harotana

Jリーグ・サンフレッチェ広島の、熱心ではないけれどどうにも離れられない、いちファンのn…

harotana

Jリーグ・サンフレッチェ広島の、熱心ではないけれどどうにも離れられない、いちファンのnoteです。 Twitter : @harotana

記事一覧

まだまだ張り合える

 茶島さんは肉薄した。相手選手のふところに踏み入るくらいまで、プレッシャーをかけた。天皇杯・いわきFC戦でのこと。ぼくにとって大事なことになった。ぼくは自分のこ…

harotana
3日前
7

神秘的な日(vs東京ヴェルディ)

 松本泰志さんのチャントを歌えた時点で"モト"は取った。もうどうとでもしてくれ――ぼくは、味の素スタジアムの柱によりかかって、ただ時間が過ぎるのを待っていた。本来…

harotana
2週間前
6

咳をしても茶島

 かかりつけの耳鼻咽喉科の先生は、ぼくの鼻に問答無用で内視鏡のカメラみたいなのをつっこみ、映像をのぞきこみながら、のんびりした調子で「ひどいね~痛かったでしょう…

harotana
1か月前
3

90分跳べました(vs柏レイソル)

 三協フロンテア柏スタジアムのビジター席は、通学カバンから数日出し忘れた脱ぎっぱなしの体操着と、下駄箱で長年熟成された上履きのにおいがした。  はじめは、そんな…

harotana
2か月前
4

商売道具以上のもの

 ルヴァンカップ、勝ち進められて本当によかった。  ぼくが観たのは味の素スタジアムでの第一戦。観に行った多くのひとがそうであったように、ぼくもまた川浪吾郎さんの…

harotana
2か月前
8

代償

 DAZNでジュビロ磐田戦を観終わってすぐ、四ツ谷駅に向かった。JRと東京メトロ(地下鉄)の路線が通る駅で、いろんな方面へ行くのに意外と便利。この日は妻と合流し…

harotana
2か月前
13

閉門してるのは想定外(vs東京ヴェルディ)

 バスを降りると、味の素スタジアムの東中門、天文台通り沿いにある門が開いていなかった。マジっすか。  味の素スタジアムへは、武蔵境駅からバスをつかうことにしてい…

harotana
3か月前
8

いくらでも待つよ(vs京都サンガ)

 野津田岳人さんの京都サンガ戦は前半45分で終わった。じつは去年の京都サンガ戦も前半45分だけの出場だった岳人さん。でも去年の45分とことしの45分では、おもむきがだい…

harotana
3か月前
9

肉離れと向き合いながら

 全速でダッシュすることができなくなって、そろそろ2か月が経つ。といってもふつうに暮らしていて、全力で走りたくなるタイミングなんてそんなにない。せいぜい電車に遅…

harotana
3か月前
7

心機一転、新14番

 3月末、唐突な初夏をおもわせるような、いいお天気の日。ふと鼻先をお線香の香りがかすめた。お寺の敷地の脇を歩いていたときだった。まっしろな日差しをうけてザラザラ…

harotana
4か月前
7

なんでこんなことに(vsFC町田ゼルビア)

 なんでこんなことに……。  FC町田ゼルビア戦、目を光らすコールリーダーさんのすぐ近くで、必死に声を張りあげながら、ぼくは内心首をかしげていた。なんでぼくはこ…

harotana
4か月前
39

インフラ

 仕事を終えて帰ると、家の前の道路が工事関係者と工事車両でごったがえしていた。工事現場に立てられた看板には「地震につよい水道管に交換しています」。アスファルトが…

harotana
4か月前
9

苦手(vsヴィッセル神戸)

 以前このようなnoteを書いたからかなんなのか、先日、六花亭のマルセイバターサンドをいただいた。  記事にも書いたが、ぼくはレーズンがキライだ。できれば関わりたく…

harotana
5か月前
3

夢心地(vsサガン鳥栖)

 効き過ぎの花粉症の薬でも飲んだみたいに、目もとがぼわん……とした。目ん玉も、まぶたも、目のクマができるところも、なんだかずるずるとゆっくりすべりおちていくよう…

harotana
5か月前
5

罵声はなりきりサンチェとともに(vsFC東京)

「ふざけんなてめぇ何度目だこのやろう!」 「いつまで抗議してやがんだてめえ」 「レフェリー、カード持ってきてねえのか!」  妙に通る罵声があたりをつらぬいた。まぁ…

harotana
5か月前
8

黒縁眼鏡と黒いジャージ

 みんなのピンチを、あわてずさわがず、しれ〜っと解決。林卓人さんはそういうキーパーだ。よく通る声で味方を統率しつつ、シュートやクロスがとんできたらなに食わぬ顔し…

harotana
7か月前
6
まだまだ張り合える

まだまだ張り合える

 茶島さんは肉薄した。相手選手のふところに踏み入るくらいまで、プレッシャーをかけた。天皇杯・いわきFC戦でのこと。ぼくにとって大事なことになった。ぼくは自分のことを茶島雄介だとおもって観ているから。だからこのことはまちがいなくぼくにとっての大事なことだった。

