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総合診療・救急分野で活動するよろず医者。麻酔専門医でもあり、国境なき医師団や災害救助犬…

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総合診療・救急分野で活動するよろず医者。麻酔専門医でもあり、国境なき医師団や災害救助犬事業に参画し、国内外で災害医療にも尽力。2021年1月からは精神科病院に勤めており、現在は主に明るい医療改革を目指して病院再建に取り組んでます。 7つの習慣®実践会認定ファシリテーター

マガジン

  • 救急医が精神科病院に赴任しました

最近の記事

4度目のコロナクラスターを見事に乗り切りました!

10/27衝撃の一報が飛び込んできました。「病棟で新型コロナ感染患者が出ました!」とのこと。「来たか…。」思いのほか冷静な自分がいました。「今までと変わらない。ひとつひとつ対応すればいい。」そう自分に言い聞かせながら。 幸い職員の対応は迅速でした。日頃から準備を重ねているうえ、良くも悪くも慣れてきたこともあり、特に指示を出さなくともみな主体的に動き出して、あっという間にコロナ対策体制が出来上がりました。と、ここまでは良かったのですが…。 今回のクラスターではこれまでの想定

    • なんとか「黒字化を達成した!」と言えるようになりました。

      精神科の病院に赴任して早や1年9か月、当初は右も左もわからない上に、「精神科」という独特な世界になかなか適応できない自分がいました。(今も適応できているかどうかは微妙(笑))そんな中でも地道に丁寧に職員との関係性を深め合いながら、時には叱咤激励を受けながら、仲間とビジョン・コンパスを共有しつつ、これまで取り組ませていただいております。 大赤字だった病院は職員の協力・努力のもと徐々に収支が改善し、2022年3月に初めて単月黒字化を達成。(当初のミッションより約半年遅れでしたが

      • 当院で2回目のコロナ・クラスターが発生しました

        「先生、ダメだ。出ちゃった。」 2/3(木) 11:00ころ、それは看護師からの一報で始まりました。一病棟で2名の発熱患者が検査の結果 新型コロナ陽性となり、そこから1週間で7名の患者が発熱⇒新型コロナ陽性、コロナ・クラスターでした。当院では、2020年9月以来2度目の出来事です。しかし、今回は前回とはまったく状況が違っていました。前回のクラスターの際は陽性患者全員(36名)を新型コロナ治療病院へ転送することができましたが、市中の感染拡大状況から今回陽性患者を受け入れてくれる

        • 精神科の病院に1年務めて感じたこと④~精神科病院におけるコロナ対策~

          世の中、新型コロナウィルスが猛威を奮っております。幸い今回の変異株は、感染力は強いものの、毒性は以前のものと比べて弱いとのことで、不幸にして感染された方はどうぞご養生ください。幸い感染を逃れている方々は、わたくしもそうですが明日は我が身です。お互い気を付けましょう。 さて、以前「コロナクラスターの原因」の会で、精神科病院における感染対策の難しさについてお話させていただきました。今回はオミクロン株が猛威を振るう中、「その後どうなったか?」についてお話させていただきます。 も

        4度目のコロナクラスターを見事に乗り切りました!

        • なんとか「黒字化を達成した!」と言えるようになりました。

        • 当院で2回目のコロナ・クラスターが発生しました

        • 精神科の病院に1年務めて感じたこと④~精神科病院におけるコロナ対策~

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        • 救急医が精神科病院に赴任しました
          2本

        記事

          精神科の病院に1年務めて感じたこと③~営業活動をはじめました~

          そもそも病院って、中がどうなっているのかわかりにくいと思いませんか? どんなスタッフや患者さんがいて、どのような活動をしているのか。 もともと医療機関は患者様の個人情報保護のルールのもと、なるべく外からはわかりにくいように作られています。特に精神科は疾病の性格上、ほかの科よりも気を遣うことが多い。わたくし自身も実際に勤務してみてたくさんの気づきがありました。今回はその中の1ページを紹介させていただきます。 現在、全国的に赤字が継続していて経営が苦しい病院が多いのです(コロナ

          精神科の病院に1年務めて感じたこと③~営業活動をはじめました~

          精神科の病院に1年務めて感じたこと②~日本における精神医療の価値評価~

          いきなりこむずかしいお話にて恐縮ですが… 現在、厚生労働省やWHOでは、5大疾病として『生活習慣病その他の国民の健康の保持を図るために特に広範かつ継続的な 医療の提供が必要と認められる疾病として厚生労働省令で定めるものの治療 又は予防に係る事業に関する事項 (医療法施行規則第30条の28)。 疾病は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病及び精神疾患とする。』のように精神疾患診療の重要性を掲げています。専門家の調査によると、精神疾患を患い、社会活動ができなくなってしまったための経

          精神科の病院に1年務めて感じたこと②~日本における精神医療の価値評価~

          精神科の病院に1年務めて感じたこと①~精神科という悪評~

          今の病院に赴任して、はや1年が経ちました。まだまだ慣れないことばかりですが、1シーズンを過ごさせていただいて、何となく雰囲気はつかめた印象があります。それらを忘れないようにするためにも、ここまで感じたことを書き留めておきたいと思いました。 ひとつ目に残念に感じたことを書くのも恐縮なのですが、わたしが感じた印象の強い順から挙げさせていただきたい。それは異動してから、知人たちに「今は精神科の病院に努めています。」と伝えると、ほとんどの人に驚かれるということです。もちろん「いまま

