草刈正雄が沖田総司を演じていた頃、この世に生を受け、幼少期にはルビーの指輪を口ずさみ、…

草刈正雄が沖田総司を演じていた頃、この世に生を受け、幼少期にはルビーの指輪を口ずさみ、学童を終える頃には音階という概念を理解できていない事に気がつく。 ※注 有料にしてみましたが有料部分はただの蛇足です。前文を読んでの投げ銭的に考えてもらえればコレ幸い。

最近の記事

乱読のすゝめ【超圧縮地球生物全史】

別に帯のジャレド・ダイアモンド超絶賛の文字に釣られたんじゃないんだからね。 「著者は万華鏡のように変化する生命のあり方をエキサイティングに描きだす。全人類が楽しめる本だ!」などとあるがジャレド・ダイアモンドの言うことだあてにはなるまい。私は疑念を抱いたまま本を手に取った。 超圧縮地球生物全史 ヘンリー・ジー著 竹内薫訳 さて超圧縮地球生物全史と称するこの本。圧縮しすぎである。38億年を一冊にまとめる無茶ぶり頭の整理が追い付かない。タイムスケールが最初から最後までつかみきれな

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    • 乱読のすゝめ【グランドシャトー】

      私が初めてその駅に降りたのは1991年の2月、凍えるような寒さの日であった。極度の緊張を抱きながら降り立ったその駅はまだ子供だった私にはあまりに猥雑としていて衝撃的だった。浮浪者然としたピンサロの看板持ち。ピンサロ、ヘルス、オーラル、アナル。今では考えられない話だが普通にそんな言葉が目に飛び込んでくる街中。朝早いというのに混雑も汚らわしく思えた。 そしてその日は私にとって灰色な三年間を過ごすことが決定させた日でもあった。私はその駅の近隣の高校の試験に合格した。 それが今でも続

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      • 乱読のすゝめ【盤上のパラダイス】

        僕は子供のころから将棋が好きで下手の横好きでチョコチョコ指している。 そんな僕が表紙を見て特に考えもなしに買ったのがこの本である。将棋に関する本だろうと思ったのだが、正確には詰将棋パラダイスという雑誌に関する本であった。予想は外したものの面白そうではある。そう思ったものの読み始めてすぐに一度挫折する。所々に書かれてある詰将棋に苦戦したのである。別に解かなくても読み進めるのだが、つい考えてしまう。考え出したら時間が刻々と過ぎ去っていく。全然読み進めない。 カバンの中に入れっぱな

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        • 乱読行【ネアンデルタール人は私たちと交配した】

          異世界ものもすっかり流行りを超えて定着の域に達しているが、バカバカしく出オチ感のある作品の数々。 呆れながらもついつい手に取ってしまう。 多くは読んではみるもののその場限り。ネットにしろ漫画喫茶にしろある程度読んだら満足してしまう。奇抜な設定による意外な面白みが一巡すると満足してしまう。物語が途中でも次に手が伸びないジャンルだと思う。 そんな中、ふいに手にした『異種族レビュアーズ』でちょっとした衝撃を受けてしまう。詳しくはここでは言及しないが、ある種の新しい世界が開けてしまっ

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          乱読行【第三次世界大戦はもう始まっている】

          ロシアのウクライナ侵攻が始まり一年半が過ぎ、心を痛める日々にも慣れてしまい、ウクライナを憂うことも少なくなってしまった。 それでも多くの日本人がロシアを非難し、ウクライナに同情を寄せている。 しかし中にロシアを擁護する人々もいる。鈴木宗男さんなんかは正にその例ではある。鈴木宗男さんは、言ってみれば北方領土のためなら如何なる状態であろうとロシアとの関係は良好でなければならないって考えの人だから、ある意味で当然なのだが、ロシアの裏を知り尽くしたと称する佐藤優さんとか、陰謀論者とか

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          乱読行【頭山満ーーアジア主義者の実像】

          頭山満という人物を知る人がどれだけいるでしょうか。 幕末から昭和初期の人物で、玄洋社という右翼団体の中心人物で右翼の巨魁、政財界のフィクサーと言われる人物である。 紀伊国屋書店で見つけてしまい抗えずに買ってしまったが一年ほど、積読状態に家の本棚に眠っていた。 夢野久作という小説家がいる。日本三大奇書の一つ『ドグラ・マグラ』の作者である。 少し訳あって夢野久作について調べていた。ウィキペディアその父、杉山茂丸氏が玄洋社の幹部で頭山満の右腕だったとある。 「ああ、そう言えば頭山

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          乱読行【語学の天才まで一億光年】

          とあるyoutuberのチャンネルで知った高野秀行さんの新刊、話が面白そうなので、語学には興味はないが読んでみるのとにした。高野秀行さんが一億光年なら一兆光年だ。 語学の天才まで一億光年 高野秀行著 世界中の辺境を飛び回る高野秀行さん。その目的は無謀で荒唐無稽。ときには謎の幻獣ムベンベどったり、ゴールデントライアングルに潜入したり。 意味の分からない危険に満ちたものである。 ゴールデントライアングルといえば、猿岩石も飛行機を使った危険地帯だ。 そんな高野さんが、世界中を旅し

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          読書録【銃・病原菌・鉄】

          銃・病原菌・鉄 ジャレド・ダイアモンド著 1997年刊行の学術的なノンフィクション。新世界と旧世界が衝突したときに、旧世界側が圧倒したのは何故か?文明の優劣は何で生まれたのか? その謎に解説した名著。 これを読んで、ジャレドダイアモンドは答えありきで論を組み立てていないか?自説に都合のいい事ばかりを選んでいないか? もちろんどんな説でも大なり小なりあるものだろうが、人種差などあろうはずがないとするばかりに無理が出てないかと思った。 それを読み始めてすぐに思ってしまったので、