 スキッベさんが来るまえの茶島さんは、あんな相手選手に迫るようなことはしなかった。相手の前足の、すこし手前くらいで身構えていた。茶島さんは

もっとみる
神秘的な日(vs東京ヴェルディ)

神秘的な日(vs東京ヴェルディ)

 松本泰志さんのチャントを歌えた時点で"モト"は取った。もうどうとでもしてくれ――ぼくは、味の素スタジアムの柱によりかかって、ただ時間が過ぎるのを待っていた。本来サッカーをやっているはずのピッチは無人、大量の雨粒でまっしろけだ。その奥に「落雷の恐れがあるため試合を一時中断します」というアナウンスを表示したままのスクリーン、そしてゴロゴロゴロと鳴り止まない雷鳴……。

 アウェー・東京ヴェルディ戦は

もっとみる
咳をしても茶島

咳をしても茶島

 かかりつけの耳鼻咽喉科の先生は、ぼくの鼻に問答無用で内視鏡のカメラみたいなのをつっこみ、映像をのぞきこみながら、のんびりした調子で「ひどいね~痛かったでしょう」。気管支炎と診断された。鼻の奥にも炎症があるらしい。

 まず喉にきた。火曜日だったか、急に喉が痛くなった。激闘の柏レイソル戦で張り切りったせいかしら。その日は龍角散をのんで済ませた。粉のヤツは意外と効くのである。

 水曜日、くしゃみが

もっとみる
90分跳べました(vs柏レイソル)

90分跳べました(vs柏レイソル)

 三協フロンテア柏スタジアムのビジター席は、通学カバンから数日出し忘れた脱ぎっぱなしの体操着と、下駄箱で長年熟成された上履きのにおいがした。

 はじめは、そんなにおいなんてしなかった。茶島雄介さんのウォーミングアップを存分に堪能し、カラッとした6月の夜の空気を目いっぱいすいこみながら「茶島雄介広島の漢」をゴキゲンに歌っちゃうくらいには、なにごともなかった。ちょうど選手が引き上げたくらいだったとお

もっとみる
商売道具以上のもの

商売道具以上のもの

 ルヴァンカップ、勝ち進められて本当によかった。

 ぼくが観たのは味の素スタジアムでの第一戦。観に行った多くのひとがそうであったように、ぼくもまた川浪吾郎さんの雄姿を観にいった。すくなくとも前半の45分のあいだはずっと背中の22番を見つめていたし、90分通して、かれがはめている真っ白くておっきなキーパーグローブを目印に追っかけていた。

 川浪吾郎さんのグローブは、遠ければ遠いほどよく目立つ。写

もっとみる
代償

代償

 DAZNでジュビロ磐田戦を観終わってすぐ、四ツ谷駅に向かった。JRと東京メトロ(地下鉄)の路線が通る駅で、いろんな方面へ行くのに意外と便利。この日は妻と合流して駅ちかくのご飯屋さんにいく予定だった。

 その電車車中急に、二の腕の肌の、いちばん表面のところがぞわぞわっとした。同時に足元がたよりなくなる。駅についてホームからアトレ四ツ谷、駅の商業施設方向の階段をのぼるとすぐに息が切れた。あわてて予

もっとみる
閉門してるのは想定外(vs東京ヴェルディ)

閉門してるのは想定外(vs東京ヴェルディ)

 バスを降りると、味の素スタジアムの東中門、天文台通り沿いにある門が開いていなかった。マジっすか。

 味の素スタジアムへは、武蔵境駅からバスをつかうことにしている。メジャーな最寄り駅・飛田給駅よりもわが家からのアクセス的に具合がいいのだ。

 その日、ルヴァンカップ東京ヴェルディ戦の当日も、いつもとおんなじ感覚でバスに乗り、萩の原住宅前というバス停で降りた。すると、ゲームまえだというのに人っ子ひ

もっとみる
いくらでも待つよ(vs京都サンガ)

いくらでも待つよ(vs京都サンガ)

 野津田岳人さんの京都サンガ戦は前半45分で終わった。じつは去年の京都サンガ戦も前半45分だけの出場だった岳人さん。でも去年の45分とことしの45分では、おもむきがだいぶ違っていた。

 去年は、パワーが足りていないとマルコスさんにかえられた。前半チームは攻めていたし、岳人さんも悪くなかった。だから、ご本人的にはどうかはわからないけれど、くやしい評価、受け入れがたい交代だった。

