本格ミステリ大賞

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追放されし偽王・笠井潔への〈諌告〉

書評:笠井潔『例外状態の道化師 ポスト9.11文化論』(南雲堂) 笠井潔は、とても優秀な批評家なのだが、その彼が実力相応に評価されないのは、もっぱら彼の「信用できない人間性」と、その「押し付けがましい政治性」にある、と断じていいだろう。「評論家として優秀であれば、人間性なんてどうでもいい」という「娯楽としての批評消費」的な考え方もあろうが、「有能と不誠実」が結びついたものほど危険なものはないのだから、多くの賢明な人たちが笠井潔を敬遠するのは、決して故なきことではない。笠井の

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皆川博子著『インタヴュー・ウィズ・ ザ・プリズナー』から三部作を振り返る

作家生活50年目を迎える皆川博子さんの集大成となる 魂を揺さぶる傑作歴史本格ミステリ・シリーズが 本格ミステリ大賞受賞作『開かせていただき光栄です』 その続篇となる衝撃作『アルモニカ・ディアボリカ』 そして―― エドワード・ターナー三部作の最終作 『インタヴュー・ウィズ・ザ・プリズナー』 をもって、ついに完結しました! 早川書房/46判上製/2310円(税込)/6月16日発売 本稿では、三部作の完結を記念して、第1作『開かせていただき光栄です』から順に、シリーズを

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言葉の螺鈿細工による奇跡の匣

書評:竹本健治『涙香迷宮』(講談社) 「面白い」などというありふれた言葉の対象とはならない、脅威の一書。 小説は「面白くなければならない」というのは、俗説である。 実際、人が何を面白いと思うかは千差万別であり、面白さとは実質的に内容規定など出来ず、せいぜい「知的に快感を惹起する特性」というくらいのことしか言えない。したがって、昨今流行の「通俗的娯楽性」だけが面白さではない。人によってはピカソも面白いし、別の人にとってはホーキングが面白い。 そうした意味でなら本書も「面白

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