Hayato

都内のコーヒー屋でコーヒー豆を焼きながら、文章を書いて、人生の豊かさについて日々考えて…

Hayato

都内のコーヒー屋でコーヒー豆を焼きながら、文章を書いて、人生の豊かさについて日々考えています。人生を一つの物語として捉え、そこにおける岐路は全て文学性があるかないかで決めてきたつもりです。人間性ポートフォリオ

マガジン

  • 書き物

    日常に起こる出来事をきっかけに頭の中に生まれた物語をまとめています。

  • 人生解説書

  • 焙煎士、サウナを語る

    「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。

  • 僕という人格を作るもの

    僕という人格を構成する作品、アーティスト、思想など、有形無形に囚われず書き記しています。

最近の記事

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人生の諸選択における基準の話

 人はなにかを決める際に、なにを基準として決めているだろうか。  例えば、中学校から高校に進学する際には、自分の学力や経済的環境をもとに自分の適した学校を選定し、進学する人が多いのではなかろうか。  また、高校から大学に進学する際には上記のパラメータの他に、自分が学びたい学問の専門性の有無、その大学の特色などといった自分自身の興味関心ということも大きく関係してくるだろう。  就職においては、これまでの選択よりもさらに複雑である。教育機関の選定では、それぞれ3年や4年とい

    • 1月の読書の日記

      2024年の隠し抱負として、本をたくさん読むということを掲げているこの頃である。折角なら読んだものを記録すると同時に、感想まで書いてしまおうじゃないというのが読書の日記である。なおしっかりと読み込んでいるつもりではあるものの、僕も人間であるが故に記憶が薄らいでいってしまうため、あまり多くは期待しないで欲しい。というか内容には全く期待しないで欲しい。これはあくまで僕個人の日記なのだから。 それでは1月いってみよう〜。 1.荒地の家族 / 佐藤厚志 この小説は去年の暮れに芥川

      • アイスクリーム

        銭湯の価格が520円になってから、以前ほど頻繁に通わなくなった。 500円を超えると、日常の一部ではなくちょっとしたご褒美のような扱いになってしまう。感覚的にはハーゲンダッツと同じくらいの価値になる。 (ちなみに銭湯の価格は銭湯協会によって一律に決められているので、各店で入浴料の値下げなどは出来ない。逆にいうと値上げもできないので、最近の銭湯業界はサウナや入浴後のクラフトビールなどのサービスを充実させ、利益を増やす傾向にある。) そのため以前はジムで走り終わったら、そのまま

        • 勝手に申し訳ない

          先日打ち合わせでとあるカフェに行った。 コーヒー屋を生業にしていて良いところは、打ち合わせをするカフェをしっかりと選ぶところだと思う。偏見だが、他の職業の人、例えばメディア関係の人は、その辺のいわゆるチェーン店のカフェにサッと入り、とりあえずブレンドを頼み、味わう暇もなく打ち合わせをして、サッと会計を済ませつつも領収書は必ず忘れずにもらうのではないだろうか。 その点コーヒー屋同士ではお店を決める時も、せっかくだからと行ったことのない気になっていたコーヒーショップやカフェを選

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        人生の諸選択における基準の話

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          3本

        記事

          執着

          執着とは恐ろしい 時に人間は、自分が望むものが手に入らなければ、世界の終わりのように感じる しかし世界とはそう簡単に終わるものではない 人間のその自己中心的思考、それは度々傲慢とも表現されるが、それこそが恐ろしいのだ 理性を失い、その傲慢さすなわち執着が世界を壊してしまう そうならないように、私はなにかに深く入り込まないのだ

          違和感

          店の壁からは油と煙草の煙が染み付いたような異様な匂いがした。この店を予約したのは自分の向かいに座っている男だが、確かにもつ煮込みは年季の入った汚い店内を気にさせないほど美味しかった。 昔は大学構内の喫煙所でマルボロを吸っていた彼も、今ではすっかり電子タバコを咥えている。スーツに匂いがつかないようにするためだと、どこか自慢げに話していた。電子タバコを吸っている人間は、副流煙が出ないからと言って周りを気にしない人が多いように感じるが、その独特の匂いは時に周りを不快にさせることを

          曖昧な記憶と想いの存在証明

          あなたは最近手紙を書いただろうか。 現代社会においては、電話やメール、さらにSNSの急速な発達により手紙というコミュニケーションツールを用いることはほとんどなくなったように思える。 それでも僕は手紙が好きだ。 なぜなら手紙は物理的に残しておこうと思えば、いつまでも残るからである。電話は音声コミュニケーションのため、発言した内容が次の瞬間には消えている。お互いの記憶が薄まってしまえば、その発言が実際にあったのかどうかすら分からなくなってしまう。 メールやSNSは表記コミュニケ

