読書録【地獄の楽しみ方】

10代後半の若者を対象にした特別講義を書籍化したこの本、京極夏彦先生が、本を読む、言葉とは、物事のとらえ方とは何かを漠然と考えるのではなく、一歩踏み込むことの大事さを説いた内容になっている。
まずこの本の面白さを語る前に、作中の一文を紹介したい。
「その本を面白がることができない自分が悪いんだと思いましょう。」
本というのは必ず面白い点があるので、それを面白がれないのであれば読む側の問題だ。言葉なんてものは如何様にでも解釈ができるのだから。
ええ、面白かったですよ。この本。
たぶんきっと。

まあ、10代もとうに過ぎてはるか彼方になった私としてはそんな楽しみ方などしてられないという思いもある。いまさらシベ超を見ようだなんて思えない。シベ超を楽しむ感覚で本を読んでいられない。
でもそういう姿勢は理解できるし、それが面白いと思っていた時もある。
その本の存在意義から楽しんでやろうというしゃぶりつくすかのような読書体験ってのもいいものです。
でもこの本は読むものではないな。講義をまとめたものだから、本であって本でない。講義を若者が聞く分にはためになるんでしょう。面白く思えるんでしょう。
でも本にまとめても面白くもなければためにもならない。

正直に言うと、本屋で京極夏彦の名前だけでうっかりと買ってしまっただけなのでいいとも悪いとも言えない。
ただ言葉はデジタルだという話にだけは大きく頷いておきたい。

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