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はるのひ
2019年12月25日 01:11
あれは何歳の誕生日だったろう。子供の頃は毎年、誕生日には母がケーキを作ってくれた。生クリームをハンドミキサーでブーンと混ぜて、ふわふわになった白いクリームを丁寧に市販のスポンジに塗り、間にフルーツを挟んで、最後にまたフルーツとクリームでデコレーションするのが我が家の定番だった。その年も、食後のケーキを楽しみにしていた。冷蔵庫で冷やしていたケーキをテーブルの上に出し、ろうそくを飾って、家族が
2017年8月9日 19:03
真冬の夜の闇の中、車は街を滑る。頭上には、いつになく見事な満点の星空。「代わりに見といて」ハンドルを握る彼は前方に視線を戻し、ふわりと言う。彼の隣で、彼の分まで星に見とれる。地図は出さずに、目指すは海の方。間違った道をぐるりと回りまた同じ場所に出て、2人で笑う。見知らぬ街の、見知らぬ坂を上りきると突然 視界が開けた。同時に息をのみ、歓声をあげる。宝石のよ