          曖昧な記憶と想いの存在証明

          時を捉える姿勢だけでも |MIERUE

          近頃は仕事に忙殺されていて、すっかり文章を書くことを忘れていた。 捉え方によっては日々が充実しているとも考えられるが、時の流れがとても早い。つい最近会ったと思っていた友達と飲みにいくと、最後に会ったのが半年前だったということすらあるのだ。 時の流れを正確に捉えるのは難しい。 それは皆に平等に与えられているものではあるが、意識していなければサラサラと手のひらからこぼれ落ちる砂のようなものだ。 そんな酷く曖昧なものを可視化するアプリがリリースされた。 実際に使ってみて、自分が

          時を捉える姿勢だけでも |MIERUE

          沈黙に関する美しさについて

          大通りに面する階段をトントンと地下に降りた先にあるその小さなバーは、まだ夕方にもかかわらず賑わっていて、奥のテーブルには観光でこの街を訪れたたような黒人のグループがテーブルを囲みグラスを傾けていた。 あの日はたしか土曜日だったから、満席で入れなかったからどうしようかなどと密かに思っていた。彼女とは隣を歩いていたはずなのに、通行人のあまりの多さに縦並びに歩いたり、はぐれて距離が空いてしまったりした。それでもいつの間にか彼女は他の人が気づかないくらい僕の僅か斜め後ろをついてくる

          沈黙に関する美しさについて

          どうして私は

          きらきら光るあの笑顔も 燦々と照らす太陽も 空に向かってまっすぐと咲くノースポールも 夕陽に照らされる電車に揺られている二人も 窓ガラスに反射されたカメラも 春の夜に響く足音も バラの香りがする長い髪も 闇を祓ってしまう明るい声も きらきら光るあの笑顔も 全てが憎くてたまらない どうして私は

          どうして私は

          焙煎士、サウナを語る 第二室

          「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。 このコラムが始まったきっかけは、自分がサウナに入っている時にふとコーヒー豆の気持ちとはなんだろうかと考えたことだった。焼かれるとは一体どんな感情になるのだろうかと考え始める

          焙煎士、サウナを語る 第二室

          焙煎士、サウナを語る 第一室

          「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。 今回から全5回に渡ってそのコラムのアーカイブを掲載する。 対流熱について語ろう。 対流熱とは熱源から発せられた熱が風に乗って、ものを温める伝わりかただ。つまり熱風のことであ

          焙煎士、サウナを語る 第一室

          強欲な自分

          先日、母と姉とその旦那とその子供と5人で箱根旅行へ行った。姉家族と会うのは久々だったが、甥っ子の成長具合に驚かされた。人とは産み落とされてから約1年半でこんなにも人になるのか。生まれたばかりの頃は、人というよりもまだ動物に近い印象を受けたが、今や立派に二足歩行をするのである。発語はまだしないが、確実にこちらが話しかけている内容はある程度理解している。人間の言語習得はまだまだ解明されない部分が多いが、本当に不思議なものである。 そして僕が驚いたのはそれだけではない。甥っ子が成

          強欲な自分

          価値を付加しないと売れねえものなんて最初から売るんじゃねーよ

          「新しい企画についてだけど、そのアイデアは目新しさもないし、そもそもユーザーは価値を感じないよ。もっと革新性あるものを出さないとダメじゃない?自分でどう思う?」 頭が薄くなっているのを必死に隠すようにジェルで固められ、集められた髪がいやらしく光る。 微妙にサイズが合っていなく、誰が着ても普遍的に似合うはずであるジャケットが似合っていないのは、こいつの背格好が醜いからだろうか。口を開けばグチグチと抽象的で曖昧な話ばかりで、明確な考えやアイデアは自分から決して出さないくせに、人

          価値を付加しないと売れねえものなんて最初から売るんじゃねーよ

          ちひろさんに教えてもらったこと

          2月の頭に映画「ちひろさん」の試写会に行った。この映画は、2月23日より劇場とNetflixで同時公開される作品である。主演は有村架純で監督は今泉力哉が務める。僕は今泉力哉作品がどれも好きなので、この作品の原作は知らなかったが、とても楽しみにしていた。ちなみに有村架純は映画「花束みたいな恋をした」を見た時に惚れてしまった。 試写会にて行われた舞台挨拶では撮影時の裏話や、それぞれのキャストが捉えるこの映画についてなど、面白い話がたくさん聞けて大満足だった。しかし舞台挨拶が終わ

          ちひろさんに教えてもらったこと

          新年の抱負なんて壁にかけて飾っておけ

          新年も明けてはや1ヶ月が経った。 年を取ると時の流れを早く感じるという風説があるが、昔はそんなことないと思っていた僕でさえ、もしかしたら本当なのではないかと信じかけてしまうほど時の流れが早い。これが老化というものの正体なのだろうか。 時間というものを考える時に、しばしば人は始まりと終わりを定義したがる。1日は0:00から始まり、もう一度0:00が来ると終わる。1週間は7日で終わるし、1ヶ月は多くの場合30日か31日で終わる。そして1年は365日で終わり一周する。そうして人は

          新年の抱負なんて壁にかけて飾っておけ