【詩】テープレコーダー

僕の家にはテープレコーダーがある

友達は何それ？と言う
本当に知らない
見たこともない

音楽とか録音したものを
聞くと言うと
スマホでよくねとなる

おじいちゃんみたいだな

テープレコーダーを聞いているのは
じいちゃんだ

僕が生まれたときからじいちゃんは
テープレコーダーで落語を聞いていた
何千回と聞いているのだろうか

音楽もそれで聴いている
子供の時の父親の声も
それで聞いている

あの無口な父親がおどけて
ばあちゃんを笑わせている

そんなテープはダンボールいっぱいに
入っていて飽きもせずに
毎日のように聞いている

時代は巡っている

古いものは取り残され
新しいものに変わってゆく

それでもじいちゃんの
テープレコーダーは
無くなって欲しくない

テープレコーダーは
じいちゃんの宝物で
人生そのものだ

携帯電話は壊れたら
全部なくなるけど
テープレコーダーは
ずっと残るんだ

じいちゃんの言っていることは
間違っていないかもしれない

テープレコーダーは
今日も家で動いている