乱読行【語学の天才まで一億光年】

とあるyoutuberのチャンネルで知った高野秀行さんの新刊、話が面白そうなので、語学には興味はないが読んでみるのとにした。高野秀行さんが一億光年なら一兆光年だ。

語学の天才まで一億光年 高野秀行著
世界中の辺境を飛び回る高野秀行さん。その目的は無謀で荒唐無稽。ときには謎の幻獣ムベンベどったり、ゴールデントライアングルに潜入したり。
意味の分からない危険に満ちたものである。
ゴールデントライアングルといえば、猿岩石も飛行機を使った危険地帯だ。
そんな高野さんが、世界中を旅して回った際の語学的な裏話をまとめたのがこの本である。

一冊を読み通して時折紹介される以前の著作のなんと魅力的なことか。高野さん曰く、語学は目的を叶えるためのツールだという。本書はそのツールを身につける為、使った結果が、紹介されていく。そしていよいよ本題の冒険がって所で、「詳しく拙書〇〇を読んでいただければ」となるわけだ。
語学的な部分だけでも面白いけど、過去の著作への誘いとしてとても優秀だ。
過去作を漁りたく仕方がない。

色々読みたくはなったが、特に読みたくなったのが、著作ではなく翻訳、『世界が生まれた朝に』というコンゴ文学の書である。アフリカの世界観で描かれた小説で、高野さんがコンゴの知り合いから自分の作品と渡された本で、帰りの飛行機で読み始め、あまりの面白さに辞書を引きながら読みふけり、勝手に翻訳までしてしまったこの本、残念ながら絶版だという。そらそうだ。コンゴ文学なんか読んだこともなければ読もうと思ったこともない。この本を読むまでは。
で、手に入らないかなとネットで調べてみたら、そんな事を考えるのは僕だけではないようで、すでにプレミアが付いていた。

さて読んでみたい本が増えたのは良しとして、語学的な話。
高野さんいわく言語の捉え方は、国によって変わるという。
日本は日本語があって、それ以外が外国語って感覚だけど、コンゴでは部族語、共通語であるリンガラ語、元宗主国のフランス語の3階建てになっている。
人としての基本的な物の価値が、感覚として別物なのに驚いた。
語学っていうのは国の事情によって捉え方が全く変わるものなんだと妙に納得させられた。
言語を知ればもっと世界の見方が変わるのかもしれない。
今更ながら、少しは外国語を身に着けたくなった。

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