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宵闇の旅

うすらぼんやりとした暗闇の中、私は10億年の旅をする。温かい液体に満たされ、重低音がほぼ一定のリズムを刻んでいる。
 
雨粒が地面を打つ音。風が草木を揺らす音。心地よく低く響く・・・優しい声。私は全て知っている。


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私は夜明け前の薄闇の中、逆さまに眠り続ける。覚醒しては、また眠る。宵闇の中、光が何重にも踊り手招きする。おいでおいでおいで。私は次第に焦がれる。

旅の終わりが近い。


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私は強く何かを求めて小さな身体を震わせる。不安と恐怖、懐かしさと幸福感が綯い交ぜになった不思議な感情に囚われる。

何か強い力に導かれて外の世界へと押し出されていく。光が束になって私の網膜と神経を焼く。


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定まらない頭で、夢から覚めた。涙が一筋流れているが、何も覚えてない。

窓の外は宵闇の深いブルーが橙色に溶けて優しい色をしていた。

スマホが着信で震える。きっと、母からの誕生日の祝いのメールだ。

部屋が春の匂いで満ちる。

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