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ギルティ女史には秘密の話



今日も慌ただしいオフィス。
ギルティ女史はいつものように猛スピードで仕事をこなしている。

【ギルティ女史はプラダを着ない】
「働くとは、仕事とは何か」を教えてくれた、元上司のぶっ飛びストーリーをまとめたエッセイマガジン。
※連載ですが1話完結のためどこからでも読めます。


日々いろいろな人が多く出入りして、打ち合わせなどが行われているオフィス。
その中でなぜだか私は、自分は他の部署の人とはあまり話してはいけないとされているような空気を感じていた。

もちろん、簡単な挨拶をしたり、用のあるスタッフを呼びに行くのに2〜3言葉を交わしたりはするが、それ意外のちょっとした世間話などをしようものならギルティ女史の方からするどい視線が送られてきているような気がするのだ。

無駄話をせずさっさと仕事をしろということなのか、私がポンコツすぎるのでそれがバレるのを避けようとしていたのか。
理由はわからなかったが、私はその扱いがなんとなくここのスタッフとしてまだ一人前と認められていないように感じていた。
しかし彼女の機嫌を損ねてはならないので、必要最低限の挨拶などは努めて明るく接するものの、極力それ以上会話が広がったりしないようにいつもぴゅーっと仕事に飛び戻るようにしていた。


先日の加湿器の一件といい、ギルティ女史のちょっとカラーが濃すぎるところや普段の彼女の敏腕ディレクターっぷりは他の部署の人にも轟いており、良くも悪くもある意味一目置かれていた私の部署。
彼女はもしかすると自分の部署のイメージ的なものを守りたかったのかもしれない。

他の部署の私と同年代であろう人達は大体有名大学を卒業して、きちんと新卒で入社してきたエリートばかりだ。
卒業後、フラフラととりあえずパチンコ屋でバイトをしてみて無駄に目押し(スロットの絵柄を揃えること)の技術を身につけてからぬるりとここに来た私なんかとは大違いである。

「仕事をしながら、たまにモデルもしています♡」というそんな勝ち組すぎる人生があるのかと思うような眩しい経歴を持つ綺麗な人がいたり、キラキラとした業種のような世間的イメージもあったその会社では、確かに私のようにいつもどやされてドタバタしている人なんて周りを見渡してもあまりいなかった。


そんなわけでほとんど別の部署の人と話す機会がなかった私。
しかしその中で、たまに私に話しかけてくれる人が1人だけいた。

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