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肉離れと向き合いながら

 全速でダッシュすることができなくなって、そろそろ2か月が経つ。といってもふつうに暮らしていて、全力で走りたくなるタイミングなんてそんなにない。せいぜい電車に遅れそうなとき、駅前の横断歩道のゲージの少なくなった青信号に突進するくらい。日々の生活にはなんの支障もない。それでも、ぼくですら太ももの裏がずきんとうずくたび、思い切り地面を蹴れないことがどうにも惜しくなる。ならば茶島雄介さんはどうだったんだろう。どんなふうに怪我と向き合っていたのだろうか。おんなじ時期に似たような怪我をした25番に思いをめぐらす。

 茶島さんからしたら、生活に支障どころの騒ぎではない。全力を出すのが仕事なのに全力を出せない。まさにおまんまのくいっぱぐれである。しかも今回の怪我は、チームの強度の高いサッカーに食らいた結果負っている。かれが向き合ってきたであろうことを想像するだけで、ゾッとする。

 現実はさらに手厳しい。ライバルたちが激しいサッカーにもめげず、着実に歩みを進めている。ふたりともプレーの質も量もしっかりキープ、かっこいいゴールまで決めている。うがった見方だけれども、かれらをヨーロッパに羽ばたかせたいというチーム事情もあるのかもしれない。

 そんななか、それらすべてをおしのけてゲームに出ようというのである。これはもうよほどのことをしないとダメだ。100発100中のクロス、枠をハズさないミドル、相手のどんな強烈なプレッシャーからもボールを守れるキープ力。プレッシングの鋭さは当然必須。ちょっとしたパスミスや対応ミスで入れ替わられる、なんてご法度、絶対にゆるされない。状況はきびしい。

 茶島さんは、トレーニングにはすでに復帰している。前髪をおろして黙々とボールを追いかけているようだ。ここからである。自信たっぷりでもう5年くらい在籍してるんじゃないかみたいな顔つきの中野さんや、すっかり金髪もサマになってきた越道さん相手にどこまでやれるのか。チームのサッカーにどこまで食らいついていけるのか。

 ここのところチームのほうは結果を出せていない。どうやら付け入るスキがないわけでもなさそうだ。離脱して、一歩ひいたところからチームを見て、自分の力でおぎなえる箇所の見当はつけているはず。うまいこと隙間をぬってメンバー入りしてもらえればいい。

 それはそれとして、このあとの鹿島アントラーズ戦である。たのむ、なんとかなってくれ!

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