 でも今回はポジ

もっとみる
肉離れと向き合いながら

肉離れと向き合いながら

 全速でダッシュすることができなくなって、そろそろ2か月が経つ。といってもふつうに暮らしていて、全力で走りたくなるタイミングなんてそんなにない。せいぜい電車に遅れそうなとき、駅前の横断歩道のゲージの少なくなった青信号に突進するくらい。日々の生活にはなんの支障もない。それでも、ぼくですら太ももの裏がずきんとうずくたび、思い切り地面を蹴れないことがどうにも惜しくなる。ならば茶島雄介さんはどうだったんだ

もっとみる
心機一転、新14番

心機一転、新14番

 3月末、唐突な初夏をおもわせるような、いいお天気の日。ふと鼻先をお線香の香りがかすめた。お寺の敷地の脇を歩いていたときだった。まっしろな日差しをうけてザラザラ光るブロック塀そのむこうで、お墓に手を合わせているひとがいたようだった。「冬場いけなかったし、せっかくのお天気だからお墓参りにでも」ということだったのだろうか。

 人間にかぎらず、あたたかくなるとなにかと活動的になるもの。数日まえは、ぬか

もっとみる
なんでこんなことに(vsFC町田ゼルビア)

なんでこんなことに(vsFC町田ゼルビア)

 なんでこんなことに……。

 FC町田ゼルビア戦、目を光らすコールリーダーさんのすぐ近くで、必死に声を張りあげながら、ぼくは内心首をかしげていた。なんでぼくはこんなところでチャント歌ってんだ?

 ホントは今回の町田行き、やめるつもりだった。先週から右のもも裏を痛め、しばらくまともに歩けなかった。多少マシにはなったけど痛いは痛い。しかも4月3日の天気は雨だと。なぁにが悲しくて、足ひきずりながらス

もっとみる
インフラ

インフラ

 仕事を終えて帰ると、家の前の道路が工事関係者と工事車両でごったがえしていた。工事現場に立てられた看板には「地震につよい水道管に交換しています」。アスファルトがはがされ、下の土が一直線に掘り返されていた。そういえば家の冷蔵庫に「水道管工事のお知らせ」の紙が貼ってあった。

 警備員さんの誘導にしたがい、せばまった道をすりぬけ、マンションまでたどりつく。入り口のまえには、ツナギを着た強面の職人さんた

もっとみる
苦手(vsヴィッセル神戸)

苦手(vsヴィッセル神戸)

 以前このようなnoteを書いたからかなんなのか、先日、六花亭のマルセイバターサンドをいただいた。

 記事にも書いたが、ぼくはレーズンがキライだ。できれば関わりたくない。とはいえ、ひとからいただいてしまった以上"食べない"もない。ついでに長年、マルセイ"ユ"バターサンドだと覚え違いしていたといううしろめたさもある(ダイレクトメッセージでそっと指摘してくださったかたのおかげで発覚。サンフレッチェの

もっとみる
夢心地(vsサガン鳥栖)

夢心地(vsサガン鳥栖)

 効き過ぎの花粉症の薬でも飲んだみたいに、目もとがぼわん……とした。目ん玉も、まぶたも、目のクマができるところも、なんだかずるずるとゆっくりすべりおちていくような。

 先週のサガン鳥栖戦、ぼくは舟をこぎながら観ていた。

 昼過ぎまでの用事を終えて、それがあまりいい心持ちのする用事ではなかったものだから、がっかりしながらの観戦だった。そこに寝付きがわるかったのもかさなって、たぶん意識が起きている

もっとみる
罵声はなりきりサンチェとともに(vsFC東京)

罵声はなりきりサンチェとともに(vsFC東京)

「ふざけんなてめぇ何度目だこのやろう!」
「いつまで抗議してやがんだてめえ」
「レフェリー、カード持ってきてねえのか!」

 妙に通る罵声があたりをつらぬいた。まぁなんて野蛮なこと、やだやだ。3月2日、クソ寒い味の素スタジアムでのFC東京戦、ビジター席のはしっこで、冷えた手をさすりながらぼくは顔をしかめた。

 試合まえの花火の特効であたり一面白煙におおわれていた。往年のセリエAをおもわせる物々し

もっとみる
黒縁眼鏡と黒いジャージ

黒縁眼鏡と黒いジャージ

 みんなのピンチを、あわてずさわがず、しれ〜っと解決。林卓人さんはそういうキーパーだ。よく通る声で味方を統率しつつ、シュートやクロスがとんできたらなに食わぬ顔して止めちゃう。それもボールにとびつくというより、ボールにひきよせられるみたいに腕をのばして止めるから、必死感がない。そこがたまらなくかっこいい。

 でも引退会見のときの卓人さんは、勝手が違った。ゴールキーパーとしてのそのかっこよさが、すっ

もっとみる