【小説】ホワイトソースを混ぜる夜
「よいしょ」、思わず声が漏れてしまった。
大きなエコバッグには、何でも入る。
その代わりにずっしりと重たくなり、わたしの腕に食い込んでくる。
部屋の灯りをつけて、手を洗う。
今日は早く帰ってこれた、と思うのと同時に、色んなことを後回しにして、逃げるように帰ってきた会社のデスクを思い出し、気が重くなる。
「いやいや、違う」
また、つぶやきながら、慌てるように手を洗い、すべてを流し落とした。
一人でいると、独り言が多くなる、と誰かが言っていたけれど
一人でいれば、全部が独り言