ぼくの世界を守ってくれる魔法を手に入れた
本棚を他人に見られることが、昔から嫌いだ。頭の中を覗き見られることとほぼ同義だと思っているから。それと、幼少期の父の言葉の影響もある。「おまえ程度の知性と感性でヘッセやアーヴィングを理解できると思うなよ」と言われてしまうのではないかと、いまだにぼくは怯えているのだ。
ぼくの通っていた中高一貫校や大学は、どちらも通学に往復2〜3時間くらいかかるような場所にあった。そのため10代のころ読書をするのは主に電車の中だったので、ブックカバーは必須だった。なにを読んでいるか他人に知られ