KdD vs Kd 第3相ランダム化比較試験(CANDOR試験)

Carfilzomib, dexamethasone, and daratumumab versus carfilzomib and dexamethasone for patients with relapsed or refractory multiple myeloma (CANDOR): results from a randomised, multicentre, open-label, phase 3 study

(Lancet. 2020 Jul 18;396(10245):186-197. )

以前に紹介したND-MMに対するKRd vs VRdではPFSを延長しませんでした。今回はRR-MMを対象として、KdにDaratumumabを上乗せすることでPFSが有意に延長したという報告です。

注意点としては、ENDURANCE試験(KRd vs VRd)ではカルフィルゾミブの量は36mg/m2であったのに対して、本試験では56mg/m2です。また、重篤な副作用が多い試験でした。

アムジェンがスポンサーに入っているせいか「KdD」と、かなり不自然な略称になっています。ちなみに、CANDORは「率直」のような意味のようです。

背景・目的:

KdDは第 1 相試験で再発・難治性多発性骨髄腫を対象とし、 有効性と安全性が示されている。同集団において、KdDとKdの有効性と安全性を比較する。

方法:

無作為化多施設共同非盲検第3相試験。北米、欧州、豪州、アジアの 102 施設から再発・難治性多発性骨髄腫患者 466 例を登録し、KdDまたはKdに割り付け。レジメンは28日周期で、カルフィルゾミブ 56 mg/m2 (d1,2,8,9,15,16, 1サイクル目のd1,2のみ20mg/m2) + デキサメタゾン 40 mg/d(d1,8,15,22, 75歳以上は20mg) +/- ダラツムマブ 16mg/kg (d1,8,15,22, 1サイクル目のみd1,2に8mg/kg, 3-6サイクルはd1,15, 以後d1のみ)。

主要評価項目は、PFS(ITT)。

結果:

2017年6月13日から2018年6月25日までの間に、466例が治療を受けた。中央値17カ月の追跡調査後、PFS中央値は、Kd群が15.8カ月であったのに対し、KdD群では未到達であった(HR 0.63; 95%CI 0.46-0.85; p=0.0027)。治療期間の中央値は、KdD群の方が長かった(70.1週 vs 40.3週)。Grade 3以上の有害事象は、KdD群で253例(82%)、Kd群で113例(74%)であった。治療中止に至った有害事象の頻度は両群で同程度であった(KdD群:69[22%]、Kd群:38[25%])。

キャプチllャ

上記文献、Table2を改変。

結論:

R/R多発性骨髄腫患者において、KdDはKdに比べてPFSを有意に延長した。

-----------------------

一言:

結果については、抗CD38抗体未使用の集団で、KdにDaraを上乗せすればそれは当然、PFSは延長するだろう、という感想です。

この試験で特に気になったのが、死亡につながる有害事象の多さです。主な原因は感染症となっていますが、特に65歳以上、intermediate fitの集団ではそれぞれKdD vs Kd; 20/146 (14%) vs 2/76 (3%), 10/53 (19%) vs 1/35 (3%) とかなりの高さです。

個人的には、副作用の観点から、安易に使えないレジメンという印象です。使うとしたら、自家移植後の再発時などかなと思います。若年で副作用に耐えられそうかつ治療に抵抗していて深い奏功が必要な方です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?