イギリスの田舎に伝わる習わし
イングランドの田舎に生きる、文献上でも忘れられたような昔ながらの伝統行事。
ブラムリー林檎でできた「ワッセイル」というお酒があって、昔の南イングランドでは、1月5日にクリスマスツリーを片付けたあと、そのお酒で乾杯をする。
「ワッセイル」とは昔の言葉で、「乾杯」とか、祝福を願う言葉らしい。
ワッセイルについて調べると、↑これぐらいのことしか出てこないのだけど、
実際は、私達の村には、しっかり習わしが残っている。おそらくモダナイズされているのだろうけれど、さてその実態は、
村中のみんなで、その晩タイマツを持って村の中心に集まり、伝統的な楽器で演奏が始まると「モリスダンス」という古の民族ダンスを踊り
子供達は、鍋やヤカンを叩いてリズムを作り、みんなで「ワッセイルーー!!」と、これ以上ないぐらいの大声で笑い叫びながら
森の中の林檎林まで練り歩く。この間、通行する車は村の衆によって迂回させられる。警察はいない。
そこには朝から、用意されてた大きな大きな焚き火があって🔥
林檎林のその焚き火の前で、昔ながらのお道化師達の劇がお披露目される(演目は、アーサー王の伝説だったり)。
この劇もローカルの男達がやるのだけれど、かなり気合が入ってて、しかも最新のコント的要素が組み込まれてて面白い。皆の笑いは、火の粉とともに夜空へ舞い上がる。
焚き火を囲んで一年の収穫を祝う。民謡を歌ったり、スパイスがきいた温かい林檎酒を呑んで、澄んだ星空の下、炎の前で話し込みながら、夜遅くまで楽しく過ごす。
時々誰かが、ふと「ワッセイルー!!」と叫ぶと、皆がまたあとに続いて「ワッセイルー!!」と叫ぶ。
「祝福ー!!」「乾杯ー!!」「本年も豊作ー!!」みたいな感じで、夜中に大声。
今年は残念ながら、ロックダウンで中止になっちゃったけどね。
そしてこの後まだ続きがあって。朝になったら、その燻ぶった焚火で、私たちと親友家族は、ワイルドな朝ごはんを食べる。
ひんやり1月の(寒い)新鮮な空気の中で、夫たちが腕をふるワイルドな朝食は、格別。
子供たちも大喜び。私はこの火の上に、日本から大切に持ってきた鉄瓶を置いてお湯を沸かして、朝の紅茶を淹れる。ワイルドこのうえない。
緑の中の暮らし。自然の恩恵を受けてのびのびと過ごす。一緒に朝の空気と朝食を楽しむ、気の合う友人たちがいる。そして、家族が笑顔で過ごせるということ。なんて幸せなんだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?