hiro75

本業の合間に、小説を書いています。主に、歴史・時代小説が得意です。たまに、現代・恋愛小説など書きますので、よろしくお願いしますm(_ _)m

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 後編 11

覚悟はしていたが、貴人の生活は相当厳しいものであった。  奴婢のとき、何度か貴人を目の当たりにしたが、その時の優雅な物腰や振る舞い、服装に憧れ、きっと素敵で、楽...

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 後編 10

大伴家に連れてこられるなり、八重女はそこの侍女連中から冷たい視線を浴びせられた。  なかでも一番年老いた侍女が、まるで兎を狩る鷹のような目つきで八重女を睨みつけ...

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 後編 9

彼女は、人としての幸せを捨て、婢として生きていくことに決めた。  感情を持たず、ただの道具として ―― それは婢として立派な心掛けであった。  だが、どれほど自...

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 後編 8

彼女に家族はない。  婢であるので、もともと家族を持つことは許されないのだが、それでも生みの親がいて、兄弟がいるのは当たり前だ。  が、彼女は親の顔を知らない。...

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 後編 7

雨の音を聞いていると、騒めいた心が落ち着く。  それは、自分の一番古い記憶だからだろうか?  八重女は、蒲生野に建てられた仮庵から顔を覗かせ、弾ける雨音を静かに...

【歴史小説】『法隆寺燃ゆ』 第五章「法隆寺燃ゆ」 後編 6

「やつめ、大海人様を大兄にしないということは、大王にしないということではないか? 大友を大王につける算段ではないのか?」  吹負の言葉に、そこまでやるか……と疑...