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私のクラシック音楽の原点

私は3歳からヴァイオリンを始めたが、全然練習しない子供だった。ヴァイオリンも好きだし、母がよくコンサートに連れて行ってくれた。でもクラシックは流れていたら聴く程度。自分からこれが聴きたい!というのはなかった。

まぁ小学生だし仕方ない。

出会いは10歳

映画学科卒の母とよく映画を見ていた、小さい頃からオールジャンル、子供向けのディズニー映画をはじめ、観たら鬱になりそうな映画も、とにかく子供向けも大人向けも関係なくなんでも母と一緒に観た。(洋画が多かった。)

ある日、ミュージック・オブ・ザ・ハートというあの大女優メリル・ストリープ主演の音楽映画をみることになった。ヴァイオリンを習う私にとって興味深い内容だったからとりあえず観ることにした。

あらすじはニューヨークのハーレム街でヴァイオリンを教える教師とヴァイオリンを学ぶ生徒たちの物語。名だたる世界のヴァイオリニストも友情出演で出てくるシーンはまさに鳥肌もの。

クラシック音楽に馴染みがない方も是非観てほしい作品のひとつ。

このときにカーネギーホールを知った。カーネギーホールとは世界の一流の音楽家しか立てない憧れの舞台。

この映画に感銘を受けて小学生の時の卒業文集には「カーネギーホールの舞台で演奏するのが私の将来の夢です」と書いた。
(12歳の私へ、叶えられなくてごめんね…)

昨年ニューヨークに行ったとき、カーネギーホールツアーたるものに参加して1人で感動していた。

さて話を戻そう。

その、ミュージック・オブ・ザ・ハートで流れていたバッハ作曲の「2つのヴァイオリンのための協奏曲」を初めて聴いた私は「私の弾いている楽器からこんな音色と哀愁あるメロディが紡ぎだせるのか!?!?!?」とひどく感動した。

親元も離れたことがなければなにか切ない失恋もしたことがない。でもその切なさや美しさ、心が震えるような経験をしたし、今でもこの曲を聴くと10歳のときと同じ感じ方をする。

「絶対にこの曲を弾きたい!」と思い、当時習っていたとても優しい先生に発表会で弾かせてくれ、と直談判した。

奏者が2人必要ということもあり、奏者探しに難航したが中学2年生のお姉さんが一緒に弾いてくれることになった。

当時、母は入退院を繰り返していてレッスンや練習に付き添えなかった。

おまけに学校では絵具セットが隠されたり、体操服が窓の外に捨ててあったり、落ち込むこともあった中でのイベントだった。

でも私は弾くしかなかったので、日常とは切り離して毎日弾いた。本当に、弾くしかなかった。

あのときの発表会は今でも覚えている。自分なりにも弾きたいように弾けて、周りの評価や欲も気にせず心から音楽を楽しんだ瞬間だった。

この曲を聴くとあの頃の自分を思い出す。この曲が私を音楽に出会わせてくれた。

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