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#連載
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(30) 完
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》29.
「したい…?」
「したい」
>30.ニキ_
スグルは几帳面に、脱ぎ散らかしたドレスと略礼服を集めてソファに整え置き、朦朧とした様子の仁綺にシャワーを浴びせ、仁綺が裸で寝てしまいたがるのを無視して、ネグリジェを着せた。
「ずっと男物ばかりの君を見てたから、なかなかに、新鮮だな」
着せた時に襟に巻き込まれた、
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(29)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》28.
「調べなくても、よかったのに」
>29.スグル_
アヤノは…スグルがモニターで見る限り、ずっと防火扉の前で、両手を揃えて行儀良く、立っていた。
スグルには、それがひどく異様に思われた。気丈に振る舞っているだけだろうと考えていたが、開いた扉から仁綺が現れても、表情が全く変わらなかったので、さすがに、疑問に感
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(28)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》27.
> 言ったろ 君は 嘘つきだ _
>28.ニキ_
仁綺は、ディスプレイに動きがない様子を見て立ち上がり、広間のカメラを、見上げた。ミュールを履かずに裸足で、サーバールームへ歩き出した。
入口とは、認証が違った。仁綺は広間への入室用に教えられていた方法を試して、入れないことを確認した。
立て続けに、背後の
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(27)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》26.
「夢ですよ。お忘れになればよろしい」
>27.ニキ_
ディスプレイは、仁綺の言葉のあと、再び静止した。
>
Redoing several processes.
Please wait…
仁綺は、ディスプレイを見つめた。通知音が鳴り、コンソールに白い文字列が、出力された。
> また すぐに眠るわ 会え
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(26)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》25.
「見くびってもらっちゃ困るよ…鬼ごっこは、追いかけるほうがだいぶ、得意なんだ」
>26.ニキ_
仁綺はおおきく、目を開けた。明るい色彩の花弁を散らした、天蓋のレースが見えた。薄明だった。呼吸が苦しく、心臓は、空回りしそうなほど早く打っていた。枕元にはアヤノが、朝まだきというのにすっかり、メイド服に着替えて、
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(25)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》24.
「君は、だれ?」
>25.スグル_
「ええー?! それって、帰ってこないタイプの家出じゃないの」
スグルがぐったりと横たわるベッドの脇へワークチェアを寄せ、脚を組んで座ったリュカは、スグルの脈をとりながら、当惑の表情で感想を述べた。
「……。猫や子どもとは、わけが違うよ。彼女の場合、家出というよりは家に帰
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(24)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》23.
「あなた自身より深くあなたの人生に関わる人間からの、親切な助言だ」
>24.ニキ_
信じていた…誰を?
仁綺は足裏に、自重を感じた。砂に立った裸足が、半ば埋もれていた。重心を移動させると、乾ききった砂粒が、足をくすぐった。
砂漠だ。
夢か…。それとも、記憶を喪っていま、ここにいるのかもしれない…? い
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(23)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》22.
merci.
beaucoup.
>23.イヅル_
イヅルの護衛は、並んで友人に見える年齢の、日本国籍の男性と相場が決まっている。その選定は《ヂェードゥシカ》が直々に行なっており、大抵は、《業界》人の二世か三世で、しかし、生まれてからその年齢まで《業界》に生き延びてそこにいるという点で、大抵の二世・三
『…楽園、(22)』はエンディング特別回です
奪い去り、突き落とし、追い詰めるのが大好き! 心根が弱い癖に攻めます、世界です、こんにちは。
『砂漠、薔薇、硝子、楽園、 』、お楽しみいただけてますでしょうか。(22)に至り、遂に仁綺までいなくなってしまいました…というわけで、物語のここ、ジェットコースターがここから駆け降りるという、ある意味、転換点にあたりますので、エンディング特別回とさせていただきます。
第22話エンディングは…祝2020紅
砂漠、薔薇、硝子、楽園、(22)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》21.
「君は、自分自身とセックスする想像をしたことは? ない?」
>22.スグル_
眩しい。
スグルは、目を開けた。屋根裏部屋の丸天井を、ベッドマットに寝転んで、見上げていた。
数式が書き散りばめられているはずのドーム式の天井が、真っ白だった。脚立があり、ペンキの匂いがした。けれども家具は「引っ越し」てきた、
砂漠、薔薇、硝子、楽園、 (21)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》20.
「人の手に負えない悪と戦う特殊な能力を持った、500年以上前の、不思議な人びとの呼称だ」
>21.ニキ_
「ベナンダンティ」…?
スグルは、目を開けた。
白いTシャツにトランクス姿のイヅルが、左手を腰に当てた姿勢で、スグルの腹の上に馬乗りになり、スグルを見下ろしていた。
「君は、自分自身とセックスする
砂漠、薔薇、硝子、楽園、 (20)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》19.
「そういえば、『退屈』って、したことがないな」
>20.イヅル_
カーテン越しに、日が暮れ始めたのが知れた。ああ、夕飯を作らなくては…。スグルは仁綺の反応がないことに気づいて、動きを止めた。
「ニキ…?」
昼をまわったあたりから、半睡半醒ではあった。喘ぎ声さえ出なくなり、ただスグルを受け入れるだけになって
砂漠、薔薇、硝子、楽園、 (19)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》物語概要 / 登場人物紹介
》》》18.
「リュカ。…じゃあ、帰省のついでに、ちょっと調べてみて、もしあれば、持って帰って欲しいものがあるんだけど…」
>19.スグル_
イヅルは「籠城」の度合いを強めていた。スグルはというと、今までならそんな時にも、こまめにイヅルの様子を見て食事を用意するなり、部屋を掃除するなりできていたのだが、「休業」期間に入っ
砂漠、薔薇、硝子、楽園、 (18)
feat.松尾友雪 》》》詳細 序文
》》》17.
繋いだ両の手に、力が込められた。スグルは、仁綺の耳裏に火照った舌を這わせながら、囁いた。
「…加減、できないかも」
>18.スグル_
最近になって急に、「シベリア・セキュリティ」の取引先が潰され始めた…結婚報告の夜、《マスター》は「本題」を、そう切り出した。
「どれもぱっとしない感じの、古くて小さい取引先なんだけど、なんだかねぇ…」
話が