          精神科の病院に1年務めて感じたこと①~精神科という悪評~

          新型コロナワクチンで困ったお話

          今週、職員に対する2回目の新型コロナワクチン接種が終わりました。副反応に苦しんだ方もいましたが、おおむねみなさん命にかかわることもなく無事に終えることができました。まずはひと安心。 接種前の準備はいろいろと大変でした。人数を6の倍数に揃えなくてはならないこと(インフルエンザの時は偶数でありさえすればよいのですが)。アナフィラキシー反応が出たときの対策(多くの職員が接種そのものはできても、副反応に対する対応ができないという)。接種した翌日に職員が副反応でたくさん休んだ時の業務

          新型コロナワクチンで困ったお話

          あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから

          7つの習慣®アカデミー協会プロデュースメンバーからご推薦を頂き、購読させていただきました。言葉遣いや表現がやさしく非常に読みやすいうえ、期待以上の内容で、あまり読書が好きでないわたしがめずらしく一気読みしてしまいました。(笑) わたしは精神医療は初心者で、むしろ麻薬や免疫が専門なので、うつがウィルス感染とかかわっているというお話は、ひじょうに興味が湧くところです。しかし、その点は今後の自分の研究課題にするとして、今回は個人的な興味よりも全体的な感想を述べさせていただきます。

          あなたが死にたいのは、死ぬほど頑張って生きているから

          当院でもワクチン接種が始まりました

          川崎市からの通達で当院職員への新型コロナワクチン配給は一番最後となっていたので、GW明けかと思っていたら、なんとGW直前にワクチンが到着。しかも、当初全体量の半分が届くという市からの連絡だったのに、なぜか全員分到着し、何がどうなっているのかまったく分からないまま、職員へのワクチン接種が始まりました。 もうすぐ1回目が終わろうとしておりますが、いまのところアナフィラキシー様の副反応はなく、接種後気分不快になった若者が一人出たのみ。勝負は2回目かと思われます。 一番困ったのは

          当院でもワクチン接種が始まりました

          川島屋を再興しました

          何のことやら?と思われるでしょうね。 極めてわたくしごとですが、今から50年前、埼玉県の山奥に金物屋の三代目として私はこの世に生を受けました。小さい頃は周囲の人からも「三代目」と呼ばれており、自分自身も何となく当然父の跡を継ぐものだと思っておりました。そのため、店番や電話対応、配達の手伝いなども小学生のころからやっています。その屋号が「有限会社 川島屋金物店」です。自宅兼店舗になっていたので、電話に出るとき「はい、初雁です。」と出ると「川島屋さんですか?」と聞かれ、「はい、

          川島屋を再興しました

          憲法を作ってみました

          医療において「原則」とは何でしょうか? 「いきなり何?」と思われるかもしれませんが、コロナ禍で殺伐とした医療現場において、これが最も重要かつ求められるものと思いました。 「原則」について、フランクリン・R・コビー博士はそのご著書『完訳 7つの習慣 人格主義の回復』の中で、「原則は人間の行動を導く指針」であり、「実りのある人生を支える基本的なもの」と捉えておられます。 わたしの考える「医療における原則」とは、「患者さんとそのご家族が笑顔になること」です。治療結果はともかくと

          憲法を作ってみました

          コロナ禍で苦しむ人を救うために~新型コロナ後遺症外来のご案内~

          前回の「ソーシャルディスタンスを近づけよう」のお話の続きです。 コロナ禍において、また、社会的分断がささやかれている昨今、残念ながらうつや自殺企図者の数が急増しています。どのような状況であろうが、決して人と人との心の距離を離してはいけません。しかし、当院ではコロナウィルス感染症に対応することは病院機能的に難しいため、今の自分の立場でいかにしてそのような方々への手助けができるのか、考えあぐねていました。 そんな中、たまたまNHKスペシャル「終わりなき闘い〜新型コロナ 第3波

          コロナ禍で苦しむ人を救うために~新型コロナ後遺症外来のご案内~

          ソーシャルディスタンスを近づけ、フィジカルディスタンスは保つ

          不勉強だったことを反省し、書きました。 コロナ禍において有名になった言葉のひとつに「ソーシャルディスタンス(英語では Social distancing)」があります。すっかり耳慣れた言葉ですが、ある一定の距離感を保ち、飛沫や接触を避けることで、コロナウィルスに感染するリスクを軽減するという意味合いで使われていますね。 しかし、本来ソーシャルディスタンス(ing)の意味は「社会的距離(心理的なものも含む人と人との距離)」となっており、社会的孤立や民族・集団の違いによる距離

          ソーシャルディスタンスを近づけ、フィジカルディスタンスは保つ

          コロナクラスターの原因

          たまたま昨日読んだネット記事です。 当院は、昨年9月にコロナクラスターが起こりました。1病棟入院患者36名中35名がコロナウィルスPCR陽性。職員も14名陽性となり、その他の多くの職員は濃厚接触者で自宅待機。当時、わたしも応援で入らせていただきましたが、残された職員が慣れないながらも協力して対応し、また市の感染担当の方々やDMATチームの献身的な協力もあり、なんとか一病棟に封じ込めることができました。世間の評価はわかりませんが、わたしは個人的に当院におけるクラスター対策は成

          コロナクラスターの原因

          まるで別世界でした

          前回、精神科病院の料金体系についてお話させていただきました。今回からは、赴任当初に感じたことを綴っていきたいと思います。 精神科病棟と聞いて、皆さまどのような想像をなさいますか? わたしはTVや映画はあまり見ないので、最近の医療ドラマなどで精神科病棟がどのように描かれているのかはよく存じませんが、共通認識として(?)患者さんがベッドに縛り付けられて、もしくは包帯ぐるぐる巻きでフロアに雑魚寝していたり、部屋に閉じ込められているような光景を想像される方も多いのではないでしょうか

          まるで別世界でした