読書録【銃・病原菌・鉄】

銃・病原菌・鉄 ジャレド・ダイアモンド著
1997年刊行の学術的なノンフィクション。新世界と旧世界が衝突したときに、旧世界側が圧倒したのは何故か?文明の優劣は何で生まれたのか?
その謎に解説した名著。

これを読んで、ジャレドダイアモンドは答えありきで論を組み立てていないか?自説に都合のいい事ばかりを選んでいないか?
もちろんどんな説でも大なり小なりあるものだろうが、人種差などあろうはずがないとするばかりに無理が出てないかと思った。
それを読み始めてすぐに思ってしまったので、上下巻に小難しい事がずっと続く本なのに、ジャレド・ダイアモンドのチェリーピッキングな部分ばかりを追ってしまって、いい読書の姿勢とはならなかった。

ジャレド・ダイアモンドは文明の差は東西に伸びる大陸と南北に伸びる大陸の違い。地理的要因と結論付けているが、私は新大陸に渡ったこと。移動することでの環境の変化による知の蓄積がリセットされたことが大きいように思えた。また人という存在がない大陸に人という種が導入されることでの生態系の崩壊も重要な要因のように思う。
もちろん僕の感想にしか過ぎないけど、そんな考えが頭から離れず世界の知の巨人と称されるジャレド・ダイアモンドの話がどこか腑に落ちなかった。

あと、思ったのが1997年に刊行された本とはいえ、人種の差という差別をどうしても否定した過ぎる感じが、アメリカではまだそんな価値観が蔓延ってたの?と疑問が湧いてきた。
もちろん差別はいけないし、人種による差が文明の差なんか思うはずがないじゃないかと思うのだが、当時のアメリカ社会にはまだそういう連中がいたってことだろうか。
1997年当時、まだ学生だった私は、知らないわけではないが社会には出ていなかった。空気感が多少異なったのかもしれない。それとも白人社会、西洋文明圏ではまだそういう連中が蔓延っているのだろうか。

そういう訳で概ね面白かったが、いくつか引っ掛かりを感じる内容だったな。

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