ハイリスクAML/MDS移植後のAZA vs 経過観察

A phase 3 randomized study of 5-azacitidine maintenance vs observation after transplant in high-risk AML and MDS patients


(Blood Adv (2020) 4 (21): 5580–5588.)

再発のリスクが高いAML/MDSの移植後に何かできることはないか、とみなさん考えることと思います。そしてDLIやAZAなどが思い浮かぶのではないでしょうか。これまで移植後にAZAを行うという少数例の報告はありましたが、今回第3相ランダム化比較試験の成績が報告されました。Blood Advance に2020年11月10日、MDACCのBetulらが報告しました。

背景:

第 1/2 相試験では急性骨髄性白血病/骨髄異形成症候群(AML/MDS)患者における同種移植後のアザシチジン維持療法の有望結果が報告されていた。

目的:

同種移植後再発のハイリスクの患者を対象としたアザシチジン維持療法の有効性と安全性の検討。

方法:

2009年から2017年の間に、18歳から75歳までの移植後寛解状態のAML/MDSの患者、計187人が移植後にアザシチジンを投与される無作為化比較試験に登録された。治療群(n=93)に無作為に割り付けられた患者は、32mg/m2/日のアザシチジンを5日間、28日ごと12サイクル皮下投与された。

結果:

両群の年齢中央値は57歳。治療群に割り付けられた93人の患者のうち87人がアザシチジンの維持療法を受けた。

87例の詳細は、AML+MDS=65+22例。染色体は52.9%がpoor、37.9%がintermediate。AMLのうち27.5%が移植時にactive disease、MDSでは81.8%であった。RICは16.1%に施行された。

投与サイクル数の中央値は4サイクルであり、合計29人の患者が再発した。23人の患者が毒性などの理由で試験から脱落した。

無再発生存期間(RFS)中央値は、アザシチジン群で2.07年、対照群で1.28年であった(P=0.19)。

全生存期間の中央値はアザシチジン群で2.52年、対照群で3.56年(P=.043)であり、有意差は認められなかった。

キャプチャ21

参考文献より引用

Cox回帰分析では、アザシチジンを維持投与しても対照群と比較してRFSおよび全生存期間の改善は認められなかった(ハザード比は0.86[95%信頼区間、0.59-1.3;P5.43]および0.84[95%信頼区間、0.55-1.29;P5.43])。

結論:

同種移植後アザシチジン維持療法は安全に施行できたが、RFSは2群間で同等であり、challengingであることが示された。

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一言:

これまでに施行された第2相試験では、移植後成績を改善していましたが、今回の試験ではそのような効果は認めませんでした。著者らは結果に差がつかなかった理由として、下記のようなものを挙げていました。

・当初想定していたよりも観察群の成績がよかった。eligible criteriaが2008年のもので、MRDやNGSで同定可能な予後因子を用いておらず本当にハイリスクの集団を選択できていなかった可能性。

・対象患者のリクルートが思うように進まなかったため(7.5年かかった)、途中でエントリーを締め切った。(スクリーニングを受けた半数以上が試験参加を希望しなかった。)

・AZA12サイクルを予定していたが完遂できたのは27.6%のみであった。脱落の理由は半数が再発、残りは毒性やemotional fatigue、通院の都合があわない、などであった。

実施自体が困難な試験であったことがうかがえます。個人的には期待していたプラクティスでありますが、この結果を踏まえると、当分実臨床で同種移植後AZA維持療法を行うことはなさそうです。

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