レナリドマイド曝露ありまたは難治性多発性骨髄腫におけるDRdとDPdの比較

Daratumumab Plus Lenalidomide and Dexamethasone (DRd) Compared to Daratumumab Plus Pomalidomide and Dexamethasone (DPd) in Relapsed Lenalidomide-Exposed or Refractory Multiple Myeloma (MM) Patients: The Mayo Clinic Experience

https://ash.confex.com/ash/2020/webprogram/Paper139929.html

これは今月に開催されたASHの、Mayoクリニックからのポスター発表です。

なかなか驚きの結果であったので紹介します。

Len耐性のオプション

つい先日、再発・難治性の多発性骨髄腫に対してDKdの保険適応が追加されました。その後このレジメンについてMRの説明を聞く機会があったのですが、メーカーとしてはレブラミドの耐性がある症例などによい適応になるのではという考えのようでした。

前回紹介しましたが、DKdは高齢やFit以外の患者では重篤な感染症の頻度が多いため、個人的には安易には使いにくいレジメンと考えていました。そこで、Len耐性の場合の別のオプションとしてDPdはどうなんだ、と思っていました。漠然とですが、DKdよりは合併症がマイルドで治療効果が期待できそうなイメージだったからです。

そんな時にちょうど上記のような発表がMayoからありました。

DPdはそこまでよくない

ざっくりデザインを説明すると、162例を後方視的に解析。うち67例は単にLen曝露あり、95例はLen耐性。DRdは64%に、DPdは53%に使用された。65%の症例はD+IMIDsの治療を2または3lineで使用された。Len耐性患者がD+IMIDsの治療を開始されるまでの中央値は1か月であった。

簡単に結果をまとめると、患者背景がややDPd群でハイリスクな傾向はあるものの、治療反応性は有意差をもってDRdが優れていた。PFSやOSはほとんど同程度であった、ということでした。Len曝露や耐性、ハイリスクで分けたり色々していますが、だいたいこのような傾向でした。

著者らは、今回対象となった患者についてはDRdは少なくともDPdと同等であると結論付けています。

感想

個人的には、DPdが良好または同等であると予想して読み始めましたが、全く意外な結果でした。最終的な判断は、患者背景をそろえて前向きに検討した試験が必要ですが、製薬会社がつきそうもないこのような試験は、なかなか行われない気もします。今後、似たデザインの試験でLenとPomの比較がみれるものがあれば注目したいと思います。

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