【掌編小説】ホワイトデーにお返しを#あなたの温度に触れていたくて
(読了目安3分/約2,300字+α)
「俺はどっちかというと西森さんだな」
ぼんやりと喫煙ルームで天井を見上げていた僕の耳に「西森さん」というキーワードが引っ掛かる。僕は煙草の灰を落としながら、さりげなく声の主に目をやった。
喫煙ルームの反対の角で、同じ部署の二人が猥談で盛り上がっている。
「わかるわー。ああいうの、そそるな。おっぱいでかいし」
「小野さんは、っぽいけど乗ってこないタイプ」
「あ、お前知ってる? こないだ蓮司、小野さんお持ち帰りしたらしいぜ」