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          読書録【地獄の楽しみ方】

          10代後半の若者を対象にした特別講義を書籍化したこの本、京極夏彦先生が、本を読む、言葉とは、物事のとらえ方とは何かを漠然と考えるのではなく、一歩踏み込むことの大事さを説いた内容になっている。 まずこの本の面白さを語る前に、作中の一文を紹介したい。 「その本を面白がることができない自分が悪いんだと思いましょう。」 本というのは必ず面白い点があるので、それを面白がれないのであれば読む側の問題だ。言葉なんてものは如何様にでも解釈ができるのだから。 ええ、面白かったですよ。この本。

          読書録【地獄の楽しみ方】

          読書録【バッタを倒しにアフリカへ】

          バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎 多くの日本人がアフリカ紀行ものあるあるからは逃れられない。 アフリカの洗礼、アフリカ人のいい加減さと、微塵も悪びれもせず騙しに来る逞しさ。異文化に翻弄される筆者。 出来る事ならバッタに食べられたいという奇妙な夢を持つ昆虫学者である前野ウルド浩太郎という男もやはり例外ではない。 しかしウルドはそれに憤るでも抗うでもなくただ受け入れる。 西サハラトビバッタ、いわゆる蝗の大群の研究者である前野ウルド浩太郎のアフリカでの研究の日々を綴った

          読書録【バッタを倒しにアフリカへ】

          今こそ読んでほしい、この本。

          『ひとはなぜ戦争をするのか』 著者 A・アインシュタイン    C・フロイト 40年ほど前からだろうか、私が子供の頃、戦争という物があると知った当時、世界中で戦争は常にあり、いつもどこかで何かしらの戦争が行われていた。中東での戦争、アフリカでの独立戦争、内乱、紛争。様々な形の戦争が行われていた。イランイラク戦争、ソ連のアフガニスタン侵攻、フォークランド紛争。国家間の戦争も数多くあった。もちろん遠く離れた国の戦争がリアリティある物ではなく実感のない物語の様に感じていた。 時代が

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          読書録【最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常】

          最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常 二宮敦人 東京藝大の学生にインタビューを重ね、カオスの実態を紹介する本書。 口笛世界一から、絶叫する校長、魅力的な人たちで溢れている。 芸術の東大と呼ばれる東京藝大という物があるとは知っていたが、その実態は全く想像できないでいた。 美校、音校の二つに分かれ、2つ併せても2000人程度の学生で、それがジャンルごとに細分化されて、例えば指揮科なんかは1学年二人だという。教師とマンツーマンに近い状況で学んでいる。芸術って金がかかるんだ

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          私の読書録【料理の四面体】

          面白いと言う評を聞いた翌日に、書店で目に留まったのがこの本である。 料理など特にしない私でありますので、普段なら絶対に買わない。例え面白いと言われても普通なら絶対に買わない。しかし面白いと言う評を聞いた翌日なら仕方がない。前日にその評を見たのも偶然なら書店に入ったのも偶然の気まぐれ、多くある本の中で私の目に留まったのもまた偶然である。ホンの偶然も三つ重なれば、私が本を買う必然になる。 料理の四面体 玉村豊男 料理を火、水、空気、油の4要素から分析して、料理とは何か、料理の基

          私の読書録【料理の四面体】

          46歳からの読書【ひとはなぜ戦争をするのか】

          ロシアがウクライナに侵攻して、21世紀にもなって悲劇が繰り返されている。 そんな折に、書店で目にしたのがこの一冊である。 ひとはなぜ戦争をするのか A・アインシュタイン C・フロイト 国際連盟の提案により実現した、2人の天才による交換書簡である。 交換書簡の存在は知っていたが、読んだことはない。目にしたからには読むしかない。 まずアインシュタイン先生が世界の司法を作ると言うシステム的なアプローチを示しつつ、実現性の困難さも示して、フロイト先生に問いかける。 フロイト先生は、

          46歳からの読書【ひとはなぜ戦争をするのか】

          46歳からの読書【O嬢の物語】

          人は読書により成長し、知識だけではなく思想や信念を育む。 ただの娯楽として読んだ本から大いなる知見を得て、人となりに大いなる影響を受ける事すらある。 しかし人はその人の資質で、読書傾向があり、つい避ける類であったり、手にすることすらない数多の本が世には溢れている。世界的名作とは知ってはいたものの今まで触れる事すらなかった本がある。ポルノである。 O嬢の物語 ポーリーヌ・レアージュ 物語はO嬢がロワッシーの屋敷に連れていかれるところから始まる。初め、O嬢には人格を感じさせな

          46歳からの読書【O嬢の物語】

          46歳からの読書【失われた時を求めて】

          先日読んだ本には作品の紹介や引用が多くされていて、幾つか読んでみたいなと思える本があった。 失われた時を求めて₂ マルセル・プルースト 紅茶に浸したマドレーヌの匂いによって呼び覚まされた幼少期の記憶をつづられるその色彩に溢れた叙述は、複雑で多層的で読む者を一人の人生を追体験させていく。 その主人公の思考に幼少期の日々や、社交界での無為で華麗な生活に共感できないまでも没入させるものがある。 私はどうにも鼻が利かないタイプなので、マドレーヌの匂いによって記憶が蘇ると言ってもピ

          46歳からの読書【失われた時を求めて】