血液内科ニュース

血液内科専門医が最新の興味深い・重要な論文を紹介します。

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最近の記事

「血液内科」Vol.81 No.6

今月も科学評論社が出版している「血液内科」を入手しました。今月の特集は「造血幹細胞移植の最近の動向」でした。 特に興味をひかれた話題をピックアップしてコメントしてみたいと思います。 個人的にはこの号では特に、p876 日本医科大学の永田先生の「MDSのクローン進化と予後」とp832 岡山大工の遠西先生の「TMEM30A」の話を楽しく読みました。前者は永田先生らが2019年にNature communicationに投稿された論文の解説です。MDSが一段と深く理解できる素晴

    • レナリドマイド曝露ありまたは難治性多発性骨髄腫におけるDRdとDPdの比較

      Daratumumab Plus Lenalidomide and Dexamethasone (DRd) Compared to Daratumumab Plus Pomalidomide and Dexamethasone (DPd) in Relapsed Lenalidomide-Exposed or Refractory Multiple Myeloma (MM) Patients: The Mayo Clinic Experience https://ash.

      • 臨床血液、今月何読みましたか?(2020年11月)

        臨床血液の11月号が届きましたので、目を通しました。 気になった報告についてコメントしたいと思います。 ひとつめ。 p1570 鳥取県立中央病院の橋本先生らからの報告。血液疾患患者におけるPICCを右から入れるか左から入れるかで抜去する理由や合併症を検討したものです。 こういう発表ができるのか、と発想を面白く感じました。結論としては左でも右でも大差なしということでした。日本の血液疾患患者を対象に約300症例、809件のPICCについてCRBSIなどの頻度を知ることがで

        • KdD vs Kd 第3相ランダム化比較試験(CANDOR試験)

          Carfilzomib, dexamethasone, and daratumumab versus carfilzomib and dexamethasone for patients with relapsed or refractory multiple myeloma (CANDOR): results from a randomised, multicentre, open-label, phase 3 study(Lancet. 2020 Jul 18;396(1

        「血液内科」Vol.81 No.6

          本日のNEJMより、Blastic Plasmacytoid Dendritic-Cell Neoplasm(BPDCN)

          本日のNEJM Images in Clinical MedicineのコーナーではBPDCNの皮膚所見が取り上げられていました。日本語では芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍です。 この記事を読み進めていきますと、hyperCVAD/MAで8サイクルで加療した、と書いてあります。その時点で「??」と思って、さらに読み進めていきましたが、どこにも移植の記載はありません。奇跡的にこれで治った症例なのかな、と読み終えようとしたとき、衝撃的な一文が最後に簡潔に記載されていました・・・。

          本日のNEJMより、Blastic Plasmacytoid Dendritic-Cell Neoplasm(BPDCN)

          ヒト臍帯血では、CD34の発現は免疫表現型の幹細胞や前駆細胞とは相関しない

          CD34 expression does not correlate with immunophenotypic stem cell or progenitor content in human cord blood products(Blood Adv. 2020 Nov 10;4(21):5357-5361. ) スタンフォードの小児科グループからの報告です。 多くの方は臍帯血移植を行う際に、臍帯血は抗原型と有核細胞数で決めているかと思います。同等の条件の臍帯血があれ

          ヒト臍帯血では、CD34の発現は免疫表現型の幹細胞や前駆細胞とは相関しない

          原発性骨髄線維症に対するルクソリチニブ療法後の二次原発がん

          Second primary malignancy in myelofibrosis patients treatedwith ruxolitinib (Br J Haematol.2020 Nov 21.Online ahead of print. ) BJHに掲載されたイタリアのグループからの報告です。 後方視的な解析ではMPNでSPMが多いとは言われていました。HUの使用ではSPMが増えるという報告もありますが、関係ないという報告もあり評価が定まっていない状況です。

          原発性骨髄線維症に対するルクソリチニブ療法後の二次原発がん

          凝固異常の有無による腰椎穿刺と脊髄硬膜下血腫

          Association of Lumbar Puncture With Spinal Hematoma in Patients With and Without Coagulopathy (JAMA. 2020 Oct 13;324(14):1419-1428. ) デンマークのグループからの報告です。 血液領域では中枢神経病変の評価、髄注などで腰椎穿刺をする機会が多いかと思います。また、背景疾患のために凝固異常がある場合もそこそこあると思います。その場合の脊髄硬膜下血

