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まるで別世界でした

前回、精神科病院の料金体系についてお話させていただきました。今回からは、赴任当初に感じたことを綴っていきたいと思います。

精神科病棟と聞いて、皆さまどのような想像をなさいますか? わたしはTVや映画はあまり見ないので、最近の医療ドラマなどで精神科病棟がどのように描かれているのかはよく存じませんが、共通認識として(?)患者さんがベッドに縛り付けられて、もしくは包帯ぐるぐる巻きでフロアに雑魚寝していたり、部屋に閉じ込められているような光景を想像される方も多いのではないでしょうか?現在はそのようなことはなく、もちろん事故防止の観点から病棟へは鍵がないと入れませんが、いわゆる抑制や隔離は必要最低限しか行われておりません。むしろ早く状態が良くなって、それらが早く必要なくなるよう、スタッフは日々努めておられます。(ぶっちゃけ、抑制や隔離はそれはそれで管理上いろいろたいへんなところもあります。)

あれ?今日のタイトルは「別世界」というお話だったのでは、と思われた方いらっしゃいますか? そう、「別世界」の意味は「見た目が別世界」なのではなく、「いままでの自分の常識やスキルがまったく通用しない」という意味です。同じ医療のはずなのに、20年積み上げてきたノウハウがあまり役に立ちません。

今まで勤めてきた病院はいずれも二次救急指定病院で、いわゆる救急患者を応需して、必要があれば入院・治療して退院、診療報酬を得るというスタイルでした。ですから、積極的に救急患者を受けることが、結果的に病院の収益にも繋がるモデルです。ところが、精神科病院には原則的に救急車は来ません。入院に関しては、精神保健福祉法という法律に基づき精神保健指定医でないとその是非が決められません。つまり医師でありながら、診療の裁量権がかなり限定されているという始末。

(厚生労働省の詳しくてちょっとわかりにくい解説はこちら→https://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/law.html)

これにはしばらく落ち込みました。病院再建というミッションが与えられながら、今までやってきた手法(自分の中では黄金律と思っていたやり方)がまったく取れないのです。加えてキツかったのが、今まで働いていた病院のスタッフからの素直な質問「精神科の病院に行って何をしているのですか?」 心の中で「こっちが聞きたいよ!」と叫びながら、刺激と反応の間をあけ、主体的に選択をして答えます「いつも通り、遊んでいます。」

まずは影響の輪(自分ができること)に集中するべく、自分の居場所探しを始めました。

#7つの習慣アカデミー協会


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