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川上弘美「大きな鳥にさらわれないよう」

 ワクチン副反応で月曜から仕事を休み、不貞腐れて朝から6時間くらいぶっ通しでスマホゲームをやり、飽きて全部アンインストールして、川上弘美さんの本を一気読みしたら9時になっていた。一度やってみたかった、お風呂で本を読む、ってこともした。
 人類が絶滅する物語は、短編が組み合わせられて一つの物語として編まれている。私は、愛と、人の心を奥深くまで読む『走査』についての対になる二篇と、自分たちとは異なりながらも自分たちと似ておりより優れている(憎しみを持たない、異形の)人類を別の人類が毒殺してしまう二篇とが好きだった。
 振り返れば、愛憎の憎の方に感情移入していたからかもしれない。
 あと、手塚治虫の『火の鳥』の、特に未来篇を、ものすごく思い出した。のっぺりずんぐりした母たちはマザーコンピュータ、大きな母はロビタを彷彿とさせる。運命に抗おうとしながらも絶滅していく人類の姿は、川上さんの語りではまた違う姿になっていたけれど。
 大きな鳥とは何の比喩だったんだろう。