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#10

「ペネロープ、どうしてうちの赤ちゃんは怪我してるの?」
 攻撃は最高の防御だ。「わたしは赤ちゃんじゃなくて、25の大人よ」わたしは祖母の初孫だ。わたしが50になって孫ができても、祖母にとっては“赤ちゃん”なのだろう。
「何があったの?」母が言った。
 こうなったら言うしかない。「魔力の爆風と壁と椅子のせいよ」
「爆風?」バーンがたずねた。
「ほら、ラトガーの件」
「あいつ、凡人だと思ったのに」
 わたしは首を振った。「電光念動力の持ち主だったわ。元軍人よ」
 バーンの顔に怒りが浮かび、彼は部屋から出ていった。

「アラベラ、救急箱を取ってきて」母が言った。「ネバダ、横になりなさい。脳震盪のうしんとうを起こしているかもしれない」
 アラベラは走って出ていった。
「たいした怪我じゃないわ! 脳震盪も起こしてないし」
 母がこちらを向いた。その顔つきは知っている。ベイラー軍曹の顔だ。こうなると逃げられない。
「現場で救急隊員に診てもらった?」
「ええ」
「なんて言われた?」
 嘘をついてもしょうがない。「念のため病院に行けって」
 母は鋭い目でわたしを見すえた。「行ったの?」
「いいえ」
「そこに寝て」
 わたしはため息をつき、運命に降参した。

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