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今歌:うっすらと踏み込むペダルが押し出す私はきっと昨日へ帰る

今歌:コーヒーとパンの香りのおすそわけ ふたりでかいで目が合い笑う

今歌:1ミリもない体力を引きずってあちこちで寝る僕という泥

今歌:葉の船で公園の海へ漕ぎ出て行方も決めず紡ぎ続ける

今歌:愛犬の抜け毛がつまるクッションも三十余年。きっと死んでも

今歌:満足に金を得るのは難しい 幸せは割と簡単なのに

今歌:きらわれて、ただひたすらにきらわれて。まっくらやみにたれてきた糸

今歌:御衣黄と教えてくれたご婦人がくれた眼鏡で見る新世界

今歌:花粉症の薬求め小旅行 思春期ひとり車に乗せて

今歌:割れにくい殻に実ったピーナッツ たったひとりの価値は知られず

今歌:コーヒーとコーラと氷買いに出た卯の花に恋をそっとしてる

今歌:街灯の傘から雨が降っている。光の範囲だけ切り取られ

今歌:一仕事を終え桜は深呼吸 翌春に向け企画会議へ

今歌:ひだまりの川辺に立った木々たちの影のせせらぎ 君の歓声

今歌:じゃれあっていつのまにやらケンカへと春の天気は子どもの遊び

今歌:雨の中踊る羽虫の夕方はひと気はないが確かな祭り

今歌:フリスビー 風を受け止め無軌道に君は無邪気な線を描いた

今歌:固く閉じうつむく花は晴れを乞う そうと気づかず雨に唄えば

今歌:同僚のきっと善意の一言をそれとはなしに拭いとる雨

今歌:苔むした木で抜け殻が冬を越し周回差つけ何を狙うか

今歌:なんてことのないきみどりにみせられ枯れた私はシャツを羽織った

今歌:砂遊び ケーキスタンドを囲んで幼稚園児の優雅な茶会

今歌:咳止めを飲んだ子供に添い寝する 抱き枕にもなれない私

今歌:金網にとまりくちばしを打ち鳴く黒いあなたと会話したくて

今歌:途切れずに詠む人がいるこの星は歌の惑星 青い連なり

今歌:満を持し咲きこぼれるは八重桜 打って変わってパリピモードに

今歌:成長とともに別れる自転車は巣立ちにむけた予行演習

今歌:嫌われて遠回りさえしたけれどなんだかんだでハッピーエンド

今歌:自転車で子が水たまりを渡り行く 映る水面のスローモーション

2024年5月:今歌まとめ

今歌:クソ垢をただ粛々と通報し、ブロックするの 。とがる秒針

今歌:細部まで気を配っても気づかない人のためにぞ今日も働く

今歌:シベリアにもう帰れないハスキーの遺伝はコタツで溶けてしまう

今歌:沈む陽を眺めて生きる君だから 首を折っても未来振り向け

今歌:濃く青くなる空の際は静かによしあしまるめ息を引き取る

今歌:散る花の仮名で綴った辞世の句 次の春へのつなぎの私

今歌:千々の筋が織りなしたる竹細工 ひとつの美へと編む人の指

今歌:巻貝が8番出口の世界でひとりマックを楽しむ自由

今歌:木の上で集会中のカラスたち 区域制覇の勝鬨上げる

2024年4月:今歌まとめ

今歌:越冬の思い出などを花にきく だから聞いてよ私の愚痴も

今歌:やりきれず瞼を閉じた暗闇に服を干すのはなんでだろうか

今歌:前歩く子の背の丈が急に伸び 見上げた空の青に春来る

今歌:楠の下で遊んだ兄妹の有効期限よとこしなえに

今歌:日が沈み曇天の寄るピクニック 梅の香りす楽しさの影

今歌:改めて「どうせ」禁止を貼り出して何ラウンド目かのゴング鳴る

今歌:春という映画の予告編がきた ドラムロールのように吹きつけ

今歌:y=sinθのグラフがかかれた空は余白に満ちて

今歌:ハンバーグ子らと一緒に作ったら疲れてしまい詠みわすれたわ!

今歌:精神年齢がy=1/2xで今ハタチ