あまり関係が良くな
【小説】魔法のキノコ
なんかむししゃくしゃして。思いっきりブロックをぶっ叩いたらキノコが出た。
限りなくショッキングピンクに近い赤。カラフルなキノコを食べたら一瞬で世界が変わった。ああ、そうだそうだ。全部わかったよ。この世の中の何もかもが間違っているし、俺は全部ぶっ壊してやりたい。
血が暴走しているみたいに血管が脈打ってる、今ならなんでもできる、全部できる。すげえ、すげえ。圧倒的な全能感。俺はヒーローになった
中村文則『カード師』感想
この物語の核。
運命と人間との対峙。
それは、古来からの決して叶うことのない人間たちの儚い夢。
無謀な挑戦でもありました。
僕が実家で子供の頃に読んでいた「マンガ日本の歴史」では、卑弥呼の時代に鹿の骨の割れ方で吉兆を占うというような描写がありました。
そのような古来から人間は、先にある未来を知りたいと強く願い、様々な方法で占おうとしていたのです。
人生は選択の連続だし、未来
~大河の流れに飲み込まれても、一粒の雨粒の物語は継承されていく~村上 春樹『猫を棄てる』
エッセイ『職業としての小説家』でも感じましたが、随分と村上春樹自身の内面、考え方やパーソナルな部分について語っている内容だなと感じました。初期のエッセイなんかでは、もっと日常の気楽なよもやま話なんかを書いている印象が強かったので。
家族、特に父親との関わりには何か特殊な事情があるのではと思っていましたが、僕の知る限りではほとんど語られてきていませんでした。
そんな中、今作『猫を棄てる』のサブ