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乱読のすゝめ【カラスは飼えるか】

会社にカラスが巣を作り始めた。社の責任者として安全面とか困ったなどうしようと悩んでいたら、考えていることがカラスにバレたらしく頭を蹴られるようになった。僕の隙をついては後ろから襲い来るカラスの夫婦。
大けがをするわけではないが、爪はいたいし、体が反射的に硬直するため、何度も繰り返されると持病の腰痛が再発する。
帽子を被り防御しつつ常に後ろを警戒する日々。
カラスはしつこいと聞く。
そんな時に見つけたのがこの本である。もちろん飼いたいわけではないが何かしらのヒントがあるだろう。

からすは飼えるか 松原始著

結論で言うと、飼えるけど飼うべきではないってのがこの本の答えだが、読んだ感想としては飼いたくなった。
この本によると、飼えない理由は家の中の色んなものを被害を受けるのと、羽ばたきが力強すぎるってのが難点らしい。
飼いたくなる理由は難点の一つでもあるけど、臆病で飼ったら飼い主への依存度が高く家から出れなくなったり、他人が来たら飼い主の後ろに隠れるらしい。
可愛すぎるやん。

とは言え、本書はそもそも飼い方の教本ではない。あくまでカラス研究者による鳥研究者エッセイでありフィールドワーク失敗談から始める面白話の読み物である。色んな鳥の話をしつつ、振り返ってカラスの不遇を嘆くのがパターン。兎に角、カラスに対する愛があふれている。
カラスに頭を蹴られる日々を過ごした者としては納得できないものだが、世間で言われるほど頭がよくなく悪意もないとカラス学者が言うのである。仕方がない。カラスの悪辣に思える所業のすべてが単に生きるため都合であって人間のルールには則さないという至ってシンプルで当然のことでしかない。
僕がカラスに抱く憎しみは人の傲慢さと偏狭さに過ぎないことを改めて突きつけられた思いだ。
カラスに悩まされる日々を送っているとはいえ、鳥に興味があるわけではない僕ですので知らないことが多く楽しくは読むことができた。
ドードーが不味いとか、3種いて2種はハトの仲間で1種はトキの仲間で目から違うとか、普通に知らんし。
あと鳥が恐竜から進化したって説が一周回って鳥は絶滅しなかった恐竜ってなってて驚いた。

さて僕の頭を蹴るカラス。噂に聞くところカラスにタゲられると7年忘れないと聞いていた。怖くなって調べると野生のカラスの寿命が7年で、7年忘れないは間違いで死ぬまで忘れないが正解だと知る。
と思っていたら去年の子育てに失敗して以降、襲ってこなくなった。


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