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インフラ

 仕事を終えて帰ると、家の前の道路が工事関係者と工事車両でごったがえしていた。工事現場に立てられた看板には「地震につよい水道管に交換しています」。アスファルトがはがされ、下の土が一直線に掘り返されていた。そういえば家の冷蔵庫に「水道管工事のお知らせ」の紙が貼ってあった。

 警備員さんの誘導にしたがい、せばまった道をすりぬけ、マンションまでたどりつく。入り口のまえには、ツナギを着た強面の職人さんたちが休憩していた。ぼくはなんとはなしに「ごくろうさまです」声をかけて会釈した。すると職人さんたちはびっくりした様子で、あわててピッと姿勢をただし、お行儀よくおじぎを返してくれた。そのさまがとてもかわいらしかったのと、あとなにより、ぼくみたいなちんちくりんにリアクションを返してくれたこと自体がうれしくて、ニヤニヤが止まらなくなってしまった。いまおもい返してもまだ味がする。

 同ジャンルのニヤニヤは、サンフレッチェのキャンプの動画でも堪能させていただいた。Instagramのストーリーで、選手たちにカメラマンさんが「おはよう」とあいさつするやつ。あいさつに対して選手それぞれ、いろんなリアクションをとるもんだから楽しくて、ずっと見ていられた。

 毎回ポジティブなことを言い残す川浪さん。おちゃらける山﨑さん・中野さんコンビ。敬礼スタイルのあいさつがカッコいいキャプテン。深みのある笑顔を見せてくれる青山さん……。反応はさまざま。みんな比較的カメラにあいさつを返してくれる。動画見てるときぼくは、自分のことをカメラマンさんだとおもっているので、"こちら"の「おはよう」にリアクションがあったってだけで、軽率にニヤニヤしてしまう。

 20年以上のお付き合いとなったサンフレッチェ。ぼくからしたらもはや水道とおんなじ立派なインフラ。そう考えると、水道工事の職人さんも、サンフレッチェの選手も、ぼくの生活基盤をささえてくれているひとたちということになる。あらためて、かれらがいるからこそ、日々の生活が成り立っているんだなと、その尊さを再確認することになった。

 ちなみにあいさつしない選手にどうこうとかはないのであしからず。選手は、サンフレッチェで元気にプレーしてくれるってだけで100点満点。あくまであいさつ云々はエクストラ・ポイント。そんなことで減点なんかするわきゃないのだ。

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