マガジンのカバー画像

未完日記

378
雑談やエッセイ、自分の考えていることなどの色々をまとめたモノです。
運営しているクリエイター

#ショートショート

『三日坊主のさとり』~3話~

『三日坊主のさとり』~3話~

【学道僧侶のさとり】

この寺には大きな書庫がある。

国中から修行僧が集まるのと同様に、書物もまたこの寺に集められていた。その書物が収められているのが寺の書庫である。

書庫のサイズは、先の道場を上回る大きさである。そんな書庫を管理統括している人物がいた。

その人こそが、学道僧侶(がくどうそうりょ)その人である。学問の先に、『悟り』を見い出した人物である。

学道僧侶は今日も書庫にこもり。学問

もっとみる
『三日坊主のさとり』~2話~

『三日坊主のさとり』~2話~

【剛力僧侶のさとり】

太陽がめざめる前。人も動物も寝静まり、寺の中は冷たい空気に覆われていた。

ハッ! ハッ! ハッ! 

早朝の冷たい空気をはねのける。熱のこもった声が、寺の一角から聞こえてくる。そこは道場であった。

ハッ! ハッ! ハッ! 

道場の中心に立ち、武術の型を繰り出している。むき出しの上半身は、もはや筋肉を超えて骨の硬度に近い。鍛え抜かれた肉体から、白い蒸気が生まれる。まるで

もっとみる
『切っ掛け』

『切っ掛け』

 通勤、通学客で、混雑するバスの中。

 彼女の手にはいつも本が握られていた。

 眠たそうな学生、朝から疲れている会社員。皆の気だるさが充満する中で、かまわず本の世界に没頭する彼女は少しだけ特別な存在に思えた。

 そんな僕も気だるさを吐き出している一員であり、だからこそ彼女のに興味がわいたのだ。

 いや、嫉妬……なのかもしれない。

 本を読む彼女に、僕には無い何かを感じたのだ。

 そんな

もっとみる
『その手に舵を握れ』

『その手に舵を握れ』

 思えば流れのまま生きてきた。

 歳をとるごとに、何度か大きな分岐点がきて。
 その度に周りの声や社会の常識などを気にして、流れの強い方向に流されてきた。

 気がつけばずいぶん流されてしまった。
 自分がたとりつきたいと、夢見た島は遥か遠く。
 
 一体全体どうしてしまったんだ?
 今や手に持つコンパスすら、目を回している。

 いったい自分はどちらに進めばいいんだ?

 先が見えない恐怖や不

もっとみる
『吾輩は猫である。魔物ではない!』

『吾輩は猫である。魔物ではない!』

吾輩は猫である。
名前もある。

先生と呼ばれている。

冬目という物書きの世話になっている。

大抵のことは理解できる。
だてに先生と呼ばれていない。
しかし、困った……

ここはどこだ?

吾輩は気がついたら、見知らぬ土地にいた。

最後の記憶は確か……
朝の日課である散歩をしていて……

その時に何かが起きたような……
大きな衝撃が……

ダメだ、思い出せぬ。
考えても仕方がない。
まずは、

もっとみる
『コレが夢だと分かっていても』

『コレが夢だと分かっていても』

 リコは、頬を思いっ切りつねった。

(痛くない……)

 痛みを感じなかった。

 そして、あることを確信した。

(コレは夢だ!)

 リコは中学生の頃から度々同じ悪夢を見ていた。

 それはある廃病院に閉じ込められて、そこから脱出を試みるといった内容の夢だった。

 そして今回もまた同じ悪夢だと確信した。

 夢の始まりはいつも同じ病室からだった。

 部屋を照らす蛍光灯は半分以上が割れてい

もっとみる
『シリアル・イーター』

『シリアル・イーター』

 wweeoo‼ 

 とある倉庫の前でパトカーが止まる。

 男が降りてきた。

「クリフォード刑事、お疲れ様です」

 警官が、クリフォードに敬礼する。

「お疲れ、奥さんと仲直りしたか?」

 クリフォードは、警官に言葉を投げながら倉庫の入り口に近づく。

「まだ……」

「さっさと謝っちまへ」

 はぁ~と、煮え切らない返事を返す警官を横目に、慣れた動きでテープをくぐり倉庫の中へ。

「お

もっとみる
『ネット・ダイバー』

『ネット・ダイバー』

「先輩、ターゲットを発見したそうです」

「分かった。URLを送ってもらえ……」

(htttttps://net.mu//new//world)

「先輩これって……」

「……深いな。第五階層だ。ヤバくなったら強制終了するからな」

「りょ…了解」

//Enter//

「ここは……」

「依頼人の家だ。田中、建物には触るなよ!」

「いた⁉︎ 先輩ターゲットを発見。え⁉︎」

「どうした、

もっとみる
ようこそ21世紀へ

ようこそ21世紀へ

どうも皆さん、未完です。

今日は少し僕の思い出を書いてみようと思います。

その前に皆さんに一つ質問です。

「あ!自分って21世紀に生きてるんだな~‼」って感じたことありますか?

例えば、iPhoneやiPodに出会った時とか!3DCGの映画を見た時とかに「21世紀を感じる」経験をしたことありませんか?

今回は僕がこれまでの人生で一番21世紀を感じた!

その時のお話になります。

あれは

もっとみる
ダンボール

ダンボール

どうも皆さん、未完です。

今日は前々から考えていた一話完結小説(ショートショート)をまとめる箱を作りました。

箱の名前は「ダンボールいっぱいの未完」です。

これから細かい作品はこのダンボールに詰め込んでいこうと思います。

どうぞよろしくお願いします。

エッセイや雑談用のタイトルロゴも作りたいな……どんなのにするかな?