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52歳日誌

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誕生日が来るまで、「53歳になるのかあ」と思い込んでいた52歳の日誌。
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草原の道 <星空とシャーマンの話編>

草原の道 <星空とシャーマンの話編>

モンゴルツーリングに行ってからもう1年経ってしまう、早いなあ。書き残していたことがあって気になっていたので、メモを見ながら思い出してみる。

きっともう、いまごろモンゴルは草原に花が咲き乱れている頃だろう。ツーリストキャンプの犬たちは大きくなったかな、今年も元気に走りまわっているんだろうか。あのツアーにガイドの助っ人としてバイトで来ていた男の子、他の4人のスタッフに比べたらやけに若くておとなしいが

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自己流マラソンの備忘録・後編

自己流マラソンの備忘録・後編

2022年12月の湘南国際マラソンに出るための自己流準備、「チャリで太ももを鍛える」計画は予定通り進んだ。2週間、雨の日を除いて日暮れちかくに鶴見川沿い10キロを往復(20キロ)した。そうだそうだ、高校に通学していた頃の時速20キロ前後の風景の流れ方を思い出した。川沿いを走るわけだし、これはこれで気分がいい。

最初は疲れてしまって、戻るともう仕事にならないのだが、2〜3日で慣れる。
「筋肉つけた

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自己流マラソンの備忘録・前編

自己流マラソンの備忘録・前編

ボクはたいていのことは自己流である。というか、自己流が好きだ。
スクールのような場所で上手い人やコーチから教わっても、ボクはたいてい定着しない。次回行くと間違いなく忘れている。

スクールに行き始めて7、8年経つテニスがいい例だ。
「ハシモトさん、なーんでそうなの!? この間教えたでしょ!」
と毎回怒られる。特に球技は、おそらく全く「向いていない」ので、言われたことをすぐにトレースできない。同じク

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14年後の「つながり」

14年後の「つながり」

人んちの子どもの成長というのは実にはやい。
2010年に妹の子ども、つまり甥っ子が生まれた。きのうで14歳。

以下に載せるのはその直後に書いた「つながり」という文章。あのあと、妹夫婦はボクの実家の近くに家を建て、甥っ子姪っ子はうちの両親が面倒を見ることになる。

が、もう甥っ子は14歳で、声変わりもしかかっている。あいかわらず口うるさい婆ちゃん(=ボクの母親)とは案の定、噛み合ってないらしく、実

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1月16日の雲

1月16日の雲

1994年という年は24歳で厄年だった。9月、ある雨の日にバイクでクルマに正面衝突して右大腿骨骨折。9月からの1ヶ月はベッドから動けず、飯もウンコもベッドの上だった。2ヶ月弱の入院が終わったらすっかり秋で、その年いっぱいは松葉杖を突いて過ごした。

当時は内装職人のような仕事をしていたんだけど、1995年の正月明けに当時行ってた会社の社長に呼ばれた。やっと重いものも持てるようになり、人並みに仕事が

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草原の道 <どろんこ七転八起編>

草原の道 <どろんこ七転八起編>

今回のモンゴルツアー参加者はボクたち夫婦のほかに3人。初心者の女性Tさん、経験者の男性YさんとHさん。昔同じ会社にいたというバイク仲間。Yさんはかなりオフロード好きで日本ではWR450含めて3台持っているそうで上級者だ。

うちの奥さんと合わせて2人初心者がいるので、ダートに入るとガイド兄弟もかなり慎重に走ってくれた。弟氏のYAMAHA WR450が先頭で、お兄さんのKTMが最後を走る。最後を走る

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草原の道 <セローで出発編>

草原の道 <セローで出発編>

50年前に司馬遼太郎がアントノフから見た風景と、ほとんど変わっていないだろう。もくもくとした雲と、なだらかな(というかおおらかな)大地が夕日に照らされていた。雨雲も混じっているように見える。ゆっくり降下していく飛行機から見た景色は、20年ほど前に初めてのシルクロードツーリングで敦煌の空港に降りる時とおなじような気分にさせた。

「こんな何もないところに空港あるのかよ。まさか草むらに着陸するんじゃな

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草原の道 <きっかけ編>

草原の道 <きっかけ編>

7月の末、モンゴルの草原を走るバイクツーリングに奥さんと参加した。

うちの奥さんとはここ数年、「いつかモンゴルに行く」が合言葉のようになっていたんだけれども、コロナ禍がやっと収束した今年の春、「ひょっとしてこの夏行けるんじゃない?」とどちらからともなく言い出した。彼女は馬に乗るツアーがよかったみたいだけど、数年前にバイクの免許もとったし、バイクツアーのほうが移動距離も長いから、いろんな景色を見ら

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29年目、夏の耐久

29年目、夏の耐久

8月13日日曜日。
パエリアレーシング29年目の夏は、SUGOミニバイク6時間耐久。大方の予報が外れ、台風由来の雨雲もなぜか、きわどくすり抜けて6時間ずっとドライコンディションのレースだった。

久しぶりの酷暑の中のレースで、体はだいぶキツかったんだけども、トラブルもなく3人で順調に周回を重ね、5時間経過時点でクラス首位。2位との間に約2ラップ差をつけていた。

菅生の上空をかすめる予想だった雨雲

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むくげの木

むくげの木

今日は奥さんも飲み会だし娘も不在なので、庭で「ひとり焼肉」。ニオイも残らないし油も飛ばないから庭でやるのが一番。

夜風に吹かれて肉を焼きながら、ここ数日、白い花が咲き乱れてる、奥さん自慢の木槿(むくげ)の木を眺めていたら、突然25年前の記憶が蘇ってきた。

「あーそうだ!あれは木槿(むくげ)だったんだ!」

大学の同期のT。卒業してから、お互い夜が遅い仕事に就いた。28歳ぐらいの時だったか、たま

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M社長とフェラーリ

M社長とフェラーリ

今、関わっているある仕事で、一緒に働いていたバイトの学生くんたちが就職で巣立っていった。金融系に、有名メーカーに、船会社、そうそうたる企業への就職。みんなすごいなあと思う。

息子や娘ぐらいの年齢の彼らに「橋本さんは、どんな新入社員だったんですか?」と聞かれたらいやだなあ、めんどくさいなあ、彼らの参考になる話ができないなあと思いつつも、そういう質問はなかったので……よかった。が、ちゃんと「聞いても

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