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新型コロナワクチンで困ったお話

今週、職員に対する2回目の新型コロナワクチン接種が終わりました。副反応に苦しんだ方もいましたが、おおむねみなさん命にかかわることもなく無事に終えることができました。まずはひと安心。

接種前の準備はいろいろと大変でした。人数を6の倍数に揃えなくてはならないこと(インフルエンザの時は偶数でありさえすればよいのですが)。アナフィラキシー反応が出たときの対策(多くの職員が接種そのものはできても、副反応に対する対応ができないという)。接種した翌日に職員が副反応でたくさん休んだ時の業務を維持するための対策など様々な準備が必要でしたが、担当スタッフたちの積極的な参加があり、各自が前向きに主体的に動いてくれたぶん全体がうまく運営されたと思います。気心知れた職員と院内で行うだけでもたいへんなのですから、現在一般高齢者対象に行われている大規模接種は本当にたいへんだと思われました。にもかかわらず、準備が悪いだの、ワクチンを無駄にしただの世間様から叩かれ、関係者のみなさま、ほんとうにご愁傷様です。

これからは入院患者さんのワクチン接種を行うべく準備を始めましたが、こちらも現場は大混乱状態です。
① 1回目接種後、3週間明けて2回目を接種するが、その間に患者さんが退院したらどうする?
② 各病棟で75歳以上・65歳以上が何人いて、全病棟あわせて1日の接種人数を6の倍数に調整する必要がある(自治体によって接種権が届いているかが違うため、その確認も含めて)
③ 当日に接種予定患者が発熱した際の人数調整
④ (これが一番大変なのですが)患者さん自身が接種希望の意思表明をできない場合、家族へ接種意向を確認し(中には身寄りがない方も)、その内容・有害事象の電話説明、同意書・問診表への記入とコロナ禍で来院しての対応が難しいためその書類の郵送、書類に不備があった時の対応
など、様々な準備が必要です。

ところが、このワクチン接種をめぐってこんな不思議な電話でのやり取りもありました。(個人の特定を避けるため、多少内容を変更しております)

(その1)
<患者の家族>「もう接種権が届いているのに、何でうちのじーさんにまだワクチン打ってないんだ!」
<病院職員>「現在準備を進めておりますが、東京オリンピックの日程も関係して(医療ボランティアの応援を出すため)、実際の接種は8月か9月になりそうです。」
<患者家族>「国が75歳以上は7月までに接種が完了するって言っているのに、お宅はなんでできないんだ!怠慢なんじゃないのか?」
<病院職員>「対応が遅くて申し訳ありません。もし、早めの接種を希望されるのであれば、接種権が届いているのですから、地元の自治体に申し込み、その日に外出という形でご本人を連れ出していただいて接種していただくことも可能ですが?」
<患者家族>「俺は忙しいんだ。そんな暇なんかねえよ!」

(その2)
「ワクチン接種をお願いしようして自治体に連絡しているが、なかなか予約が取れない。うちの妻はそちらに入院中で(所属自治体が違っても)ワクチンを打てるのだから、わたしにも打ってほしい。」

新型コロナワクチン接種に関する混乱は、まだしばらく続きそうです。

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