乱読行【頭山満ーーアジア主義者の実像】

頭山満という人物を知る人がどれだけいるでしょうか。
幕末から昭和初期の人物で、玄洋社という右翼団体の中心人物で右翼の巨魁、政財界のフィクサーと言われる人物である。
紀伊国屋書店で見つけてしまい抗えずに買ってしまったが一年ほど、積読状態に家の本棚に眠っていた。

夢野久作という小説家がいる。日本三大奇書の一つ『ドグラ・マグラ』の作者である。
少し訳あって夢野久作について調べていた。ウィキペディアその父、杉山茂丸氏が玄洋社の幹部で頭山満の右腕だったとある。
「ああ、そう言えば頭山満の本、買ってたな。」と思い出し本棚の積ん読の棚から取り出し読み始めた。

右翼の巨魁、頭山満。日本政界のフィクサー的存在とは聞くが、実際何をしたかよくわからない。一体何者なのか。読み進めていくと、孫文を支えボースを匿う。大アジア主義を唱える。
戦前の日本に多大な影響を与えたようで、何をした人というとよくわからなくなる。とにかく大きな人物であることは間違いがない。彼が歴史上の人物かと問われれば答えに窮せざるえない。歴史的に影響を与えたかもしれないが、何かを成した人物ではない。
本書には多くの人物が登場する。日本史の授業に出てくるような人や、そうでない人。出てくるたびにウィキペディアを引きながら読み進めていく。一人ひとりが魅力的で昭和のアジア動乱に蠢く。読んでる活字よりウィキペディアの記事のほうが文字数としては多いのではないだろうか。
とにかくウィキペディアを引きアッチコチを飛びながら明治大正昭和と、時代背景を想像しながら読みすすむ面白い読書体験となった。

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