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閑窓随筆 ~『法隆寺燃ゆ』 第二章終わりにあたって……

『法隆寺燃ゆ』第二章「槻の木の下で」が終わりました。

 今回は、少し更新を早めましたので、おおよそ2か月弱で終えることができました。

 前・中編は、日本の古代史上もっとも重要な事件のひとつ —— 乙巳の変までの過程を、事件の中心的人物であった中臣鎌足をメインに描きました。

 中臣家の一員として、豪族連合に組するか?

 それとも盟友である蘇我入鹿とともに、政治改革を行うか?

 鎌足を、才知溢れ、武勇に優れた英雄ではなく、自分の人生に悩む青年として描きました。

 そして、鎌足に裏切られた入鹿ですが、彼は鎌足を恨みもせず、死んでいきます。

 そこには、話さずとも分かり合える、入鹿と鎌足の友情というものがあったのでしょう。

 そして後編は、貴族の権力争いとは別のところで、弟成たち奴婢の人生が動き始めます。

 八重女という女の子と出会った弟成と黒麻呂。

 斑鳩寺の寺主でありながら、何かと弟成に目をかける入師。

 歴史に名をとどめない人たちの人生も、貴族たちとは別のところで激しく流転していくのです。

 そして第三章「皇女たちの憂鬱」では、蘇我氏が滅び、新しい時代へと突入していきます。

 が、政治体制は、蘇我氏から別の豪族たちに移っただけで、何ら変わりはありません。

 ただこの時代、女性たちが元気です。

 史上初生前譲位をした皇極天皇が再び帝位に返り咲き、これまた史上初の重祚として斉明天皇となります。

 文学史上では、額田王や鏡大王が活躍します。

 また、のちの持統天皇である讃良皇女も幼少期を過ごします。

 閉塞した時代から何とか抜け出そうと、女性たちが活躍していきます。

 そして弟成たちも、少年から青年へと成長していきます。

『法隆寺燃ゆ』第三章「皇女たちの憂鬱」 —— 引き続きお楽しみください。

 と、その前に、別のお話を掲載するかもしれません。

 こちらも、お楽しみください。

 

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