大きな鳥にさらわれないよう

ゆとり教育は誤りだったのか?

ゆとり教育。当時の教育を受けた人たちは「ゆとり世代」と揶揄され、日本教育界の黒歴史として捉えられがちですが、果たしてそうだったのでしょうか。

ゆとり教育というと、詰め込み教育の廃止、指導内容の低レベル化が挙げられるでしょう。これらは結果的に、大学教育に求められる基礎的な学力が不足するという問題を生じさせました。

一方で、「過度な競争の廃止」もあったように思います。運動会の徒競走では、ゴール前で

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愛は、憎しみをふくんでいる。

川上弘美さんの「大きな鳥にさらわれないよう」という本の中で、カイラ(女)とノア(男)が心を走査するという特殊な能力を使ってお互いの心の中を探る場面がある。

ノアは、カイラの心の中には純粋な美しさであふれていることに驚く。嫉妬や憎しみ、そういった類の感情はまるで無く、全てが澄んで清らかな愛に溢れている。

ノアの走査に気づいたカイラは、ノアが自分の心を美しいと感じていることに対して、浅い走査だと揶

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川上弘美『某』(幻冬舎)

川上弘美の『大きな鳥にさらわれないよう』を読んだのは、つい最近だった気がしたのに、もう1年以上たっていた。今回の『某』は、前作に較べSFっぽさは薄いがそれでも歴然とSFだった。普通の人間とちょっと違う人たちの物語、ということで、途中から、筒井康隆『七瀬ふたたび』を思い出したりしながら読んでいた。

(結構ネタバレしちゃうので、これから読む方は注意です)

突然、病院の受付にいるわたしは、問診票を前

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『大きな鳥にさらわれないよう』川上弘美 著:人類の行く末を静かに眺める

地球の滅亡や人類の絶滅を危惧する人々がいる。

でも、地球という星ははるか昔に生まれ、星には寿命があるという。

人類が地球上に生きてきたのは、地球の歴史からすると、ほんの一瞬。

地球ではかつて、例えば恐竜が、繁栄し、そして滅亡したという。

人類も、いつかは滅びる。

それなら、あんまりあがいても仕方がないではないか?

しかし、自分が生きているときに、人類が滅んだり、地球がなくなったりするの

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昨年面白かった本

2018年は本を100冊ちょうど読みました。今年はもう少し沢山読めるといいな、と思っていますが、どちらかというと集中力を研ぎ澄まして、きちんとテキストを読み取り味わう読書を目指した方がいいような気もしています。

舞台「豊饒の海」を見る前に三島由紀夫『春の雪』『奔馬』を再読(『暁の寺』『天人五衰』もこれから読みたい)、舞台「メタルマクベス」disc1を見たら、あ、原作当たっておくべきだった、とdi

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川上弘美『大きな鳥にさらわれないよう』(講談社)

未来の人類の物語。弱弱しく見える人々の生活は、ディストピア的にも見えるが、例えば多和田葉子の『献灯使』(講談社)のような、具体的なカタストロフィがきっかけで、弱体化した社会を描いたものではなく、もっとロングスパンに、種としての人類が弱体化したのか、進化を模索しているのか、それを曖昧に綴っていく。人類とは違う立ち位置にいる、長生きの「母」たちが、地球を箱庭にして、人類を育てているような、そんな印象。

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読んで下さってありがとう♪♪♪
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川上弘美はゆうれいなのかもしれない −−『大きな鳥にさらわれないよう』を読んで

川上弘美の『大きな鳥にさらわれないよう』を読みました。

川上弘美の真骨頂だ、と思う。
そして、川上弘美というひとの書くものにどうしてこんなに惹かれるのかということについて思い至りました。

遠い未来のSFでありながら、いっぽうでこれは神話でもありました。
遠い未来、人類が衰退してゆく物語です。おそらくディストピア小説と呼ばれるものだと思います。
ディストピアというのは、もっと私から離れたもので、

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気持ちのいい日をお過ごしください♩
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