          凝固異常の有無による腰椎穿刺と脊髄硬膜下血腫

          同種移植後の生着不全に対する前処置なしのCD34陽性造血幹細胞投与

          Predictors of recovery following allogeneic CD34+-selected cell infusion without conditioning to correct poor graft function (Haematologica. 2020; 105(11): 226340. ) Haematologicaに掲載された、イギリスのグループからの報告です。2019年11月にpre-publishedされたそうですが、雑誌掲載

          同種移植後の生着不全に対する前処置なしのCD34陽性造血幹細胞投与

          臨床血液、今月何読みましたか?(2020年10月)

          ・・どこかで聞いたようなフレーズですが、國松先生の某企画とは何の関係もありません。 「臨床血液」は、日本血液学会に所属している先生のもとに毎月届く学会誌です。ここに症例報告を載せるのは若手血液内科医の登竜門になっています(個人の意見です)。 毎号届くものの、よし、あとから読もうと思って数ある本の中に埋もれていく経験をされている先生は多いのではないでしょうか。 この企画では、私が臨床血液に目を通して、脊髄反射的に浮かんだコメントを記していきます。「ほう、そんな症例が載って

          臨床血液、今月何読みましたか?(2020年10月)

          新規発症多発性骨髄腫に対するKRD vs VRd。ENDURANCE試験。

          Carfilzomib or bortezomib in combination with lenalidomide and dexamethasone for patients with newly diagnosed multiple myeloma without intention for immediate autologous stem-cell transplantation (ENDURANCE): a multicentre, open-label, pha

          新規発症多発性骨髄腫に対するKRD vs VRd。ENDURANCE試験。

          「血液内科」Vol.81 No.5

          科学評論社より出版されている「血液内科」の11月号を入手しました。 今回の特集は「ウイルス感染と血液疾患」です。 血液内科の診療をしていて出くわすウイルスについて、広くカバーした内容になっています。 特にEBVについては、基礎的な内容も含めて、まとめて勉強するのにちょうどいいと思います。 金沢大学の朝倉先生による「COVID-19感染症と凝固系異常」については最新の知見をわかりやすくまとめてあるためおもしろく読めました。 東京医科歯科大学の先生方が取り組まれてい

          「血液内科」Vol.81 No.5

          免疫チェックポイント阻害薬治療中の動静脈血栓症の頻度とリスク因子

          Incidence, risk factors and outcomes of venous and arterial thromboembolism in immune checkpoint inhibitor therapy (Blood. 2020 Oct 16;blood.2020007878. ) Bloodに2020年10月16日に発表された論文で、ウィーン医科大学からの報告です。免疫チェックポイント阻害薬を使用した際の、動静脈血栓症の頻度やリスク因子、アウ

          免疫チェックポイント阻害薬治療中の動静脈血栓症の頻度とリスク因子

          ハイリスクAML/MDS移植後のAZA vs 経過観察

          A phase 3 randomized study of 5-azacitidine maintenance vs observation after transplant in high-risk AML and MDS patients (Blood Adv (2020) 4 (21): 5580–5588.) 再発のリスクが高いAML/MDSの移植後に何かできることはないか、とみなさん考えることと思います。そしてDLIやAZAなどが思い浮かぶのではないでしょうか

          ハイリスクAML/MDS移植後のAZA vs 経過観察

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          どんなnoteか 市中病院で働く血液内科専門医が、最新の論文を紹介します。 かなり専門的な内容であり、現役で働かれている血液内科の先生方を主な読者として想定しています。 週2回の更新を目標にしています。 開設のきっかけ 血液内科の分野だけではないと思いますが、新しい技術が次々にでてきて、論文を読むハードルが高くなっている気がします。そして、市中病院ではなかなか時間もなく、自分の身を振り返っても、最新論文のフォローは困難でした(というか全くできていませんでした)。 気軽

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          抗PD-1薬で治療された古典的ホジキンリンパ腫の腫瘍と微小環境の反応

          Tumor and microenvironment response but no cytotoxic T-cell activation in classic Hodgkin lymphoma treated with anti-PD1. (Blood. 2020 Oct 28;blood.2020008553. ) Bloodに2020年10月28日に報告されたドイツグループからの報告です。 古典的ホジキンリンパ腫に対する抗PD-1薬は、固形がんとは違った機序で抗

          抗PD-1薬で治療された古典的ホジキンリンパ腫の腫瘍と微小環境の反応