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焙煎士、サウナを語る 第二室

「焙煎士、サウナを語る」は、NOG COFFEE ROASTERS オンラインストアで商品を購入すると同梱されるフリーペーパー「NOG COFFEE TIMES」にて連載されたコラムである。NOGの焙煎士である藤城が、焙煎理論を構築する際に気づいた、焙煎とサウナの共通点を独自の切り口で記したものである。

このコラムが始まったきっかけは、自分がサウナに入っている時にふとコーヒー豆の気持ちとはなんだろうかと考えたことだった。焼かれるとは一体どんな感情になるのだろうかと考え始めると、それは苦しいことのように思えるが、僕はむしろ正しい焼かれかたをされる場合は快感なのではないかと思わずにはいられなかった。


重量絶対湿度とはなんだろうか。


いわゆる僕たちが普段目にしている湿度は、相対湿度と言われるもので乾燥している空気における水分の飽和量を100%としたときに、どれほどの水分が含まれているかを表したものである。 重量絶対湿度は、乾燥した空気1kgに対して、どれほどの水分が含まれているかをg単位で表したものである。

日本における冬の重量絶対湿度は、おおよそ3g/kg(DA)で、真夏になると15g/kg(DA)ほどになる。つまりは同じ相対湿度20%でも、気温、気圧によって飽和量が異なるため、全く異なる水分量となる。

湿度が高くなれば、熱伝導効率がよくなることは焙煎とサウナの両方に共通している。 湿度が低い時期の焙煎では、より火力を強めカロリーを豆に与えなければならないし、排気量を減らして、なるべく焙煎機のドラム内を蒸さなければならない。一方で、真夏ではカロリーの入れすぎに注意しながら、排気量を増やし、豆が焦げないように管理しなければならない。

サウナでは、ロウリュがこの湿度の変化と大きく関係している。ロウリュは水をサウナストーンにかけて、水蒸気を意図的に発生させる行為である。オートロウリュというものもあり、これは定期的に自動で水分がサウナストーンに浴びせられるものである。 水蒸気が発生すると、サウナ内はたちまち暑くなる。まさしく熱伝導効率が上がっているのだ。

これは真夏の焙煎におけるドラム内のようだと僕は思う。豆も湿度が高い時期に焼かれるとこのような状態になるのだ。だからこそ焙煎士が上手に調整をしなければならない。 こうして今日も湿度が急激に高くなる春の焙煎をしながら、想いに耽るのであった。


今日のサウナ 〜たちまち熱帯夜に〜

黄金湯 錦糸町駅より徒歩10分      
通常時のサウナ室の温度はそこまで高くないが、
オートロウリュが始まるとたちまち気持ちの良い温度になってくる。

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